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【GDC 2015】ゲーム業界からピクサーへの転身、そこで学んだ「物語を支えるデザイン哲学」とは?

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【GDC 2015】ゲーム業界からピクサーへの転身、そこで学んだ「物語を支えるデザイン哲学」とは?
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1987年からゲームグラフィッカーというキャリアをスタートし、数社を経て、アニメーションスタジオのピクサーに入社。16年の間にピクサーを代表する複数のアニメの制作に従事。2011年にいまのDynamightyというデベロッパーを立ち上げて再びゲーム業界に戻ってきたMark Holmes氏。

Dynamightyが昨年プレイステーション4やiOS/Androidでリリースした『CounterSpy』(日本国内ではSCEから配信)は、ゲーム性もさることながらビジュアルスタイルでも非常に高い評価を受けました。ピクサーで多くの事を学んだというHolmes氏。デザインに対する考え方やピクサーでの経験について語りました。



Holmes氏は「良いデザインとは何か?」と聴衆に問いかけてこう答えます――「物語を支えるデザインこそが良いデザインである」と。これはピクサーの教えだと言います。

約10年間のゲーム業界での経験を経て1996年にピクサーに入社したHolmes氏でしたが大きなショックを受けたそうです。当時のゲーム開発では一人が何役も担当するゼネラリストがまだ多かったのに対して、ピクサーでは既に分業制が確立し、多くのスペシャリストが協業で作品を作り上げていたそうです。

そこで貫かれていたのが前述の「物語を支えるデザインこそが良いデザインである」ということだったそうです。物語があり、そしてデザインがある。これは一見当たり前の事ですが、ピクサーでは完全に貫かれ、1フレーム、1フレームが意味を持つような設計がなされていたそうです。全体から細部に至るまで。

例えばカラースクリプトという仕組みです。色の台本のようなアートワークの集まりです。オープニングからエンディングまでの代表的なコマが描かれ、全体のテイストを定義するものです。「Mr.インクレディブル」の例でも、テイストが遷移していっている事が分かります。オフィスの中では落ち着いたモノクロの雰囲気、外ではヒーローらしい華やかな雰囲気も見られます。



「プロダクションデザイン」では描かれている世界の全体図が示されます。「ウォーリー」の例では、人類が住む宇宙船「アクシオム」の内部の位置関係などがこれを見れば一目瞭然です。また、アクシオムにはエコノミーやコーチなどのクラスがあり、区画によってデザインは異なっています。富める場所とそうでない場所をデザインで一目瞭然にするためのデザインがここにはあります。



Holmes氏はピクサーにおいては「真実味のある世界を作る事が求められ、それはデザインをロジックで考えるということでした」と話します。そのためには、膨大なリサーチが必要であり、それはピクサーのデザイナーにとっては最も大事な仕事だったと言います。

無論、視覚的に物語を伝えることも重要です。Holmes氏は幾つかの例を紹介しながら説明しました。例えば「終わりで始まりの4日間(Garden State)」という映画では、感情を失った男が、天真爛漫な女性と出会う事で心を取り戻していくという物語が描かれます。デザインでは、モノクロとカラフルというパターンで男の心情を強調しています。最初は真っ白だったものが、最後には僅かなオレンジが交じるのです。



Holmes氏は「デザインは物語を伝えていくものでなければなりません」と繰り返します。単純に美しいだけではなく、あらゆる場面、あらゆるショットで物語を伝える。それこそがデザインの仕事だというわけです。「バンビ」ではデザインでバンビの感情が見事に表現されています。



多くの事をピクサーで学んだHolmes氏は2011年にDynamightyを共同創業してゲーム業界に戻ってきます。"ピクサーのやり方でコアなモバイルゲームに挑戦する"というのがテーマだそうです。

処女作は『CounterSpy』で、モバイルだけでなくコンソールでの発売も実現しました。スパイをテーマにしたゲームですが、Holmes氏はとにかくまずこの分野を研究し、どのような期待がされているのか、それを表現するのに相応しいデザインを探ったということです。舞台は東西冷戦時代であり、少し古めかしい映画のモチーフなどは大いに参考にされたようです。



本作でもピクサーの「カラースクリプト」や「プロダクションデザイン」のような手法が使われています。デザインの評価も高い本作ですが、披露されたアートワークの数々からも、Holmes氏が注いだ情熱が伺えますね。



『CounterSpy』は現在PS Plusにて無料配信されていますので是非チェックしてみてください。
《土本学》

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