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『ららマジ』が大切にしている“キャラの生(なま)感”とは―シナリオ担当・西村悠&A-1 Pictures担当者インタビュー

『ららマジ』の成り立ちや、器楽部員やメインストーリーに対する“こだわり”を、シナリオライター・西村悠氏とA-1 Picturesの蟹江寛之氏に伺ってきました。

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『ららマジ』が大切にしている“キャラの生(なま)感”とは―シナリオ担当・西村悠&A-1 Pictures担当者インタビュー
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A-1 Pictures&Wright Flyer Studiosがタッグを組んで贈る『ららマジ』。2018年7月で1.5周年を迎えた本作は、“音と魔法の学園RPG”と銘打たれたタイトルで、30種の楽器から編成される「器楽部」にチューナーとして入部した主人公が、器楽部員たちの“傷”と“救い”に触れ、彼女たちの“心を調律”していくという物語です(大雑把な説明ですが)。

前々回のランキングイベントは累計ポイントで7位。初のレイドでは47位でした。
レイドしんどかった…。

実は、筆者である私編集部すえながは、本作を配信当初からプレイしているチューナーの1人です。勘の良い読者はもしかしたらお気づきかもしれませんが。

そんなこんなで、「『ららマジ』ミュージアム」に行ったりコミケに行ったり「2017年最もハマったゲーム」に挙げたり1周年記念召喚をしたり「器楽部会議」に行ったりGW企画に紛れ込ませたりと、いろいろやっていたのですが…今回、念願叶って、(1.5周年を記念した)インタビューまでこぎつけることができました!

インタビューに応えてくれたのは、メインストーリーを手がける西村悠氏と、立ち上げから本作に関わっているA-1 Picturesの蟹江寛之氏。『ららマジ』の成り立ちや、器楽部員やメインストーリーに対する“こだわり”を伺ってきました。ちなみに、Webのゲームメディアに『ららマジ』のインタビューが載るのは初めてとのこと。最後までお楽しみください。



――今日はよろしくお願いします。まず、お二人がどの様に『ららマジ』に関わられているのかを教えてください。

西村悠氏(以下、西村氏):『ららマジ』メインシナリオライターとして参加しています。ゲームの企画が走り始めた辺りで、A-1さんに声をかけていただきました。その時点ですぐにストーリーの基盤を作り、それをどんどんと発展させながらメインシナリオの執筆やゲーム内イベントシナリオの監修などを行っています。

蟹江寛之氏(以下、蟹江氏):弊社が新規事業としてゲーム方面のお仕事を探していた頃、ちょうどWright Flyer Studiosさんからお話をいただき、企画の立ち上げからリリースまでずっと携わっています。リリース後は、運営やイベント企画等はWright Flyer Studiosさんにおまかせしつつ、弊社ではメインシナリオとそのイベントスチル(メモリアルドレス)、絆ストーリーなどを制作したりしています。

――リリースからちょうど1年半ほど経ちましたが、ユーザーたちからの反応というのはいかがでしょうか?

西村氏:実はβ版のときからSNSなどでずっと反応を追いかけていて…(笑)。リリース後も温かく受け入れてもらえたので、ホッとした記憶があります。今でも、すごく褒めていただけていて、嬉しいですね。本当に感謝していますし、執筆の原動力にもなっています。

蟹江氏:メインストーリーは本当に評判が良いですよね。

西村氏:細心の注意を払いながら作っていますからね。でも、出す時は毎回本当に怖いです。これだけ自信満々で書いておいて、ダメだったらどうしよう…と(笑)。

蟹江氏:出した後に、ユーザーさんたちの反応を見て、本当に救われています。


――公式Twitterへのリプライなどを見ていると、ユーザーさんたちの暖かさを感じますね。

西村氏:Wright Flyer Studiosさんによる運営の誠実さもありますよね。メンテや不具合も少ないですし、もしあってもすぐに報告と改善がされるので。

蟹江氏:サポートセンターの対応も早いですよね。

西村氏:そうなんです!すぐに返ってきますね。すごいな、と。

――本作が“音と魔法の学園RPG”になったきっかけはあるのでしょうか。

蟹江氏:Wright Flyer Studiosさんからいただいた横スクロールアクションRPGの企画を拡げていったという形ですね。先方のプロデューサーさんが吹奏楽好きというのもあり、まずはじめに“吹奏楽・女の子”というのが出てきて、そこから「女の子をたくさん登場させる」「コラボも考えたいので、多重世界に」というように話が進んでいきました。他にも、「吹奏楽ってまだ未開拓だよね」「擬人化も流行ってるよね」みたいなお話もいただきましたね。

実は、『ららマジ』の企画が立ち上がったのは、いわゆるガラケー向けブラウザゲームからスマホ向けネイティブアプリへの転換期の頃で、最初に頂いたお話では、例えば「女の子が200人くらいいて、それぞれにレアリティの差がある」とかのセオリーは踏襲しつつも、弊社と組むのであれば「アニメ的な、ドラマチックなもの」を入れたいと相談されていたりもして。そういうたくさんのヒアリングや試行錯誤があり、最終的に、スマホ向けのネイティブアプリとして、今現在の『ららマジ』が出来あがったという感じです。

――その様々な試行錯誤の中、西村さんをメインシナリオライターに起用したのはなぜでしょうか。個人的には乙女ゲームの印象が強いので、意外な人選だなと思っていました。

西村氏:それは僕も聞きたいですね。

蟹江氏:いくつか理由はありますね。まず、Wright Flyer Studiosのプロデューサーからのオーダーとして「ストーリーをしっかり語れるものにしてほしい」というのがあったんです。でも、とにかく要素が多いですし、もちろん仕様上の制限との兼ね合いもあるので、これはちゃんと考えて作らないと厳しいなと。また、『ららマジ』は主に男性向けですが、女性にも好きになってもらえる作品にしたくて。それなら、乙女ゲームに携わっている方はどうだろうとも考えていました。ちなみに、「女性にも~」というのは、飯塚さん(※)にキャラクターデザインをお願いした理由にもつながります。僕は絵描きではないので、あくまで印象の話になってしまうのですが、飯塚さんのイラストって清潔感があって、女性も共感できる“女の子のかわいさ”がつまっていると思いまして。

(※編集部注:『ららマジ』キャラクターデザイン・飯塚晴子氏)

そんな中ちょうど、本当に偶然なんですけど、西村さんが上梓された「乙女ゲームシナリオの作りかた」というシナリオ教本を拝読したんです。その中で、すごく論理的にお話を繋いでいるのをみて、「これは相談できるぞ!」と(笑)。前述の通り、“音と魔法の学園RPG”になるまでいろいろあったので、要素がかなり多いのですが、西村さんならまとめてくださるのではないかと思ったんです。また、西村さんの小説も“心”に迫る物が多く、『ららマジ』のストーリーに似ているものを感じましたね。そこで、西村さんに相談したら、ちょうどお仕事に一区切りつくところとのことでしたので、お願いしたという形になります。巡り合わせですね。

西村氏:それから4~5年くらい『ららマジ』ばっかり書いてますね(笑)。

――構想からかなり時間をかけて出来上がっているんですね。

蟹江氏:おそらく業界的にもそうだったんだと思いますが、先ほどもあった通りブラウザからネイティブへの転換期の中で、本当にいろいろなことがありました。ある意味ドラマチックではあります(笑)。

――西村さんは最初にオーダーを受けた時にどう感じましたか?

西村氏:盛りだくさんだなと。最初に企画書を見た時は、「音楽系の部活で~」とあったので音ゲーかとも思ったのですが、読み進めていくと「戦う」と書いてあって驚きましたね。これは一回直接聞かないとダメだなと思って色々とお話を伺いまして。そこで、“女の子の心に迫る物語”という枠組みになっているのを理解できたので、それなら書いていけるなと思ったんです。先程もありましたが、僕は「好きなものを書いてくれ」と言われると、“夢”とか“心”などのお話を書きがちなんです(笑)。なので、「心の中に入っていく」というお話は相性がよさそうだなと感じたのを覚えていますね。


――その盛りだくさんな『ららマジ』ですが、メインキャラとして31人+1匹がいて、一人一人に細かいプロフィールが設定されていますね。こういった部分は西村さんが考えられているのですか?

西村氏:A-1さんがメインで設定されて、僕はストーリーを執筆しながら広げていきました。特に、菜々美や紗彩、結菜といった序盤に登場するキャラについては、それこそ、A子ちゃんB子ちゃんといったように、名前も決まっていない頃からストーリーを考え、キャラ性を固めていきましたね。菜々美の天才設定、紗彩の努力家設定もストーリーを考える上で生まれてきました。

――菜々美(第1幕)と紗彩(第2幕)のストーリーはある意味“対”になっていて印象深く、また「『ららマジ』とはどういうゲームなのか」を象徴するお話になっていますよね。

西村氏:そうなんです。菜々美と紗彩、結菜(第5幕)のストーリーをセットとして最初に作ったのですが、まず「世界観」を見せながらも、それだけでは終わらない第1幕を見せよう、という話になったんです。でも、そうすると、1幕だけじゃストーリーを全て見せきれないんですよね。なので、第1幕と第2幕を対にして、ここでストーリーをしっかりと見つつも、複雑な世界観を説明するという形にしました。

結菜のストーリーに関しては、菜々美・紗彩の後にビックリさせるようなものを見せるというのを考えていました。また、作品の背景にある設定を少し見せることで全体のストーリーを想像してもらったり、世界観の奥深さに触れていただこうという狙いもあります。。ちなみに、上記の3人のストーリーについては、お話を伺ったその場で盛り上がり、2時間くらいで大枠を固めることができました。

蟹江氏:第1幕、第2幕についてはかなり計算して作られているので、本当にうまくハマってくれたなと思っています。

西村氏:個人的にも、努力・才能というテーマは興味深く感じていて、全体としては紗彩のストーリーにつながるように作った感じはありますね。


――リリース後は、結菜のストーリーはシーズン1のシメとなる第5幕になりましたね。間にひかり先輩(第3幕)とかなえ(第4幕)を入れたのはなぜでしょう。

西村氏:菜々美、紗彩、結菜とそのまま続けると、重い話ばかりになってしまうので、比較的コミカルなひかりとかなえのストーリーを入れました。『ららマジ』にはこういう一面もあるよ、と見せたかったのもありますね。

蟹江氏:ここはいろいろと変更がありましたね。

西村氏:そうですね。ひかりとかなえのストーリーとなった第3幕・第4幕の枠って、最初は菜々美と紗彩のサブストーリーに使われる予定だったんですよ。でも途中から、全キャラ平等に扱って、彼女たちがちゃんと愛されるようにしようという方針に変わったので、その枠を使ってひかりとかなえのストーリーが作られました。

蟹江氏:ひかりとかなえは、アプリでは1場構成じゃないですか。でも、実は菜々美・紗彩と同じくらいのボリュームがあったんですよ。しかしそれだと、物量が多くなりすぎてしまうので、泣く泣くカットしています。

西村氏:菜々美・紗彩・結菜のストーリーも、最初は今の3倍くらいありましたね。さすがにそれだと「長過ぎる!」と言われてしまって(笑)。


――それは、いつか見てみたいですね…。

蟹江氏:僕は飯塚さんの絵がとても好きなんですが、『ららマジ』以外にも、“かわいい女の子キャラ”は世の中にいっぱいいて、人々に愛されてますよね。それこそ飯塚さんデザインのキャラも。そんな中で、例えば人気の絵師さんを集めれば最強のスマホゲームが作れるかと言ったらそういうわけでもないと思うんです。じゃあどうしたら『ららマジ』のキャラたちも愛してもらえるのだろうかと考えてみると、バックボーンを説明するしかないんじゃないかなと思ったんです。それで『ららマジ』では西村さんにシナリオをお願いして、“読んでさえもらえば好きになってもらえる”というところまでは持っていけたかと思います。

でも、今度は「スマホゲームのシナリオを誰が深く読むのか。スキップしちゃうんじゃ」という問題が出てきたり、「こういう理由でこのキャラはツンデレです」とすると、どうしても文章量が多くなってしまって…。それを少しでも減らすために「バトル中のセリフ」や「Live2Dアニメーション」を入れました。これでとりあえずシーズン1の結菜まで遊んでもらって、『ららマジ』の魅力を感じてもらえれば、シーズン2も遊んでくれるかな…と考えて作っています。なので、シーズン1のストーリーは比較的読みやすくなっているかなと思いますし、対してシーズン2以降は物量が増えています。

西村氏:シーズン2からはタガが外れました。外れすぎてシーズン3で少し戻したりしています(笑)。

蟹江氏:よく、「ひかりのストーリーがあっさりしてる」というお声も頂くのですが、実は上記のような背景があって、ひかりとかなえに関してはかなり読みやすく編集していたりします。ユーザーさんに『ららマジ』の世界に違和感なく入ってもらえるように、シーズン1は、本作の基本系である「ヒロインの心に潜って救いを見つける話」(菜々美)、同じエピソードに別のヒロインの視点が加わり「ヒロイン達の関係の中から救いを見つける話」(紗彩)、他人から見て些細な傷ながら成長とともに克服した「エピソードや救いの重さに関係なく、傷はヒロインの致命傷になりえるという話」(ひかり、かなえ)、そして最後に、この世界の謎と相棒への疑惑で揺さぶり「改めて主人公を音楽と魔法の冒険へと送り出す話」(結菜)という構成になっているのですが、当時は反応を見ながら本当に恐る恐る制作していたので、少し削りすぎてしまった感はありますね。今であればもうすこしうまくできたのかもしれません。

――ひかりとかなえのストーリーで、器楽部全員が重い傷を抱えているのではなく、年相応の、些細な傷を持っている娘もいる。というのを理解できた気がします。

西村氏:彼女たちのおかげで、『ららマジ』における「」ってこういうものだよね、とシーズン1で伝えられたかと思います。

蟹江氏:ゲーム内では一切使っていない表現なのですが、書いているとどうしても「トラウマ」寄りの重たい話になってしまう傾向があって。でも、30人全員がそんな重たい傷を持っていたら、とんでもない集団になってしまいますし、『ららマジ』という作品全体が暗くなってしまう。そういう風にはしたくなかったんです。

あと、人の心の中で戦う話なので、初期の頃にはバトル時でも過激な表現とか言葉遣いをしないように作っていました。第5幕までは、『ららマジ』のプレゼンテーションをユーザーさんやWright Flyer Studiosさんたちへしている、というような意識がありましたね。


西村氏:同時に、シーズン1を作る中で、自分たちの中でも『ららマジ』はこういうゲームなんだという共通認識を持てるようになったとは思います。それまでは本当に探り探りやってましたね。「20タップ、40タップで話が終わる」と言われて、どういうことなんだろうと(笑)。物量的に無理だと思ったので、ダメだったら全部書き直すくらいの気持ちで長大な話を書いたのですが「これで行きましょう!」といってもらえました。すごくありがたかったですね。そこから、第1幕・第2幕くらいのボリュームに収めていきました。

――気になっているのですが、器楽部の“顧問”っているのでしょうか。ある意味、百花先輩がその位置にいるとは思うのですが。

西村氏:最初に作ったストーリーには顧問はいたんです。その時に、これは“生徒の話”なので、露出は辞めましょうという話になったのを覚えています。

蟹江氏:先程もありましたが、リリース初期はストーリーを読んでもらいたかったので、余分なキャラやセリフは削りに削っているんです。それこそ、ホニャのセリフですら。その中で、(顧問としての役割は)百花に統合されていった形になります。リアルに考えればいるとは思うのですが。


――シーズン2以降のストーリーはどのように作られているのでしょう?

西村氏:シーズン2は“広がりをもたせる”というテーマが最初にありました。シーズン1では個人に焦点を合わせていましたが、今度は器楽部という集団を見てみようと。さくら(第6幕)から始まり、次に凜(第7幕)が来て…と人間関係が広がっていくように作られています。シーズン1が『ららマジ』の基礎編だとすれば、シーズン2は応用編ですね。こんなこともできますよ、と。夢世界の話も派手になっていると思います。

それから、シーズン2の春香(第10幕)から器楽部というものを直接描くようにしています。そして、亜里砂(第11幕)で器楽部の活動というのを夢世界でテーマとして扱い、チューナーたちの目指している“器楽部の復活”はきっとこうなるのだろう、というのをお見せしました。「さぁ、ここからは器楽部みんなで頑張ろう!」というところでシーズン2が終わり、シーズン3からは部活として動いていく形になっています。

――亜里砂先輩の第11幕、めちゃくちゃ良かったです…。

西村氏:ありがとうございます。でもすごく大変でした(笑)。エリートの音楽家ってなにをどんなふうに考えているんだろう、と悩みながら書いていましたから…。

蟹江氏:特に日本に思い入れがあるわけではない、自分のアイデンティティーを大切に思っているキャラですよね。あえて一般的な外国人キャラからはずして、異文化交流みたいなストーリーにしたかったんです。

西村氏:そうですね。なので、“不思議の国・日本に迷い込んだ亜里砂”で「不思議の国のアリス」をモチーフにして、彼女はなぜ日本にいるんだろうというところから深掘りしていきました。

蟹江氏:自分の居場所に誇りを持っているのに、なぜ器楽部にいるんだろう、というのを書けてよかったですね。個人的にもシーズン2のシメにピッタリだったと思ってます。


――それぞれの幕で、産みの苦しみ的なものはやはりあるのでしょうか。

西村氏:それはもう、全部ありますね(笑)。だんだん苦しくなっている気もします。第12幕まで来て、よくこんなにたくさん「傷」があるもんだなと思っています。でも、まだ1/3なんですよね(笑)。

――この後の調律順や、それぞれの「傷」ももう決まっているんですか?

西村氏:最初の時点で最後までの青写真というのは決めています。ただ、予定なので、実際の順番はユーザーさんのリアクションなどで変わってくるかも知れません。

蟹江氏:それぞれの「傷」もある程度決めてはいますが、リアルに描いているせいか、毎回ストーリーを作る上でキャラに対する発見が出てくるんです。もちろん、記号としての属性はみんな決まっているのですが、ストーリーを作りながらそこを掘り下げていくと、「この娘はこういう性格だから、こんな事言わないな」というのが出てきたりして、だんだんとドツボにはまっていくんです(笑)。

例えば亜里砂だと、“金髪・毒舌・外国人”、というのを見せれば良いのかもしれませんが、やっぱりキャラをもっと深く愛してほしくて、いろいろ考えるんですね。そうすると、妄想が広がりすぎてしまって(笑)。だんだん収集がつかなくなって、漠然と「亜里砂幸せになってほしい」とか思い始めます。他にも“紗彩はプロになれるのか論争”みたいなのもありました。

西村氏:ありましたね(笑)。僕は「プロにはなれないけど、街の音楽教室の先生」になるんじゃないかと思っています。

蟹江氏:僕は、プロとしてデビューしてもいいんじゃないかと思ってます。未だに決着ついてませんよね。こんな感じで、毎回いろいろなことを話しながら進めています。

西村氏:『ららマジ』の作り方は、“こうしたい”ではなく“こうあるべき”なんです。全体の流れをみた時に、必然的にこうなるよね、というのを意識しています。後ろ向きな話ではなく“こうあるべき”の中に“こうしたい”を探していくというか。よく、「幸の後は真中華の話」と言われるのですが、幸の次が智美なのは、それが必然だからなんです。

蟹江氏:「推しキャラが中々出てこない!」みたいなこともあるので、悩ましいところではあるのですが(笑)。スマホゲームのセオリーで言えば、本当はユーザーさんに「次、誰が見たい?」とかアンケートをとったりしたほうが良いのかも知れませんが、この作り方だからこそ『ららマジ』は愛していただけているのだと思っています。


――先程挙がった「不思議の国のアリス」の他にも、「学園天国」や「マランドリーノ」など、各幕の夢世界にはモチーフがありますが、これはどの様に決められているんですか?

西村氏:いろいろな角度からこれは決めていますね。例えば第1幕の場合、物語の要件として、いきなり夢世界でファンタジーな感じにしてしまうと、ユーザーさんが驚いて入りづらくなってしまうかなと思っていたんです。なので、まずは現実世界の延長のような夢世界から、だんだんおかしくなっていくようにしています。菜々美で言えば、心の深いところに行くたびに、バラが増えていって、最後はバラのディスコードが出てくるような。

蟹江氏:菜々美は「いばら姫」で“囚われた女の子を助ける”という非常にわかりやすいモチーフになっていましたね。他にも、打算的な話にはなってしまいますが、ストーリーを読んでもらえない場合というのも考えているので、なんとなく物語を想像できるようなモチーフを選んでいたりもします。

西村氏:もちろん、キャラに合ったモチーフかつ、マンネリ感が出ないように、というのもあります。幸の場合だと、ウクレレから「カノホナピリカイ(涙そうそう)」が出てきて、これは傷と合いそうだな、とか。

――ちなみに、先程産みの苦しみをお聞きしましたが、お気に入りのストーリーなどはありますか?

西村氏:毎回血を吐く思いで書いているので、どの話にも思い入れはあって。うーん…(笑)。

蟹江氏:逆に、世に出すのが恐かったストーリーとか。

西村氏:凜のストーリーは(受け入れられるか)すごく恐かったですね。凜、萌(第8幕)、蒼(第9幕)は、「ボリュームや開発コストを気にせず自由に書いてみてください」と言われて、本当に書きたいように書いたストーリーなんです。凜はそのトップバッターだったので。もちろん『ららマジ』全体の流れとか作品性を考えて書いてはいるのですが、心配でした。

――確かに、その3人はかなりフリーダムだった気がします(笑)。蒼先輩とかもすごかったですよね。いろいろな意味で。

西村氏:あれははっちゃけすぎてしまいました(笑)。僕は「2001年宇宙の旅」という映画で“主人公が人間から離れて行く”ということに孤独を感じたんです。蒼も自覚はないのですが、同じような孤独を抱えています。でも、映画とは違って、ラストはちゃんと器楽部に落ち着く。そういうお話にしたいなと思っていました。パロディはおまけです(笑)。

――蒼先輩のストーリーは、他とは毛色が違って印象的です。でも、菜々美の「ヴォン!」の印象が強くて(笑)。

西村氏:あれはネタとしてただ言わせたかっただけです(笑)。ちょっとでも笑ってもらえれば嬉しいなと思ったくらいで、深い意味はないのですが、思っていた以上に反響があって驚きました。


――シーズン3ではバンド組(フロウライン)の調律を進めていくことになるのですが、ざっくりどのような感じになるのでしょう。

西村氏:シーズン2などで仄めかされていた“物語の裏側にあるもの”がちょっとずつ出てくる…かも?乞うご期待ください。

蟹江氏:『ららマジ』にはチューナーを主人公とした2つの物語がありますからね。そろそろもう一つの方を見せていくことになるかも知れません。

リアルに存在するかも知れない『ららマジ』のキャラたち
すえなが

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