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【GTMF 2014】新ハードロンチのトリプルA作品、PS4『KNACK』はこうして作られた

ゲームビジネス 開発

【GTMF 2014】新ハードロンチのトリプルA作品、PS4『KNACK』はこうして作られた
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PS4のローンチタイトルとして大きな注目を集めた『KNACK(ナック)』。PS4のリード・システムアーキテクトをつとめ、『クラッシュ・バンディクー』シリーズの生みの親として著名なマーク・サーニー氏が総監督を務めたアクションゲームです。実際の開発はSCEジャパンスタジオが担当しています。GTMF2014大阪のラストセッションとなった「PlayStation 4『 KNACK 』開発事例」では、ゲームディレクターをつとめた飯島貴光氏をはじめ5名が登壇し、4つの角度から開発をふりかえりました。

■レベルデザイン制作事例

『KNACK』のコンセプトは「家族で遊べるAAAのアクションゲーム」・・・飯嶋氏はこのように切り出しました。そこからカメラ固定型のプラットフォーム型ゲームというスタイルが固まっていきます。ここでキモを握るのがレベルデザインです。限られた時間で効率良く開発を進めるには、プランナー主導によるイメージの共有が必要になります。

そのため飯嶋氏は本作で作業を「フォアグラウンド(キャラクターやエネミーなど)」「バックグラウンド(背景やステージデザインなど)」に分担しました。そして各々の工程を「プランナー」「イラストレーター」「アーティスト」という3つのポジションで分担しながら進めていったと説明しました。

工程は主に前景と背景に分類される


本作のステージは複数のセグメントで構成され、各セグメントは「その時の」KNACKの大きさで最短距離を走り切った場合、30秒を目安とする長さで構成されています。各セグメントには難度の低いもので3~4個、高いもので7~10個のチャレンジ(敵と戦う、谷をジャンプで越えるなど)が含まれており、チャレンジの内容と個数でセグメント内でのゲームプレイが規定されます。これらは『クラッシュ・バンディクー』の事例が参考にされました。

レベルデザインのポイントは、各セグメントにおける「チャレジ構成表」を作成し、以後の設計図として使用した点にあります。各々のMAPにはステージのラフスケッチ、カメラの方向、チャレンジの場所や、大まかな内容がアイコンで記入されています。チャレンジの内容については、時間軸に沿った形でも配置されています。『KNACK』のストーリーは基本的に一本道で進むため、このチャレンジ構成表を印刷して並べるだけで、ユーザー体験が大まかに把握できるのです。

あるステージのチャレジ構成表


特に本作では状況によってKNACKの大きさが可変するため、こうした設計図がなければ、アーティストがどのような段差を作っていいかわからず、二度手間が増える恐れがあったと飯嶋氏は補足します。かなりの手間がかかったが、結果として短時間で密度の濃いレベルデザインが実現できたとまとめられました。

■アートアセット作成における組織作り

続くセクションではアートディレクターの山口由晃氏から、アセットを量産するうえで基礎となる、チームの組織固めについて説明がありました。『GRAVITY DAZE』でアートディレクターなどを務めた後、『KNACK』チームに合流した山口氏は、現場が混乱気味で、このままではローンチに間に合わせることが難しいと感じたと言います。

山口氏はまず現場の整理を行うことからはじめました。フォルダ設計やアセット管理規定の作成、ツールの棚卸しや見直しなどです。朝礼を導入してチーム内のコミュニケーションを活性化させたり、テクニカルアーティストのリードを明確にして技術的な情報を集約したりもしました。各セクションでリーダーの役割を明確にしたり、必要なセクションを追加するなども重要な要素でした。

スケジュールの明確化も課題でした。各部門が希望を上げるだけで、工数の割り出し・行動計画・行動時期が考慮されていなかったため、ずるずると延長しがちだったのです。社内開発ツールにおいても、設計の重要性が唱えられました。「開発初期はデータ量が少ないので設計が多少甘くても大丈夫だが、後半になると取り返しが付かなくなり、工数が肥大化する原因になる」と山口氏は指摘します。

良質なゲームを納期と予算を守ってリリースするためには、開発初期が非常に重要だと語る山口氏。「プロジェクトの最初が一番大変で、後半になるにつれて楽になるように、これからも工夫していきたい。それによってクオリティも担保できるようになる」と語りました。

■アウトソースで鍵を握る社内準備

PS4世代で飛躍的に増大するアートアセットの数々。すべて国内でまかなうのは、コスト面から非現実的になりつつあります。『KNACK』でもアウトソースマネージャーを務めた船山征一郎氏を中心に、精力的な海外分業が行われました。アウトソース先はアジア4社が中心で、背景やギミックを中心に396人月の工数が発注されています。

アウトソースの実績


船山氏はアウトソース先の選定にあたり、トライアルを行って実力を確かめたと話しました。必要な資料は▽スコープ(契約内容の明記)▽アセットリスト▽発注書▽仕様書▽アートワークガイド▽クオリティバー▽QAシート▽フィードバックシード--の7点で、日本語で発注できることが前提となります。その上で「品質」「理解力」「コミュニケーション」の3点から評価を行い、契約を行ったと語りました。

一方でアウトソース先を適切に活用するには、社内体制の整備も欠かせません。「発注」「フィードバック」「コミュニケーション」が確立できていなければ、単に開発が混乱するだけになってしまいます。一方でアウトソースの管理を行うアーティストには、自分がこなすべき作業も存在します。日々の制作を進めながら、一方で適切な外注管理も行う能力や、体制づくりが鍵を握るのです。

どのような資料を用意するのかが決定的に重要になってくる


「業務の標準化」「情報の透明性とドキュメント化の癖」「クオリティの意識統一」・・・これらはいずれも、国内ゲーム会社が苦手としてきた分野です。しかしゲームの開発手段としてアウトソーシングを行うのであれば、こうした準備は欠かせない。山口氏はこのように指摘しました。

■二律相反したビジュアル表現

グラフィックは最も注目を集めやすいゲームの差別化ポイントです。PS4のローンチタイトルともなれば、なおさらでしょう。講演ではリードプログラマ兼テクニカルディレクタを務めた村上剛氏と、リードグラフィックの山口太氏が、基本的なライティングとグラフィックスの最適化について解説しました。

村上氏ははじめに「家族で楽しんでもらうために、CG映画のような外見をめざして、柔らかい質感や統一されたライティングを心がけた」と説明しました。一方でローンチタイトルのため、PS4世代で「一般的に使われるであろう表現」を想定したとも言います。「差別化を図りつつ納期は遵守」という、二律相反する命題が科せられたのです。

ライティングでは直接光と間接光に対して、それぞれ拡散反射と鏡面反射が組み合わせられました。直接光はディファードレンダリングで、拡散反射と鏡面反射が計算によって求められています。一方、間接光ではライトマップを使用せずに表現されました。このうち拡散反射は3Dテクスチャを使用し、鏡面反射ではキューブマップとローカルリフレクションが使用されています。

最適化では「オクルージョンカリング」「ジオメトリインスタンス」「CPU処理の並列化」という3つの技法が紹介されました。オクルージョンカリングでは事前にCPUでジオメトリをレンダリングして粗い深度バッファを作成し、GPUで計算する前にカリングを行っています。また同じ形状のプリミティブの場合、ジオメトリインスタンスを使用すれば1回の描画コールで複数のパーツを描画できるため、効率が良かったと話されました。最大5000パーツのKNACKでも、101回の描画コールで描けたと言います。

本セッションは1時間では勿体ないほどの内容で、非常に密度の濃い講演となりました。今回は語られなかった、より深いトピックについても、機会を見つけてシェアしていきたいとのことでしたので、期待しましょう。
《小野憲史》

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