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【GTMF 2014】実行速度が最大10倍アップ!? 続々と明らかになったBISHAMONのアップデート状況

ゲームビジネス 開発

マッチロック 後藤誠氏
  • マッチロック 後藤誠氏
  • BISHAMONの特徴
  • BISHAMONで作成できるエフェクトの一例
  • BISHAMONで作成できるエフェクトの一例
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  • BISHAMONで作成できるエフェクトの一例
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GTMF2014東京でマッチロックの後藤誠氏は「3D VFX Tool & Middleware BISHAMON 最新機能の紹介」と題して講演を行い、実行速度の高速化をはじめとした、エフェクトツール「BISHAMON」のさまざまな新機能や、アップデートの見通しについて語りました。講演はBISHAMONのデモムービー、実装済みの新機能、今後のロードマップという三部構成で行われました。

BISHAMONは3D空間上に炎や煙、魔法などの効果をパーティクルで表現できる国産のエフェクトツールです。特に複雑なエフェクトを階層構造で作成できる点が特徴で、魔方陣のようなストーリー性のあるエフェクト(背景が暗転して地面に魔方陣が広がり、線に沿って閃光が走るなど)の作成を得意としています。同種のツールは内製で開発されることが多く、世界的に見てもユニークな存在だといえるでしょう。

はじめに後藤氏はアグニ・フレアが制作したオリジナルキャラクター「フレアちゃん」が登場する、BISHAMONのデモムービーを紹介しました。フレアちゃんが空中に浮かぶ祠の前で召喚魔法を唱えると、空中にど派手なエフェクトが発生し、祠の封印が次々に解除。出現した三叉槍が火縄銃(マッチロック)に変形するという内容です。国産ゲームでよく見られる演出で、BISHAMONの特徴が良くわかる内容になっています。

後藤氏は「本ムービーで使用されているエフェクトは、すべてBISHAMONで作成されており、プログラマーは一人も参加していない」と解説しました。作成されたエフェクトはプラグインを介してUnityにプレハブとして組み込まれ、別途Maya上で作成されたモデルなどと共にシーンが構成されて、ムービーとして出力されています。なお、本ムービーはYoutubeにアップされており、同社の公式サイトからリンクを辿れます。

汎用性も高く、プラットフォームではコンソール機やPC、スマートフォンなどに加えて、新たにWii U、OpenGL 2.2、OpenGL 4.3に対応。ゲームエンジンではPhyreEngine、Cocos2d-xにも対応しました。直近の採用実績ではアーケード版『ブキガミ』などがあります。従来からの法人ユーザーに加えて、同人・インディーゲーム向けのパーソナル版や、解説書の出版などで、裾野も拡大中です。

新機能では▽ディストーション(画面全体と歪ませる)▽パーティクル補間(1フレーム未満の単位でエフェクトを発生させる)▽フォールオフ(モデルの周囲を半透明や指定色に近づける)▽パーティクルをモデルの頂点から放出(モデルの表面だけでなく、指定した頂点から順番またはランダムにパーティクルを放出させる)▽繰り上げフレームキャッシュ対応(発生ずみのエフェクトの状態をキャッシュ保存)--が紹介されました。プラットフォームで対応の偏りも見られますが、順次対応を進めていくとのことです。

これらと並行してBISHAMONの全体的な高速化も進められています。ロジックの見直しで平均で2~3倍、プラットフォームによっては10倍以上の高速化が実現されるとのことでした。後藤氏によると、度重なるアップデートでツールの基礎部分に手を加えないと、これ以上の性能向上が難しいところまで来ており、「社運を賭けて進行中」とのこと。今後のロードマップに向けて、できるだけ早く対応を終了させたいといいます。

このほか▽FBXファイルに対応▽カメラモーション完全対応▽プレビュースケール対応▽フィールドのローカルに対応▽タイムラインでカーブのコピー&ペーストに対応▽ヌルエミッタのビルボード対応▽寿命の無限リピートに対応▽エフェクトノード単位の保存▽モデルのポリライン対応(Y軸ビルボード対応)--が発表されました。

中でも後藤氏が力説したのが「エフェクトノード単位の保存」です。前述の通りBISHAMONでは複雑なエフェクトを階層構造で作成できます。ここで階層の一部を範囲指定して、新しいエフェクトとして保存したり、別のエフェクトにパーツとして移植できるようになったのです。これによって生産効率が大きく向上し、ある会社では3~4000個のエフェクトをアーティスト2名で、数週間で作成できたといいます。

今後のロードマップでは▽タービュランス(パーティクルの制御点を流体で動かし、炎や煙などに対して、より自然でダイナミックな動きをつけられる)▽ライブエディット(各プラットフォームとネットワークを介してライブエディットできる)▽連番でのアトラス対応(エフェクトアニメーションを連番で画像ファイルに出力し、一枚のアトラスにまとめられる)▽シェイプアニメーション▽ボーンアニメーション▽パラメータの差分パッチ--が紹介されました。それぞれ年内に実装が予定されています。

このうちライブエディット機能は、複数のAndroid端末を同時にチェックできるため、同社でも切望されている機能だいいます。連番でのアトラス対応はCPUの負荷を大きく下げられるため、スマートフォン向けの開発で威力を発揮するのではないかと補足。パラメータの差分パッチは、あるエフェクトのうち一部のパラメータを差分パラメータにランタイムで対応させ、インスタンスを生成する機能です。これによって遠景と近景でエフェクトのディティールを切り替えたり、据え置き機と携帯機のマルチタイトルなどで、エフェクトのディティールを機種によって切り替えたりできます。

講演のラストでは同社が主催する「ゲームエフェクトコンテスト」優秀作品のデモが行われました。大賞にあたるアグニ・フレア社長賞に輝いた「刺繍の魔方陣」では、魔方陣の広がりが刺繍風のエフェクトで表現され、最後に蝶が舞って終了するという、高いクオリティと余韻を残した演出が特徴。同じくマッチロック社長賞に輝いた「冬の温泉」は、温泉の反射などBISHAMONの性能を越えたとさえ言える表現が行われ、審査員を驚かせたとのことです。作品は同社公式サイトなどで公開されています。

後藤氏によると関係者一同、こうした高いクオリティの作品から大いに刺激を受け、さらにBISHAMONを進化させていきたいと決意を新たにしたとのこと。業界でも数少ないエフェクトアーティストを育成する意味合いもあります。後藤氏いわくゲームデザイナーのように、エフェクトアーティストからもスターを排出したいとのこと。秋口を目処に2014年度の作品募集が開始されるので、ぜひふるって参加して欲しいと語られました。

また質疑応答ではパーソナル版のアップデートについても質問がありました。後藤氏によると、詳細は未定だが、基本的に大きく変わらない形でパーソナル版もアップデートが行われていく予定とのこと。同人・インディーズユーザーも安心して欲しいと締めくくられました。
《小野憲史》

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