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【TGS 2014】『キャンディクラッシュ』のKing.comが目指すカジュアルエンターテイメントの世界、日本代表に聞く

『キャンディクラッシュ』で大ヒットを飛ばした英国のKing.com。その日本法人として今年設立されたKing Japan。その代表を務める枝廣憲氏にお話を伺うことができました。

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【TGS 2014】『キャンディクラッシュ』のKing.comが目指すカジュアルエンターテイメントの世界、日本代表に聞く
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『キャンディクラッシュ』で大ヒットを飛ばした英国のKing.com。その日本法人として今年設立されたKing Japan。その代表を務める枝廣憲氏にお話を伺うことができました。

筆者も『キャンディクラッシュ』に始まり、『ファームヒーロー』や『バブルウィッチ』とKing.comのゲームを空き時間があれば遊んで、かなり極めていると自負していて、いちファンとして話を聞かせていただきました。

King Japan 代表取締役の枝廣憲氏


―――簡単に自己紹介をお願いできますか?

枝廣憲と申します。元々は広告代理店にいたのですが、2007年頃から、代理店の立場からモバイルゲーム会社さんとお付き合いをさせていただくようになりました。その中で、この産業が非常に大きな可能性を秘めたものであると感じ、たまたま縁があり、前職であるgloopsに加わり、そこで国内のみならず海外を含めたマーケティングに携わらせていただききました。gloopsでは幸運にも世界を垣間見る事ができ、日本の企業が海外に出る一方で、多くの海外企業が日本市場を目指しているのを目の当たりにしました。そうした一社で、個人的にもそのゲームを非常に好きだったKing.comにまた縁があり日本の代表をさせていただいています。

―――個人的にもお好きだったということですが、King.comの魅力をどのように感じられますか?

自分は決してハードゲーマーではないのですが、King.comのゲームは、快適な操作性や心地良いサウンド・エフェクト、そしてユーザーフレンドリーな運営などが魅力でしょうか。とにかく素晴らしいと思うのは、「ユーザーをいかにエンターテインするか」と良く議論をしていて、常にユーザーに目を向けている姿勢を忘れないことですね。

―――どういう社風なのですか?

これは僕の言葉ですが「Play to Create」という、「作るために楽しめ」という社風はありますね。自分たちが楽しいと思うものを作る、という考え方はハッキリしています。king.comは今では800人を超える規模になっているのですが、開発チームはとてもコンパクトで6、7人のチームで小さくこだわりのあるゲームを作っていくケースが多いんです。このくらいの規模だと、自由な発想で、伸び伸びとゲーム作りが出来ますよね。

―――日本法人は何名いらっしゃるのですか?

日本はまだ3名ですね。優秀なスタッフが周りにいるので何とかやっています。

―――なんと。でもこの半年で色々な事をやられてきましたね

ゼロからスタートだったので、オフィスを探すところから始まって、コンテンツを日本人にとってストレスの無いものにしていこうと奮闘しました。その後、岡田准一さんと遠藤憲一さんを起用したテレビCMを行いまして、一定のムーブメントを作れたのではないかと思います。その成果もあり、第二弾として日本で展開した『ファームヒーロー』は『キャンディクラッシュ』を大きく上回る初動となりました。その後、『パパピンボール』と『バブルウィッチ』を立て続けにリリースして、そして今日『ペットレスキュー』を日本でリリースしました。市場自体も速いスピードで変わっていっているので、とにかく駆け抜けたというイメージですね。

―――駆け抜けた半年、特に良かった、達成できたと感じる事はあるでしょうか?

AppApeが調査しているアクティブユーザーの調査で、『キャンディクラッシュ』が4位、『ファームヒーロー』が17位だったんです。実際に遊んでいる人がこれだけ居る、というのは誇れる事かなと思います。いま、カジュアルゲーム市場が非常に大きく伸びていると感じていて、それには岡田准一さんと遠藤憲一さんのキャンペーンも少しは貢献できたのではないでしょうか。スマートフォンの普及という追い風の下で、ゲームを遊ぶ人を大きく増やしていく、そういう点に携われたのは特に良かったと感じますね。

―――丁寧なローカライズをされているとも感じます

ローカライズ、カルチャライズは物凄く難しいですね。その中で、『キャンディクラッシュ』が出来た事は、きちんとしたテキストの翻訳をすること、日本のネットワーク環境に適した形にすることでしょうか。

―――テキスト以外の部分にも結構力を入れてらっしゃる?

そうですね。具体的な箇所はお話できないのですが、日本から要望を出してスタジオで直してもらうということもやっています。これは日本に限ったことではないですが。

―――King.comファンとしてはまだローカライズされてない数多のタイトルを早く日本で出して欲しいのですが

なるほど・・・。King.comは実に180本のゲームがありまして、それを遊ぶだけでも一苦労なんですね。でも、その中から良いゲームを選んで日本の皆様に提供していく責務があると感じていますので、なんとか関係者一同でゲームを遊んでいます。スタジオで開発中のタイトルも含めて、良いタイトルを探そうと必死でやっています。どのくらいの数を出していこう、という考え方は余りなく、一本一本のクオリティにこだわって、本当に良いゲームを提供していこうという姿勢です。

―――枝廣さんから見る今のゲーム市場の面白さを教えてもらえますか?

市場がこれからも伸び続けると予想されている中で、新しいマーケット、カジュアルゲームの市場を作るという仕事を出来ているのは面白い事ですね。電車の中で、家には絶対ゲーム機が無いだろうというような人がゲームを遊んでいる、それが有難い事に『キャンディクラッシュ』や『ファームヒーロー』だったりするケースもあります。もう創世期ではないと思いますが、成熟期になる過程で、その中心になるチャンスを貰えているというのは刺激的な事ですね。

―――会社として『キャンディクラッシュ』で大成功を収め、ある意味、1つの高みに達したのではないでしょうか。次に目指すものは何なのですか?

『キャンディクラッシュ』をやりながらも、新しいコンテンツを生み出していかなくてはなりません。『キャンディクラッシュ』はお陰様で沢山の方に支持されましたが、まだ浸透しきれてない世界もあります。例えば国で考えても、まだまだスマートフォンでゲームを遊ぶという世界になっていない場所があります。また、世代という観点でも『キャンディクラッシュ』がリーチできなかった層があったと思います。このチャレンジはまだまだ続きますね。

―――具体的に興味をお持ちの層というのはありますか?

子どもと成人女性ですね。未成年者については課金の問題もありますので、難しい課題もあるのですが、沢山ゲームを遊んでいただける層ですので、アプローチを考えなくてはなりません。また、女性は今までゲームに触れてこなかった方もまだ多いと思いますし、そういう方がゲームを遊ぶ端末とは全く意識しないにしてもスマートフォンを持っている。そういう人たちに振り向いて貰えるような取り組みはしていきたいですね。

―――岡田准一さんの起用もそういう意図があってのことですか?

振り返ればそういう観点もあったのかもしれません。ただ、岡田准一さんと遠藤憲一さんのキャンペーンの意図は王道感の演出です。『キャンディクラッシュ』はカジュアルエンターテイメントの代表なんだということですね。その為に、大河ドラマや「永遠の0」で主演した岡田准一さんや、「不毛地帯」の主演の遠藤憲一さんを起用しました。ちょっとしたユーモアと王道感であのモノクロのCMが出来ました。

―――社名の王道感は凄いですよね(笑)

社名は王道感ありますよね。僕が創業者だったらためらいます(笑)。そんな自分もKing Japanの代表ですから、登記する時はちょっとドキドキしました(笑)。

―――最後に今後の意気込みをお願いします

カジュアルエンターテイメントという世界は、芽が出て、花が咲く手前だと思いますので、そこに向けて全力で走っていきます。一家に一台、ならぬ、1スマホに1Kingという世界を作りたいですね。

―――ありがとうございました
《土本学》
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