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【CEDEC 2014】ゲーム企画のロジカルな作り方とは? 百戦錬磨のゲームデザイナーが教える

ゲームビジネス 開発

【CEDEC 2014】ゲーム企画のロジカルな作り方とは? 百戦錬磨のゲームデザイナーが教える
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9月2日から9月4日にて、パシフィコ横浜で行われた「CEDEC 2014」。さまざまなセッション行われましたが、本記事ではゲームデザイナーの石川淳一氏がおくる「ロジカルにゲーム企画をやろう! ~題材からのゲーム企画手法~」をレポートします。



石川氏は『大戦略』シリーズ、『天下統一』シリーズなどシミュレーションゲームを中心に30タイトル以上のゲームデザイン、ディレクター、プロデューサーを歴任した人物で、有限会社エレメンツを創業した後は、ゲームデザインを主に他社と共同でPCから家庭用ゲーム機、スマホゲームまでさまざまなゲーム製作を行っています。

2014年1月よりブログで「ゲーム企画塾」という、ゲーム企画の本質に立ち返り、感性に頼りすぎないロジカルなゲーム企画の技術を伝える連載を続けています。本セッションでは、若いゲームプランナーや学生に向けて題材に着目したゲーム企画の手法を提案し「ゲーム企画とは何なのか」をロジカルに理解してもらうことで、今後のスキルアップに向けての土台作りのプレゼンを行いました。

企画作りについては、書店に足を運ぶとビジネス書やノウハウ本など山のように積んであります。ただ「ゲームの企画」については他の分野と違い「なにか難しいもの」と多くの人に思われがちです。しかしながら、基本的には他の「企画作り」となんら変わりない、企画の本質は「問題解決」であり、他の業種と変わらずゲームも同じであると石川氏は語ります。



問題解決については、対企業でいうと「これだけの期間と予算をかければこれだけ儲かりますよ」「こういう新しいユーザー層をもたらしますよ」と実利的な利益を分かりやすく説明することができます。しかしながら対ユーザーとなると実利的ではない問題解決をする必要があります。テレビゲームをするとモノが貰えたり、便利になったりするわけではありません。一般的な企画でいうと対ユーザーに対しても「こんなにコンパクトになりました!」「カロリーが抑えられています!」といった実利的なものが多く、分かりやすく問題解決をすることができるのですが、ゲームはそれができません。「対企業」と「対ユーザー」向けの問題解決に壁があることが、ゲーム作りにおけるひとつのネックになっていると言えると石川氏は述べます。



「ゲームシステムでおもしろそうと思わせるのは難しい」「すべての企業がプロモーション予算をふんだんに使えるわけではない」といったさまざまな要因が重なるなかで、対ユーザー向けへの問題解決の方法としては「ゲーム体験」をイメージさせる何らかの切り口が企画内容に必要になってきます。そんななかで「ゲームの題材」はお金をかけずにユーザーに「おもしろそう!」と体験させることができる重要な切り口のひとつとなります。



「ゲームデザインのおもしろい」という部分と「ゲーム体験のおもしろい」は相性が悪いと石川氏は語ります。「今回このゲームはこういうゲームシステムがあります!だからおもしろいんです!」と言われても、ユーザーはなかなかゲーム体験を想像することはできません。そして、それを言葉にして伝えるということはさらに難しく、企画書に落としこむ際にも難航を極めます。少し前であれば、ユーザー自身がゲーム雑誌を手に取り、何ページにも渡って紹介されているゲームシステムを一生懸命読み込み、自分なりに想像をするなど、積極的に情報を取りにいっていましたが、現在はゲーム雑誌を読むユーザーも減少傾向にあります。特にスマートフォンでアプリゲームを楽しむ層は、アプリダウンロードページに記載されている少ない紹介文と写真、パッケージを買う際にも裏面に記載されてる少ないゲーム紹介文を見てゲームの購買の有無を決めています。そんななかでゲームデザインをしっかりとアピールすることはかなり難しいため「ゲームシステム」「ゲームデザイン」以外での切り口が、ゲーム企画づくりをする際に必要であると石川氏は語ります。



そんななか「題材」という切り口であれば、ユーザーに対しても分かりやすくゲーム体験を伝えることができます。例えば「F1ドライバーになる」という題材があれば、ほとんどのユーザーがF1カーを運転してレースで勝利するということを想像できますし、「プロ野球の監督になる」という題材であれば自分が好きな球団を思い通りに采配してチームを優勝に導くなどそれを見ただけでユーザーはどういった体験ができるかを想像できます。もちろん「ゲームシステム」や「ゲームデザイン」といった部分は非常に重要なファクトではありますが、まずはユーザーに「おもしろそう!」と感じてもらうことが重要です。

しかしながら「題材」でも、おもしろさを伝えるのに向いている題材と向いていない題材があります。題材の分類方法としては、15年以上前から既に分類されており(ビデオゲーム工学学会1996年参照)、「現実」「非現実」、認知度が「高い」か「低い」か、さらに現実にある場合は「日常」か「非日常」に分類されます。



上記のように題材は分類されますが、比較的優位な題材はDの領域である「現実にはないが多くの人が認知をしている」領域になります。つまりマンガやアニメでヒットしているような人気のIP、版権物です。

逆に、比較的売れにくい題材でいくとEの領域にある「現実にもなく、多くの人が認知していない」ものです。多くの学生はドラクエやFFなど大ヒットしたタイトルがあるため、売れるのではないかと思いがちですが、題材論だけでいくとこのEの領域が一番売れにくい(そもそもユーザーに共感されにくい、競合が多い)ので、参入がしにくいとのことです。

逆にB(現実にあって、大多数が知っている)・D(現実にはないが多くの人が認知をしている)であればヒットするかと言うと、既に競合がたくさん存在していたり、版権物でいうとIPの権利を得るために巨額の費用が必要となったり…とこれも壁があります。



そこで、新しい題材の選択方法のひとつとして「新ジャンルと組み合わせる」ということを石川氏は語ります。シミュレーションでもなく単なる格闘ゲームでもない、対戦格闘ゲームとストラテジー要素を盛り込んだ『真・三國無双』、収集・育成要素を盛り込んだサッカーRPG『イナズマイレブン』を例にあげました。上記2つは、既にある人気のジャンルに新たな要素を盛り込み、新ジャンルとして成り立たせた例となります。ただし、新ジャンルの組み合わせもあまりにも斬新な組み合わせになってしまうとユーザーがどのようなゲームなのかが想像しにくくなってしまうため、注意・バランスが必要です。



またイメージさせる題材で領域をシフトさせる方法も例にあげました。『バイオハザード』は「現実にもなく、大多数が知らない」というEの領域に入ってきますが「ゾンビ映画のような体験」ができるといった分かりやすい内容となっているため、「現実にはないが誰もが知っている」Dの領域にシフトされます。『地球防衛軍』も同様に「特撮モノのような体験」をユーザーが分かりやすく想像できるため、手にとりやすくなったのではと石川氏は語ります。ただし、こちらの題材手法も注意が必要であまりにも特定の映画やコンテンツに酷似してしまうと権利関係で問題が発生するため、気をつけるように。



『ときめきメモリアル』を例に挙げて説明をした「日常から非日常を抽出する」題材手法では「高校生活」「モテモテになる」といったイメージしやすい部分と、実際の日常ではあり得なかった「モテモテになる夢の学園生活」をうまく組み合わせることでユーザーが想像しやすく、とっつきやすい題材となっています。また、ゲームではありませんが、昨年流行したテレビドラマ「半沢直樹」も例に上げ、上司に理不尽なことを言われているサラリーマンの日常から「倍返し」という形で上司を言い負かす非日常、「爽快感」をユーザーが想像することで支持を得ているうまい題材と評価しました。

「自分たちの中の日常に潜む非日常」をうまく引き出すと、面白い題材が出てくる可能性があると石川氏は語ります。ただし、題材さえ良ければゲームが売れると言うとそういうわけでもなく、実際に、優れたゲームシステムであるにも関わらず、題材が悪いがために売れなかったタイトルも多数あります。

逆に題材を変えることで売りやすくなるタイトルもあると語りました。対戦型ゲームブック『LOST WORLDS』を例に挙げ、『LOST WORLDS』自体は日本ではあまりヒットしませんでしたが、ゲームシステムは全く同じで題材をセクシーなビキニを着た女性に変更した『クイーンズブレイド』は日本でヒットしたそうです。

ゲームシステムを伝える手段として、一番良い題材は何かを考えることは、非常に良い方法である、と石川氏は述べ、本セッションは幕を閉じました。

また、本セッションのもとになった「ゲーム企画塾」を石川氏のブログにて掲載しているので詳細が気になるユーザーは、そちらも覗いてみてはいかがでしょう。

《森 元行》

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