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【特集】ゲームブックはオワコンなのか ― 「ドルアーガの塔」を電子書籍化した幻想迷宮書店が語る今と未来

名作ゲームブック「ドルアーガの塔」三部作を電子化し、一躍注目を集めた“幻想迷宮書店”。その後も意欲的なリリースを続けると共に、電子書籍としてのメリットを生かした「ゲームブックの進化」にも取り組んでいます。

その他 全般
 
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ゲームブックの最前線に切り込んだ“幻想迷宮書店”。一時期の停滞期こそ脱したものの、ゲームブックの勢いはまだ活気に溢れるとは言い難いのが現状です。このような状況の下、ゲームブックのKindle化に踏み込む“幻想迷宮書店”は、まず「ドルアーガの塔」三部作をリリース。いずれも500円以下という手頃な価格と、指定のパラグラフへの自動ジャンプといった電子化ならではの利点を武器に、華麗なデビューを果たしました。


その後も、「展覧会の絵」や「魔人竜生誕」などのゲームブックを電子化という形で復刊。また名作RPG『ウィザードリィ』をモチーフとした小説『隣り合わせの灰と青春』もリリース。この動きにゲームブックファンは歓喜し、“幻想迷宮書店”に熱い関心を寄せました。

「ドルアーガの塔」三部作と共に姿を現し、ゲームブックファンの注目を瞬く間に集めた“幻想迷宮書店”。それだけに多くの関心が寄せられており、また今後の展開なども気になるところ。前触れもなく突如現れたように思える“幻想迷宮書店”について詳しく伺うべく、代表を務める酒井武之氏をお招きし、ゲームブックの関わりやリリースに向けた姿勢、これからの方針などを伺いました。まずは、代表を務める酒井氏の経歴に迫ります。

こうして、インタビューという名の冒険、これからとこれまでを語る旅路が始まった。行く手に待ち受けている文字の海は広大で、終わりの地平はまだ見えない。このまま読み進めてもいいし、未開の海に漕ぎ出すのに不安がある場合は、遡って情報の入手に挑んでもいい。

・いざ、インタビューへ!
→ このまま進め

・ゲームブックの歴史を辿りたい
2へ進め

・先は長いだと? そこまでつき合っていられるか!
14へ進め

■“幻想迷宮書店”と、代表の酒井武之氏に迫る


酒井氏

──「ドルアーガの塔」三部作のKindle化は、ゲームブックファンにとって大きな驚きであり、また朗報でした。それだけに、この展開を打ち出した“幻想迷宮書店”に興味を寄せている方々も多いので、その代表を務める酒井さんの経歴からお聞かせ願えるでしょうか。

酒井氏:私はかつて創土社に務めておりまして、そこで14年間編集をやってたんです。その時に「ソーサリー」や「ドルアーガの塔」、「グレイルクエスト」などのゲームブックを出しておりまして、その時の経験や縁などのおかげで、ゲームブックのクリエイターの方々とお付き合いがあったんです。

創土社や「ソーサリー」という単語にピンと来ない君は、ゲームブックの歴史を振り返ってもいい。その場合は2へ進め。気にせず読み進めるのも、もちろん自由だ。

──あの創土社にいらっしゃったんですか。

酒井氏:その後、創土社を辞めまして、出版業界を一度離れたんです。そして、これはたまたまだったんですが、新たな職場で電子書籍を統括する部分を任されました。その統括には、企画編集も含まれていたので、創土社での経験があったからかもしれません。

ただこの電子書籍部門は、ある問題点を抱えていたんです。当時、電子書籍の制作は外注に任せる形だったんですが、これだとどうしても時間がかかるんですよね。原稿を用意して提出してから完成するまで3ヶ月かかるとか、そういうことがあったんです。

──結構かかるものなんですね。

酒井氏:ニュースサイトで出たものを再編集して出す、ということを行っていたんですが、どうしても時間がかかっていたので、書籍のテーマの旬の時期を逃してしまうんですよね。なので上からも「何とかして早く出せないのか」と言われていたんですが、外注している限りどうにもならない部分も大きかったんです。

その後、担当者との話し合いや改善を経て、1~2週間で何とかしてもらう形に持っていったのです。ただそのためには、内部で完成品に近いところまで作る必要がありまして。こういった過程がありまして私は、電子書籍の構造や作成の基礎部分などを学ぶことができました。

実はそれまで、電子書籍についてもほとんど知らないほど、ITリテラシーが非常に低い人間だったんです。ですが、この一件で電子書籍と出会い、詳しくなったことで、「これはゲームブックと非常に相性のいい媒体だな」と実感したんです。

──さきほどのお言葉をお借りしますが、仕事で“たまたま”出会った電子書籍が、酒井さんに大きな変革をもたらしたわけですね。

酒井氏:こういった相性の良さに気付いたのは自分が最初ではなくて、すでに同人などでゲームブックと電子書籍を融合させた方はいらっしゃったんですよ。パラグラフにハイパーリンクを埋め込むといったような形で。恥ずかしながら、自分がそれを知らなかっただけなんです(笑)。ともあれ、ゲームブックと電子書籍の相性の良さに気付いたのが、今日に至るきっかけになりました。

──創土社の経験と電子書籍との出会い、この2つが“幻想迷宮書店”の成り立ちに繋がっていったんですね。ちなみに、電子書籍部門の統括をされていた会社を辞められたのは、“幻想迷宮書店”を立ち上げるためですか?

酒井氏:はい、そのためです。辞める前から、(ゲームブックなどの)著者の方には声をかけておき、準備を進めておきました(笑)。スタートと同時に「ドルアーガの塔」三部作を出したかったので。
公式サイト

──なるほど。その準備の良さが、リリースに早さに繋がったと。

酒井氏:理想のペースで言えば、毎月4冊くらい出せるといいんですが、なかなか難しいですね(笑)。でも当初から、毎月1冊出せていければいいかなと思っていたので、ペースという意味では順調ですね。

──スタートダッシュを切った「ドルアーガの塔」三部作のインパクトは大きかったですよ。

酒井氏:Amazonのレビューでは、「おっさんホイホイ」とか言われてましたね。(笑)

酒井氏が歩んだ経歴が、“幻想迷宮書店”立ち上げに大きな影響を与えたことが判明した。これは大事な情報かもしれない。冒険記録用紙に書き込んでも構わない。もちろん、覚えている自信があるのなら、記憶に頼るのもいいだろう。

さあ次は、ゲームブックが電子化することのメリットが語られる。これは見逃せない展開となりそうだ。

・ここは大事なところだ。しっかりチェックしておこう
4へ進め

・知らないとでも思ったか! その情報は不要だ、一足先に行く
5へ進め

《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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