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JRPG新境地―イメージエポック御影氏が語る・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第16回

JRPG――いつごろから、このような形で日本のRPGが呼ばれる様になったのでしょうか?すくなくとも筆者が米国留学時代、『ファイナルファンタジーVII』のトレイラーを店頭や劇場(!)で見たときは、そのような括りで日本制RPGが捉えられた事はありませんでした。

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―――ソニーのNGPや、ニンテンドー3DSについてはどのような展開を考えているのですか?

それぞれもう開発自体は進めています。これらのプラットフォームは、狙っているところが全然ちがいます。買ってくれるユーザ層も別なので、JRPGといってもそれぞれの端末にあったゲームにしないと売れないと踏んでいます。以前の携帯プラットフォームの場合は、前半戦はDS、後半戦はPSPと分かりやすかったんですが、今回は、作り手がハードの特性を充分理解してから開発しないと作り手側の問題でゲームが売れなくなる可能性が高くなります。ユーザーがそのハードに何を求めているのかというところが重要です。具体的な機能というよりは、ユーザーが持つイメージですね。ただ、去年の頭ぐらいに僕がずっと喋っていたのは、これからのゲームって、HDとか3Dとかじゃないよね、ということです。こういった視覚的技術っていうのは持って2、3年。これでは長いサイクルでのエンターテインメントは成り立たないんです。『モンスターハンター』の成功で重要だったのは「遊び方」です。How Toのほうに入っていくと人間はけっこう長く遊んでくれる。

―――JRPG宣言には驚かされましたが、そこまでこだわる理由は?

実は僕はゲーム開発においては、「何かをつくりたいから作る」というよりは、作れるものを作る、現時点での開発力で最上級のモノをつくると言う方針です。中堅クラスの作品を現在作っている理由は中堅クラスの作品が現状の力だからです。ひとりひとりのアビリティを向上させることはさほど難しくないんです。それをマネジメントして「パッケージ」にして世に出すのが難しいんです。ウチの会社は現段階ではそこまでが限界なんです。よりオリジナリティある作品を作りあげるには、後2、3年、チームとしての成熟期間が必要だと思っています。つまり、イメージエポックが面白い会社になるのは2014年からなんです。2014年からは他社では真似できない作品がウチからリリースされるようになるとふんでいます。超大作RPGを除いたRPGにおいては、14年までにイメージエポックはユーザーに認めて頂ける作品を確立出来るように努力しています。おそらく僕の視点というのはゲーム業界にいる他の皆さんとはまったく違うんだと思います。ですので、ここ5年の間で更に実績を重ね、自分の意見を業界内でちゃんと言える位の成功を収めるか否かが、自社にとっても業界にとっても重要なのではと思っています。

―――では、JRPG宣言の真意とは何ですか?

JRPGというのは定義が難しい。大人でさえ、正確にそれを把握することは出来ないと思ってます。結局「JRPG」という言葉を改めて発した時点で、それは新しいジャンルになるんです。イメージエポックがあって、御影良衛という29歳の社長がいて、という文脈の中で、新たに「JRPG」という概念を提示する。様々な人の中に、いろいろな考えが生まれると思います。皆さん、それぞれ勝手にいろいろなことを考えると思う。つまり「妄想のパンドラボックス」になるんです。それでいいんです。それがエネルギーだから。そのエネルギーを求めて人が集まる、注目してくれる。その力でイメージエポックが大きくなって、面白い作品が出来、僕のビジョンをなんらかの形で具現化したときに、皆が「僕たちが思い描いた会社になったんだ」という共有感を疑似的に感じてくれる。「僕たちが応援したイメージエポックになったね」という時に、ミリオンの賛同者なり、ミリオンセラーのソフトなりを得ることが出来るんです。

ひとつの提案を出した時に、これは企画もそうですが、形になっていてはいけないんです。皆で一緒につくるんです。一つのキーワードを使ってユーザーも僕も社員も10年、20年をかけて本当のJRPGを模索すればいいんです。たしかに僕の思うJRPGは多少はある。ですが、それが「JRPG宣言」で言うJRPGの全てではない。だから僕も一人の傍観者なんです。みんなでつくっていく中で、「それそれ!それが僕のやりたかった事」と言いたいんです。つまり、ワンポッドとクラウドです。クラウドしたものをワンポッドに入れて、どれかひとつが当たればいい。つまりゲームでなくてもいい。オンラインゲームでもいい、フィギアでもカードゲームでも、iTune配信でもいい。「ひとつのコンテンツがすなわちゲームでしょ!」という考え方です。ゲームが当たらなければその部署の価値は無いなんてことはありません。コンシューマゲームは大事です。ですが上手くいかないためにあらゆる事業部が無くなるということであれば、それは経営者の問題です。

■多人数とネットワークこそが未来のキーワード
《中村彰憲》
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