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世界が認めた開発力、欧米を中心に『UFC Undisputed』シリーズが大ブレイク中のユークスに迫る!・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第14回

日本においては、K-1やDynamite!といった総合格闘技のファンが数多くいますが、欧米においても同様に総合格闘技には熱心なファンが数多く存在します。欧米において特に人気のある総合格闘技がUFCですが、これを忠実に再現し、大ブレイクを果たしたのが、ユークスです。

ゲームビジネス 開発
UFC Undisputed 2010
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日本においては、K-1やDynamite!といった総合格闘技のファンが数多くいますが、欧米においても同様に総合格闘技には熱心なファンが数多く存在します。欧米において特に人気のある総合格闘技がUFC (Ultimate Fighting Championshipの略)なわけですが、これを忠実に再現し、大ブレイクを果たしたのが、ユークスです。

同社は3Dプロレスゲーム開発の老舗として知られ『UFC』リリース前にもアメリカのエンターテインメントプロレスリングをゲーム化した『WWE Smackdown vs. Raw』(以下、『WWE』)シリーズを開発してきました。

そこで今回は、大阪に本社を置くユークスを電撃取材。日本にいながら海外で大ブレイクする作品を如何に開発するのか、同社開発部のシニアテクニカルディレクターである森田隆則氏と同じくシニアテクニカルディレクターの上野浩樹氏にお話しを伺いました。



■世界で400万本を売り上げ、ファイティングゲームブランドの垂直立ち上げを実現した『UFC Undisputed 2009』

―――ユークスといえば、『UFC Undisputed』(以下『UFC』)が世界中で話題となりましたが2009年版が世界で400万本売れたとき、皆さんは率直にどう感じられましたか?

上野浩樹シニアテクニカルディレクター(以下、上野):本当にもう感極まりないですね!(笑)

森田隆則シニアテクニカルディレクター(以下、森田):正直、最初はあんまり実感なかったですね。国内だと何かと分かりますけど。日本で400万本と言えば国民的RPGのレベルですからね。ただTHQ様が、タイトル関連の記事を翻訳して送ってくれるのでそれを読んで欧米での熱狂というのを改めて実感しています。

上野:また、レビューなども翻訳してくれているのでそれを読んで反響を楽しんでいますね。

―――UFCのプレジデント自らが御社のゲームを絶賛していると聞きました。

森田:すごく嬉しい事だと思っています。あの方は常々本当にエンターテイナーだなと思っています。

上野:嬉しいとは思いますが評価の点数的にはさらに上を目指したいなとも思っていますので、今後、課題を更に解決していきたいと思います。

―――まず、気になるのはなぜ、プロレスなのかというところなのですが?

森田:最初は2Dのプロレスゲームしかなかったんですが、これを3Dにしたら面白いのではという発想が生まれました。創業して2、3年という頃でしたから社長自ら企画しトミー様に『新日本プロレス闘魂伝』を提案したのが最初です。ちょうどプレイステーション(以下、PS)が出る時期だったことと、プロレス好きだった開発スタッフがいたこと、ロープやコーナーというところの演出を3Dでダイナミックに行うという点に新規性とキャッチ―な部分があったことから提案が受け入れられたのではと思いますね。

―――そのようにスタートしてから『闘魂烈伝』シリーズをリリースしていくわけですが皆さまが実際に開発に携わりはじめたのはどの頃からでしょうか?

森田:私はドリームキャスト向けにリリースした『新日本プロレス闘魂烈伝4』から開発に携わっています。当時レスラーの3Dスキャンなどもおこなったんですが、新日本プロレスに出向いてT字になっていただいたのをいまでも覚えています。ただし、技などはほとんど手付けですね。

―――プロレス系ゲームを実際に海外で始めた経緯はいつごろからなのでしょう?

上野:90年代後半は、WWFが米国を中心に非常に人気が出ていたのですが、それに合わせてゲームも海外でリリースされていたんです。それらの作品をプレイしたとき、これだったら我々も開発出来るのではということで売り込みにいったのが『WWE』につながりました。98年ぐらいから開発を進め00年3月に初めてリリースしました。

森田:当時社内にもWWFを大好きなスタッフがいまして、その情報を社内に広げました、ですが、ゲーム自体は、実際のプロレスと比べて面白いものが海外に見当たらなかった。そこで「これが現状なら俺らのほうがもっと面白いものが作れる!」という思いが広がったという経緯がありました。当時3Dのプロレスゲームは出ていたのですが、かなり大味なゲームデザインでしたね(笑)。そこで『WWE』では動きへのこだわり、可能なアクション、見た目、ダイナミックなカメラワークを徹底的に追及していったのです。

―――技については『闘魂』と同様に手づけなんですか?

上野:『WWE』についても当初は『闘魂烈伝』と同様に手づけから入りましたが、今はモーションキャプチャーをしています。ただ、モーションはスーパースター本人から直接モーションをとるのではなくて、アクターの方に技をかけていただいて取っています。場外乱闘なども(笑)

―――アクターの方はプロレスの専門家というわけではないですよね?

上野:いや、技もしっかりかけられないといけませんので、実際のWWEの選手ではあったりします。写真撮影やスキャニングなどモデリングに関しては実際のスーパースターの方々からデータを取っているんですが。これまで当方で蓄積してきたデータ量などもはや相当な量になります。『WWE』シリーズはもちろん、『UFC』シリーズに関してもTHQ様も積極的にデータをいただけるという点ですごく助かっています。

―――では、THQはどの程度開発に協力をしているんですか?

上野:海外のスーパースターについてはTHQが全てデータ収集をしています。かなり前からやっているので、互いにどうやったらうまくやれるかというノウハウがたまっているので、効率よく出来るようになったのではと思います。

―――スーパースターの外観をモデリングするうえで気をつけたことななんでしょうか?

森田:完全に見た目のところは海外がターゲットなので現場目線で確認していただいているところは大きいかなと思います。日本人の視点だと日本人レスラーの場合は区別がつくんですが欧米人のレスラーは欧米人の視点で見た方が見分けがつきやすいです。。目の光彩ひとつ、つけるつけないというところもアドバイスを受けます。

上野:やはり似てる、似ていないというところではないでしょうか。角度によっては似ていても、別の角度では似てない等..3Dなので360度モデルを回してチェックされるんです。

人間の細部まで表現


―――いままでお付き合いしてきた他のパブリッシャーなどと比較してどの程度の厳しさなんでしょう?

上野:ものすごく厳しいですね。THQ様がチェックするだけでなくSmackdown vs RawだったらWWE様からのチェックが入るんですが、団体様からのチェックがすごく厳しいんです。筋肉のつき具合からはじまって厳しく指摘されます。

―――技のチェックはどのような感じで開発が進んでいるのでしょうか?

森田:プロレスの場合はツープラトンのように複数制御をしなければならないのでそこが難しいですね。一人の場合とはまた違った調整をかけなければならないのですが、ここら辺の表現は『闘魂』シリーズから弊社のほうでシステムとして積み上げてきている感じです。

上野:細かいところではいろいろあったと思いますが、その他にチェックを受けたのは体格差ですね。IK(インバースキネマティックス)などを使って腕も伸縮しているわけですが、手が伸びていないので動きが変だ、といった指摘を受けました。

森田:『WWE』の場合は特に身長差が激しいスーパースターが試合をするのでそこの所はかなり難しかったなと思います。

上野:女性もいるんですが、女性の動きは男性の動きとはまた違うので大変でした。指摘もかなり受けましたし。

女性も登場


森田:これらのプロジェクトで最も学んだ事は、どんな事に海外の人がこだわるかというところですね。とにかくリアリティにこだわるという印象を受けます。

■長年の信頼関係から進んだ『UFC』のゲーム開発
《中村彰憲》
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