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【TGS2017】『サマーレッスン:新城ちさと』の体験は“心理のコミュニケーション”! この1年の歩みやVRの今後についてプロデューサー・玉置絢に直撃

「VR元年」と呼ばれた2016年、その象徴のひとつとも言えるPlayStation VRが発売されました。また同時に、多数のPSVR専用ソフトが登場して話題に。その中でも特に注目を集めていたのが、バンダイナムコエンターテインメントの『サマーレッスン』です。

ソニー PS4
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「VR元年」と呼ばれた2016年、その象徴のひとつとも言えるPlayStation VRが発売されました。また同時に、多数のPSVR専用ソフトが登場して話題に。その中でも特に注目を集めていたのが、バンダイナムコエンターテインメントの『サマーレッスン』です。

本作は元々、技術デモという形で開発がスタート。体験会やE3などで試遊出展が行われるたびに、『サマーレッスン』がもたらす新たな可能性に驚き、また製品化を望む声が相次ぎました。その要望に応え、『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』のリリースが発表され、PSVRの発売と同時となる2016年10月13日に登場しました。

その後も、『サマーレッスン:宮本ひかり』の体験を広げる様々なDLC展開やパッケージ化、そして新キャラクターとの新たな7日間を提供する『サマーレッスン:アリソン・スノウ 七日間の庭』の配信へと繋がり、デビューから1年も経たずに『サマーレッスン』の世界は驚くほどの拡がりを見せます。


そして、3人目のキャラクターが登場する『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード』を発表。キャラクターと触れあえるシチュエーションの数々を継続的に開発・配信するプロジェクト『サマーレッスン』が、また新たな1歩を踏み出すことが明らかとなりました。

『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード』は、2017年10月12日より配信を開始。昨年の10月13日から始まった歩みが、ちょうど1年で新展開を迎える形となりました。そこでインサイドでは、本作のプロデューサー兼ディレクターの玉置絢氏に、新作の魅力などを直接伺うインタビューを実施。玉置氏へのインタビューも1年ぶりなので、この1年の歩みや心情などにも迫ってみました。興味がある方は、昨年のインタビューと合わせてご覧ください。

■【インタビュー】『サマーレッスン』が提案する新体験は“人間関係の構築”…その真髄を原田P&玉置P/Dに訊いた
URL:https://www.inside-games.jp/article/2016/11/09/103312.html

◆夏が待ち遠しかった『サマーレッスン』


──『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』の配信開始から約1年が経ちましたが、まずはこの1年を振り返ったお話を伺ってもよろしいでしょうか。


玉置氏:そうですね……今年の東京ゲームショウも準備が大変だったんですけども、仲間と言い合っていたスローガンは「去年よりマシ」でした(笑)。とにかく去年は大変でした。

──去年の東京ゲームショウといえば、PSVRはもちろん、『サマーレッスン』発売の1ヶ月前でしたからね。リリースに向けた開発も大詰めだったことと思います。

玉置氏:それもありますし、当時からずっとお伝えしている通り『サマーレッスン』を継続的に開発しているので、(次の制作も)裏でずっと進めていたんです。ここが非常に辛くて。「ゲームソフトが完成して、いよいよ皆さんのお手元に届けるぞ」となるだけならいいんですが、DLCの開発なども同時にやらないといけなかったので。

そんな状態で東京ゲームショウに来ていたので、終わったらすぐに門前仲町にあるバンダイナムコスタジオに行って……みたいな日々でした(笑)。

──それは本当に、大変な時期でしたね。

玉置氏:それで『サマーレッスン:宮本ひかり』を出して、色々あったはあったんですが、技術デモでしかなかったものをちゃんと製品化してお届けできたのは一安心でしたね。

その時に気になっていたのは、「ユーザーさんがどういうものを求めているのか」「(『サマーレッスン』で)どういうことができるだろうか」といった点に加え、「ほかの会社さんがどういう動きをされるのか」でした。

まずVR全体に対して、「どういうものが流行っていくのか」。そして、日本特有とも言える「キャラクターもののVRについて、どこの会社がどういう動きをされるか」という点でした。

──『サマーレッスン』の反響はもちろんのこと、VR業界全体の動きや、特にキャラクターものに関する動向が気になっていたと。


玉置氏:当時は、ある意味「仲間がいなかった」という状態だったんですよ。でも、この1年間で非常に仲間が増えたのが、すごく嬉しいところです。

──今年の東京ゲームショウ含めて、キャラクター色の濃いVRタイトルは随分増えましたね。

玉置氏:それがひとつの励みになっていました。その中で、ユーザーさんから期待されていた「アリソン」というキャラクターを出したり、予想されていた方は少なかっただろうなと思う新キャラクター「新城ちさと」を発表したりと、すごく実りの多い1年でした。それも全て、VR元年と言われた2016年が終わっても、ユーザーさんが引き続きVRに注目し、関心を寄せて下さったおかげだなと思っています。

──実りの感謝の1年だったんですね。

玉置氏:あとこの1年間で言うと、最初の『サマーレッスン:宮本ひかり セブンデイズルーム』の発売が去年の10月だったので、「夏よ、早く来い」って思っていました(笑)。

──サマーのレッスンですからね(笑)。

玉置氏:夏が来たときの、「ここでいかに何をやるか」というテンションの高さはすごかったですね。今年の6月にアリソンを出した時は、「ようやく名前に合った時期が来た!」と喜びつつリリースしました(笑)。

あと、社内では“『サマーレッスン』季節商品説”というのが一時期ありまして。他の会社さんで言うところの「布団は冬に売れる」「かき氷は夏にしか売れない」みたいな傾向が『サマーレッスン』にあるんじゃないか、っていう。

──その結果は、どうでした?


玉置氏:おかげさまで、秋や冬も順調でした(笑)。どんな季節でも、「夏の爽やかなひとときを過ごせる」という需要があったみたいですね。

──バーチャルの中では常に夏なので、“通年通用する季節商品”なのかもしれませんね(笑)。

玉置氏:夏は夏で、外に行く時間のない人が、『サマーレッスン』の中で夏を楽しんでくれたようです。夜中でも、夏の昼間が味わえますからね。

──冬の最中は、夏の暑さを求めるように『サマーレッスン』に……といった感じですね。

玉置氏:言ってみたら、ハワイ旅行に行くようなものですよ(笑)。

──なるほど! それもまたVRの醍醐味ですね(笑)。

◆発売後の拡がり、そして『サマーレッスン』が“ものさし”に


──『サマーレッスン』が発売された後に、印象深かった反響や動向などはありましたか?


玉置氏:いわゆる「コアゲーマー」層ではない方々、つまり普段ひとりでゲームをやらない人や、オンラインを通じて見えない人と一緒に遊ぶのがちょっと怖いと思うような人たちの中に、『サマーレッスン』を遊ばれている方がいるんですよ。しかも、パーティゲームの一種として。

──パーティゲームとして、ですか? それはどういった感じで?

玉置氏:誰かが『サマーレッスン』をプレイしているところを、周りの友達が「こいつ、どういうことをするんだろう」と、プレイヤーの行動やリアクションを見て楽しむ、といった感じですね。

「友達が遊びに来るから『サマーレッスン』を買った」という人もいたりしました。こういう楽しみ方は、コアゲーマーではない方々に見られる傾向ですね。こういう消費のされ方をするのはすごく珍しいですし、その反面、今の世の中に合ってるなとも感じます。

──VRというコンテンツを、色んな方々がそれぞれの楽しみ方で満喫しているんですね。

玉置氏:TVゲームの歴史上、とても大きなライバルだったのは“インターネット”だと思うんです。インターネットがMMORPGやソーシャルゲームを生み出しているので、そういう意味では味方でもあるんですが、LINEやTwitterをやってる時間はかなりのウェイを占めてますよね。昔だったらその時間にゲームをやってくれた、という想いがありまして。

LINEやTwitterなどが流行っているのは、「リアルな人間同士のコミュニケーションが、ゲームをするよりも楽しい」という側面があるからだと思うんです。その意味で、ゲームの存在は圧迫されているわけです。そんな時代の中で、“VRでの体験がリアル・コミュニケーションのダシにされている”という状況は、すごく面白いことですよね。

LINEやTwitterでのコミュニケーションや実際に会って時間を過ごすのが楽しいと思ってている人たちも、大騒ぎするネタのひとつとして、「アイツが面白い機械を持ってるから、『サマーレッスン』やってみんなで笑おうぜ」と集まって楽しむ。そんな現状を見て、ここに新しい市場があると実感しました。

──昨年のインタビューで、『サマーレッスン』はゲームではなく体験を提供すると伺いましたが、プレイしている方が体験するだけでなく、その場にいる全員の共有体験にも成り得たわけですね。


玉置氏:PSVRには、プレイしている映像を同時にTVへ出力する「ソーシャルスクリーン機能」があるので、共有体験にはうってつけですしね。また、『サマーレッスン』はシェア機能に対応しており、しかも禁止区域は一切設けていません。エンディングも含めて、禁止せずに流せるようになっています。

──それは『サマーレッスン』の体験が、より多くの方に、より幅広く伝わるようにという狙いですか?

玉置氏:はい、そうです。あの「ソーシャルスクリーン」機能を作られたのは、ソニーさんの英断でしたね。まさに先見の明です。

──前回のインタビューで「“VRの世界はこうなる”という未来を提示したい」と仰っていましたが、今のお話はまさにその一端ですね。

玉置氏:すごく嬉しく思っています。さきほど話した内容と重なりますが、『サマーレッスン』しかないという状態は一番良くないんですよね。でもこの1年で、セガさんの「初音ミク Project DIVA」」、SIEさんが協力されているところでは『FGO』や「化物語」のVR展開。今回の東京ゲームショウでは、カプコンさんの『囚われのパルマ』、コナミさんの『ラブプラス』もキャラクターVRジャンルに入ってきて頂けて、今やVRでキャラクターものをやっていない会社を探す方が難しいんじゃないかって思うくらいですよ(笑)。

この現状を踏まえると、日本のゲーム会社がVRでキャラクターものをやるのは、やっぱりすごく向いてるってことですよね。この方向は、海外のメーカーには真似できない、日本のメーカー独自の強みなので、これが発展していくのはすごくいいと思います。

去年は、VRそのものの話題性がすごかったので、「なんでもかんでもVRに」という感じがありました。ですが今年は、各社さんが「何をVRにすると魅力があるか」を考えて作っている状況になってきて、その結果キャラクターものが多く選ばれている状況に注目して欲しいですね。

──キャラクターもののVR展開、確かに広がっているように感じます。

玉置氏:この分野自体がどんどん広がっていく──「そうなるだろう」という予想もあり、また「そうしたい」という想いがあって『サマーレッスン』を作り始めたので、嬉しいと同時に、狙ってた通りになっていく手応えを覚えています。

──VRを用いたキャラクター展開は、今後も勢いを増すでしょうね。


玉置氏:各社さんがキャラクターもののVRを用意されてきた中ですごく嬉しいことがあって、ユーザーさんの反応として、それらのタイトルと比較対象になるタイトルといえば必ず『サマーレッスン』なんですよ。『サマーレッスン』に対してアノ作品はどうだった、と言われることが多いんです。

『サマーレッスン』は全てが完璧なゲームだ、などとおこがましいことは言えない、最初の試みですから、「『サマーレッスン』よりもここがよかった」という言われ方もするのですが、私達にとっては“ものさしが『サマーレッスン』”という点がすごく大事なことなんです。例えば、炭酸飲料の場合に「コーラと比べたらこうだった」と言いますよね。お酒だったら「ビールに対してこうだった」と。

それと同じ話で、その位置に『サマーレッスン』を置いていただいているというのは非常に嬉しいことです。実は『サマーレッスン』には、“型を作る”というミッションがありまして、これまで確固たる形がなかった「VRキャラクターもの」で何ができるのか、その“型”を作ることで今の大きな流れを見極め、更に先へ進めるような道標とする。そのミッションが成功し、無事に実ったのでホッとしています。

──“ものさし”が出来上がったことで、業界全体の活性化にも繋がると。

玉置氏:実際『サマーレッスン』って、クリエイターさんからの注目も高かったんですよ。私ごときではなかなか会えないような方にも、いっぱい会わせていただきまして。それまでは、1年間で100枚名刺があれば事足りていたんですが、1年で7~800枚ほど無くなりましたね(笑)。

色んなクリエイターさんと出会い、「これ(『サマーレッスン』)はすごい!」や「なんで俺はこれに関わってないんだ」といったお言葉や、「俺は、ここはこうするべきだと思う」といったご意見など沢山いただきました。

──そういった声を上げたクリエイターの方々が、「VRキャラクターもの」を手がけ、それが形になりつつあるわけですか。

玉置氏:規模にもよりますが、取り組み始めてから形になるまで、1年くらいはかかりますから。

──『サマーレッスン』で刺激を受けた方たちの動向が、ちょうど表に出る時期と言えますね。

《臥待 弦》
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