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【DEVELOPER'S TALK】音数の限界に挑戦、ハイスピードかつハイテンションなシューター+アクションの開発秘話~『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』

セガとプラチナゲームズとのタッグも4作目。『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』は稲葉敦志氏がプロデューサー、三上真司氏がディレクターとして手掛けたハイスピードかつハイテンションなシューティング・アクションです。本作の開発の舞台裏を聞きに行きました。

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―――開発に使用したミドルウェアについても聞かせてください。どのようなきっかけでCRIのミドルウェアを採用したのでしょうか?

萩山: 基本的には『BAYONETTA』がベースになっているので、ミドルウェアも継続して利用させてもらいました。

萩山氏
―――具体的な用途としては?

萩山: ムービーの再生に「CRI Sofdec」、音楽や効果音の再生には「CRI Audio」、ファイル圧縮に「ファイルマジックPRO」を使用しています。

―――CRIで当時開発中だった新ミドルウェア「CRI ADX2(※)」向けの高圧縮・低負荷コーデック「HCA」を先駆けて使用されましたが、どのように活用いただいたのでしょうか?

萩山: 今回、なるべく沢山のSEを同時に鳴らしたいという希望がありました。そこで、PS3やXbox360で同時に100音以上鳴らせる新コーデック「HCA」があると知り、ぜひ使わせてほしいとお願いをしたんです。「CRI Audio」の高圧縮モードでは70音程度までという制限がありましたので。それで実際100音以上同時に鳴らすことができました。「出せるだけ出したい」という三上さんも納得してもらうことができました(笑)。

ADX2・・・「ADX」、「CRI Audio」、「ファイルマジックPRO」を統合した、オール・イン・ワン型のオーディオソリューション。クロスプラットフォーム対応、サウンドオーサリングツールや新コーデック「HCA」を搭載し、ゲームサウンドのすべてをカバーするミドルウェア。2010年7月提供開始。

丹羽: 一度に登場する敵数が多いので、それに比例してSEの数も増えてしまうんです。好きなだけ出せればいいんですが、そうもいかないので、距離減衰(※)などを上手く調整して作りました。個々にうまく調整しないと、SE全体のバランスが崩れてしまうので気を遣いました。CRI AudioのAISACという機能で音の減衰具合を調整しています。

※距離減衰・・・ある音源から発生した音がどのくらいの大きさに聞こえるかは、音源と聞き手との距離によって決まる。離れれば離れるほど聞こえる音が小さくなる(減衰する)ことを距離減衰という。

丹羽氏
―――同時発音が100音ともなると、調整が大変ではないですか?

丹羽: そうですね。SEは3人が担当していたのですが、かなり調整に時間をかけました。これも距離減衰をどのくらいに設定するかがポイントになります。

―――SEは5.1ch対応ですね

丹羽: SEは5.1ch、BGMは2chですが擬似的にマトリックス再生を行っています。音は、見える範囲だけでなく、画面にない情報をプレイヤーに与える役割もあると思っています。例えば、後ろから撃たれているとか、敵が近付いている、といった情報を与えるのは、音にしか出来ない役割だと思っています。

―――ARモード時の音も特徴的ですね

丹羽: BGMもSEもスロー再生にして、高音、低音の帯域を削っています。エフェクトもかけていますね。画面の演出もそうですが、スローになったときの雰囲気をうまく出せていると思います。

―――ファイル圧縮やパッキングを行うミドルウェア「ファイルマジックPRO」はいかがでしたか?

萩山: ファイルマジックPROでパッキングをすることで、PS3は元データの80%程度、Xbox360では50%程度にまで圧縮できました。Xbox360では全てのファイルを圧縮しているので半分くらいになりましたが、PS3では一部のデータは圧縮せずに持っていたため、8割になりました。ただ、音声は「CRI Audio」、ムービーは「Sofdec」ですでに圧縮されているため、それ以外のデータでの結果になります。

―――他社のミドルウェアを検討されたりはしたのでしょうか?

稲葉: 普段から沢山の売り込みがありますので、色々なミドルウェアを検証しています。ただ、今まで採用したのはCRIさんの製品とHavok(物理エンジン)のみです。他のものは「帯に短したすきに長し」という事が多かったり、サポートに不安があったりで採用には至っていません。ありものを組み合わせるというスタイルだったら良いんでしょうけど、きっとカスタマイズをお願いすることになると思うので・・・。

萩山: その点、CRIさんは無理を言っても対応いただけるので(笑)。

稲葉: 僕もCRIさんは要望に対して果敢にチャレンジしてくれるというイメージが昔からあります。だから僕らの要望も高いものになっていくんですが、、、でも信じてます(笑)。無理そうなことでも「とりあえずやってみます」という姿勢でいてくれるので心強いですし、プラチナゲームズの開発スタイル、社風にも近いような気がします。

■プラチナゲームズの今後
《土本学》
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