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【GDC 2014】あなたはソーシャルのクジラ?最新のゲーム分析がコミュニティーの中心に

最近ゲーム業界で「Game Analytics(ゲームアナリティクス・ゲームデータ分析)」が主流となっています。ゲームをデータ化し、プレイスタイルから課金可能性、ダウンロード環境までデータにし、それを分析するのがアナリティクスです。

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【GDC 2014】あなたはソーシャルのクジラ?最新のゲーム分析がコミュニティーの中心に
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  • 【GDC 2014】あなたはソーシャルのクジラ?最新のゲーム分析がコミュニティーの中心に
最近ゲーム業界で「Game Analytics(ゲームアナリティクス・ゲームデータ分析)」が主流となっています。ゲームをデータ化し、プレイスタイルから課金可能性、ダウンロード環境までデータにし、それを分析するのがアナリティクスです。今まで、アナリティクスはビジネスを強めるために使われたものの、 ビジネスと消費者の間を重要視してきました。どのように一人の消費者のゲームプレイをより充実させるか、ゲーム性を破壊せずに課金や広告を活用できるか、などの質問に使用されました。

しかし、Ninja Metrics(ニンジャ・メトリックス)が催したGDC 2014のセッション「Social Whales: Understanding and Leveraging a New Kind of Player(ソーシャルウェール、新しいプレイヤー種類の理解と活用について)」では、今までと違ったアナリティクスの使い方が説明されました。

まず、ゲーム業界では巨額を課金するプレイヤーを「Whale」(ウェール・クジラ)と呼びます。基本無料ゲームの課金率の大半は、ほんの少しの方から出ているとされています。例えば、60%の利益がトータルプレイヤーのたった10%からきている場合が多いようです。したがって、Whaleは企業にとって大事な存在なのです。

今回Ninja Metricsが新しいコンセプトを提案してくれました。あるゲームのコミュニティーに巨大な影響力を持つ人のことを指す、「Social Whale」という新用語。 普通のWhaleと似たようなイメージですが、直接自分が課金したお金で計算されるのではなく、自分の影響を受けたプレイヤーが、その影響によってより課金した金額として計算されます。

この新コンセプトは、「人間はソーシャル」であるという理念からきます。いわく、コミュニティー無しで生きていけない者だと。周りのコミュニティーによって自分の行動が影響され、また自分の行動が周りを影響していく、関わっていれば関わっているほどその影響範囲が広がります。講演で示された図はソーシャルグラフと言います。丸が「ノード」といい、人間を指します。ノードとノードをつなげているのが「エッジ」、人間関係を表します。グラフ内での一人の位置からして、その人はどのように周りから影響をうけているのか、またはどのような影響をさせているのかがわかります。

このグラフなら、あなたはどこに所属するのでしょうか? 自分の今プレイしているゲームコミュニティーから考えてみましょう。

たとえば、このグラフをゲームの観点から見ると、真ん中の青色のノード、人間の影響力が非常に高いです。彼はギルドリーダー、もしくはコミュニティーにとても尊敬されいている方かもしれません。このプレイヤーは「影響力者」といい、「ソーシャルバリュー(価値)」があると言われます。

ここで少し専門的になるのですが、「ソーシャル価値」とは、ある人がもたらす余分の行動、と定義されています。

シナリオを利用して簡単に説明してみます。

太郎君はとてもいい人で、ゲームAが大好きです。性格もよく、一緒にプレイして楽しいと思い、太郎君と遊びたいと思った花子さんもいました。太郎君と出会ってから、花子さんがどんどん太郎君のことを望んで、ゲームのログイン回数を増やしました。太郎君がいたら、一緒に遊んだり、少し課金したり、楽しみます。ある日、ログインしたら太郎君がいませんでしたですが、せっかくログインしたので、そのまま一人で遊んで、少し課金して終わったのです。

このように、影響力者である太郎君が、周りのコミュニティー、花子さん、のプレイタイムを増やせたり、ゲームの満足度を増やせたり、そして最終的に、課金する可能性を増やしたりしました。一度に課金する額が変わらなくても、課金する回数が太郎君の影響で増えました。

ゲームビジネスの面からして、太郎君は非常に大切な顧客です。しかし、今までのアナリティクスでは、太郎君が自分で課金する額しか分析されなかったです。Ninja Metricsは、個人個別で課金する額、その顧客の「生涯価値」の他に、その顧客の影響によって他の人が課金する額「ソーシャル価値」を足した結果がその顧客の「真の価値」になると説明しました。

たえば太郎君の場合は

生涯価値$43 + ソーシャル価値$53= 真の価値$96

というふうに計算されます。

ゲーム業界、特にモバイル業界では、顧客それぞれに価値を与え、それで経済計画などが立てられますが、幅広く様々なプレイヤーにお金をかけて満足をさせようとすると、大変お金がかかります。「ソーシャル価値」、「ソーシャルアナリティクス」を行い、コミュニティー内の影響力者を認定し、彼らに集中してアピールすれば、もっと少ない額で同じくらいの人数に届くことができます。と同時にコミュニティーを強めることができ、一人一人のプレイタイムを増やすこともできます。ゲーム内アイテムを、友達一人にあげられる無料券をくばったり、自分ともう一人が楽しめるイベントアイテムを配信したり、プレイヤーとプレイヤーの間の絆をサポートすることが今の業界の中で成功するのに一番大切なことです。いくらいいゲームを提供しても、コミュニティーが充実していないと失敗する恐れがあります。人間はお互いを影響しあいます。プレイタイム増加が広まったり、課金が影響で広まったり、引退さえ影響で広まることがあります。そのトレンドを目につけて、注意して、しっかりした対策を持った上で、業界に挑みましょう。
《ハナ》
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