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【レポート】SUDA51 VS ゲーム業界を目指す学生 in 神戸電子専門学校セミナー

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【レポート】SUDA51 VS ゲーム業界を目指す学生 in 神戸電子専門学校セミナー
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講演終了後、質疑応答の時間が設けられていました。ホールでの挙手によるやりとりがあった後、しばらく時間をおいてから情熱ある学生が6名集まり須田剛一氏へ質問を投げかけました。集まった6人はいわば次世代にして本物のSUDA51ファンです。

いの一番に飛び出した質問は「なぜ月をモチーフにするのか?」といういきなりマニアックなもの。たしかに『シルバー事件』や『killer7』といった須田氏の代表作では月が頻出します。

この問はメディアからもほとんどなかったのではないか、と前置きするほどの鋭さです。須田氏の答えはまず、犯罪や殺しに代表される狂気を表現する際、人が月に魅せられ堕ちていくことを表すものとして使っているというもの。さらに、一般的なゲームオーバー演出における自機の消滅といった記号的描写ではなく、「死を丁寧に描く」ために必要とのことでした。


また、"モンド"はじめ同じ名前のキャラクターがしばしば登場することについては、手塚治虫作品のスターシステムを意識しているそうです。須田氏によると、「キャラを創っているというよりは人間を描きたい」。ちなみに『KID』の"ミカ"も『ムーンライトシンドローム』の"ミカ"と同名、当時の主役に対する思い入れをにじませました。

月とならんでSUDA51作品頻出のプロレス要素については、「プロレスゲームを創っているわけではないので半ば趣味みたいなものですけれど」と前置きした上で、プロレスの投げや回転などのモーションが通常のアクションゲームの構文からすれば異質な体験であることを指摘。コンボアクション表現の先の演出として非常に優秀であるという見解をあきらかにしました。また、プロレスファンが世界中にいるためニッチなネタを仕込みやすいというメリットもあるそうです。


作品から少し離れてゲーム開発について、クリエイターとプレイヤーの距離が縮まり、インディータイトルも表舞台に出られるようになっている状況でプロに求められるものとはなにか?というこれまた切れ味の良い質問については「インディーが陽に当たるのは当然のこと」と即答。須田氏がこだわる音楽を例に、技量とセンスを持つガレージバンドが広がる一方で、それを持たないプロは駆逐されるであろうという見込みを示しました。また、いわゆるAAAタイトルは「オーケストラ」であり、他方でミドル級タイトルやガレージバンド級タイトルが存在するような、住み分け・層があればこそゲームは文化になり、エンターテイメントとして真の王者になりえるとのこと。


GhM作品で最近採用されているUnreal Engineについて質問を投げかけられると、採用したメリットを強調。導入前はハードを叩けるプログラマの一部が「仕事がなくなるのではないか」と拒絶反応を示したものの、いざ導入してみれば仕事は山積しているという現実に直面。そもそもUnreal Engine事態がEpic Gamesのフラグシップタイトルに最適化されているという側面があるため、そうした殻を破るためにはクリエイターたちの力が求められ、そしてプログラマはそこで手腕を発揮できるのです。なお、企画担当もある程度は操作できるように指導しているそうです。


よりゲームの内容面に突っ込んだところでは、「QTEをどう考えるか?」という質問が飛び出しました。たしかにいわゆるQTE要素に厳しい目線が向けられている昨今ではありますし、過剰なQTEがプレイヤーを萎えさせることもしばしばです。

この点について、須田氏はルール作りこそが最重要であることを指摘しました。たとえば、ミスすれば最初からやり直しになりプレイヤーに不快感を与えるようなことがあったとすれば、それはルール作りそのものに問題があるということ。また、とくにアクションゲームでは製作サイドが上手くなりすぎて感覚が麻痺してしまい、無闇に高難度化させてしまうリスクがあることも示しました。

『シェンムー』や『バイオハザード4』など、QTEが評価された作品がある事実。また、『ヘビーレイン』のようにゲーム全体がQTEのような作品がある事実。結局のところ、プレイヤーはどうすれば一番気持ちよくなるのか、あるいはクリエイターは一番何をして欲しいのかを突き詰めればよいとしました。

ここで須田氏が例示した、いかにもSUDA51的な事例が「格闘技」。ボクシングは立ち技しかないというリミテッドな環境でこそサイクルの速さやコンマ数秒の闘いといった独自の面白さが生まれており、キックボクシングでは一発KOのダイナミズムが加えられると表現。いわく、「ほんの僅かなルールによって面白さの性質は変わります。そういった本質を見誤らないでください」。じつに重いメッセージです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆



須田剛一作品は、おおむね一般的なゲームの面白さや表現の構文からは離れた、クセのあるゲームばかりです。 にもかかわらず、十代後半から二十代前半の学生たちが10年以上前からあるSUDA51タイトルに惹きつけられている。次世代の「同族」が生まれている。。まさしくPunk's Not Dead、なかなか感じ入るところがありました。
《Gokubuto.S》

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