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【CEDEC 2014】アップコンバートの為に最も必要なことは?~『モンハン3G HD Ver.』の事例

ゲームビジネス 開発

【CEDEC 2014】アップコンバートの為に最も必要なことは?~『モンハン3G HD Ver.』の事例
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過去の作品を現代の技術で蘇らせてくれるリマスター作品は嬉しいものですが、その開発にはどのような苦労があるのでしょうか? カプコンのサウンドチームに勤務する黒岩理加氏はCEDEC3日目に「アップコンバートタイトルにおけるサウンドクオリティとは~音のHD化ってなんだろう?~」と題した講演を行いました。

黒岩氏は主にニンテンドー3DS『モンスターハンター3(トライ)G』をアップコンバートしてWii Uで発売した『モンスターハンター3(トライ)G HD Ver.』を取り上げながら、音のHD化について話しました。

しかし音のHD化とは何でしょうか? 手っ取り早いのは、高ビットレートの音声データに差し替えて対応する事です。メモリが足りない場合、再生するサウンドのビットレートを下げて対応することがあります。携帯ゲーム機であれば尚更です。元素材に近いデータを使用するだけでクオリティが拡大にアップする場合があります。

『モンスターハンター3(トライ)G HD Ver.』でもこうした手法を取ったそうですが、黒岩氏によれば解像度が上がることによって出てくる違和感もあったとのこと。解像度が上がり、世界が鮮明になることで、求められる音も変わるわけです。

例示されたのは、ステージにある滝の音量です。情報量が少ない3DSでは滝があることを記号的に示すために、見た目の距離感よりも大きな音量で滝の音を鳴らしていたそうですが、Wii Uで情報量が増えるとこれは違和感があります。敵の声なども同様です。3DSでは距離減衰のカーブが極端だったのが、Wii Uではより現実に則したカーブになっています。Wii Uでは距離によってリバーブをかけてぼかすような処理も追加されています。

解像度が上がったゆえの違和感
記号的な音はあまり求められなくなる?
距離減衰のカーブをなめらかに


Wii Uで顕著に変えた箇所としては、対象物が小さいものや、ワラワラと来るものに対して、(カメラ位置ではなく)プレイヤーの位置で音が最も大きく聞こえるよう距離減衰のカーブを山の形に調整したそうです。通常は音源がカメラに近いほど大きく聞こえる調整がされ、それが自然に聞こえるわけですが、プレイヤーの位置がとりわけ注目される場面もあるようです。黒岩氏は「リスニングポジションとカメラの関係性は機械的に行って後で微調整するような事も出来るかもしれません」と話していました。

異なる距離減衰のカーブを設定した例も


■サウンドに付加価値をつけていく

黒岩氏はオリジナルよりも音の迫力があるのは当たり前で、もっとお得感を出していく事は出来るのではないかと言いました。

『モンスターハンター3(トライ)G HD Ver.』ではオプションから、BGMボリュームだけでなく、出力設定で「テレビ」「GamePad」「ヘッドホン」といった環境を選べるようにし、それに合わせた最適なサウンドを提供するようにしました。3DSではスピーカーは2個ですが、Wii UではテレビとGamePadを合わせれば4つのスピーカーを利用できます。そのケアもあって然るべきです。

音のオプションを追加


さらにもうすぐ発売される『モンスターハンター4G』ではヘッドホンと実機マイクではBGMとSEのミックスバランスが異なる調整がされていて、さらにヘッドホンを抜き差しするだけで自動的に変更が行われるとのこと。

最後に黒岩氏はアップコンバートを円滑に行うためには、「開発リソースのバックアップの質」が重要だと言います。「モンスターハンター」シリーズでは武器、キャラクター、モンスター、ステージなど詳細な資料が残され管理されているそうです。シリーズを経る毎に少しずつ元の素材を改良しながら作ってきているそうで、きちんと記録が残っている事はアップコンバートの際にも有益だったとのこと。

モンスターハンターの武器のデータベース
ステージの資料。どこにどういう効果があるか記録されている


資料作成はどうしてもおざなりになりがちですが、発売から10年も経てば、当時のスタッフはおらず、開発機材も動作せず中身も確認できない、というような状況に陥りかねません。そうした状態からアップコンバートやリメイクに挑戦するというのはかなり骨の折れる仕事になります。将来のためにまずは「バックアップの質を」というのが黒岩氏の呼びかけです。
《土本学》

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