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【TGS2017】『サマーレッスン:新城ちさと』の体験は“心理のコミュニケーション”! この1年の歩みやVRの今後についてプロデューサー・玉置絢に直撃

「VR元年」と呼ばれた2016年、その象徴のひとつとも言えるPlayStation VRが発売されました。また同時に、多数のPSVR専用ソフトが登場して話題に。その中でも特に注目を集めていたのが、バンダイナムコエンターテインメントの『サマーレッスン』です。

ソニー PS4
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◆三人目の教え子「新城ちさと」の魅力は、“心理のコミュニケーション”



──ここからは、『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード』についてお聞かせください。技術デモでもお披露目されていたアリソンの登場は、ユーザーさんにとっても驚き半分期待半分だったと思いますが、まったく新規のキャラクターによる『サマーレッスン』の発表は、多くの方が驚きました。

玉置氏:急な発表でしたよね(笑)。

──驚いたことは間違いありません(笑)。ちなみに、「新城ちさと」の構想自体はいつからあったのでしょうか?

玉置氏:構想自体は、それなりに前からですね。どういうラインナップのキャラクターがいれば、『サマーレッスン』がVRというジャンルの中でしっかりと立っていられるかということを考え、三人目が必要という結論に達しました。

──では、一人目二人目で人気が出たからではなく、『サマーレッスン』に必要不可欠なもう一人として生み出されたわけですか。

玉置氏:そうです。あ、「サマーレッスン」自体に人気が出たからというのもありますが(笑)。でも、二人目だけでよかったのかと考えた時、もう一人いた方がバランスがいいと思いました。

──では、ワガママで主人公を振り回すというちさとの性格付けについても、ひかりやアリソンにはない側面だからなんですね。

玉置氏:ひかりとアリソンも、それぞれ異なる方向性のキャラクターとして作れたと思っていますが、ちさとは二人とは更に距離が離れています。新たなユーザーさんが『サマーレッスン』に興味を抱いた時、趣味嗜好の最大面積をカバーできる布陣としたらこの三人かな、と。

ちなみに、ひかりやアリソンと比べた時に、ちさとへの反響の大きな違いは、ちさとを気に入ってくれた人たちの「好き度合い」が異常なんですよね(笑)。食いつきがすごくて、「好き」と断言する人が多いんですよ。「VRっていいものですね!」「このキャラ、私はすごく好きです」といった強めの意見が多くて(笑)。

──熱量が高いんですね(笑)。

玉置氏:はい。そこが、ちさとの面白いところです。もちろんひかりやアリソンを好きな人も多くて、うちの社内の人間でも、それぞれで推すキャラが違ってたりしますね(笑)。

──『サマーレッスン』担当部署にいる、それぞれを推す人たちを集めた対談とかしたら楽しそうですね(笑)。

玉置氏:上司から同僚、別部署の人まで、色々な反応がありましたよ。製品の話をしていたのに、いつの間にか推しキャラの話になっていたりとか(笑)。人によって好みが違うので、反応が面白いですね。

──ユーザーさん同士でも、そういう話で盛り上がっていますしね。

玉置氏:それをやって欲しかったところもあるので、すごく嬉しい話です。


──これは勝手な解釈なんですが、「宮本ひかり」の時には“距離のコミュニケーション”を感じ、「アリソン」の時は“異文化のコミュニケーション”を感じました。そういった切り口で考えると、「新城ちさと」とはどのようなコミュニケーションが楽しめまるのでしょうか?

玉置氏:その形で言うと、“心理のコミュニケーション”です。台詞が独特で、先生(プレイヤー)に対してわざとプレッシャーをかけてみたりとか、ちょっとおちょくった言い方をしたりと、先生を翻弄して楽しむキャラクターなんですよ。

今までのコンテンツのように、音声や文字だけで言われるのと大きく異なる点なんですが、実際に目の前にいるような距離感で翻弄されるような台詞を言われれると、人間ってすごく慌てふためいたりするんですよ(笑)。その体験が、アトラクションとして面白くて新鮮な部分です。心理的な駆け引き──とまでは言いませんが、心理的に仕掛けてくる人に対して自分がどういう気持ちになるのか、それを楽しむアトラクションになりますね。

──言葉がそのまま気持ちを現しているのではなく、裏の意味があるわけですね。

玉置氏:本気で言ってるわけじゃなく冗談でわざと相手をからかうようなことを言って、相手がどんな反応をするかを楽しむ、といった人と会話している感じの面白さがあります。そこにもちろん、距離によるコミュニケーションや空気感なども入ってくるので、皆さんドキドキするんじゃないかなと思います。

──そういう接し方をする人は、ゲームや映画などではよくいますが、現実世界にはなかなかいませんよね。そういったものを求める人にとっては、まさにうってつけの存在ですね、ちさとちゃんは(笑)。

玉置氏:この部分を調整するのは、すごく大変だったんですよ。

──ソフトだと物足りないですし、キツすぎると抵抗感が出てきそうですしね。確かにデリケードな部分だと思います。

玉置氏:「嫌味や敵対している感じではない、愛を持ってイジってくる人」というくらいのニュアンスに留めるというのが、大きなミッションでしたね。

──では、その点はしっかりとクリアできたと。

玉置氏:はい、クリアできたかなと。ちさとのCVを担当している畑中万里江さんも、台本だけ見て喋ってる段階では「ちさとちゃん、嫌われないかな」と不安だったらしいんですが、実際にやってみて「ああ、これなら大丈夫だ」と安心していただけました。

──ちさとみたいな女の子とは、会いたくても会えませんからね(笑)。

玉置氏:エキセントリックなキャラと会えるのも、『サマーレッスン』の魅力かなと思います。

──新たに加わる魅力、楽しみです。ちさとについてもDLCが予定されていますが、こちらも想像力をかき立てるタイトルになってますよね(笑)。

玉置氏:詳しいことはまだ言えないんですが、「夕暮れ青春編」にはもちろん夕暮れが入っているんですが、めっちゃ綺麗でした。

──おお!

玉置氏:アリソンの時に青空が広がる世界を作って、それもすごく綺麗だったんですが、やっぱり夕陽もいいですね。昔の金曜ロードショーのオープニングのような(笑)。すごくノスタルジックな気持ちに浸れて、良かったです。

──それも、夏が見せてくれる景色のひとつですね。

玉置氏:VRなのでその夕焼けを360度の景色として楽しめます。この美しい体験を、是非味わって欲しいですね。

──『サマーレッスン』の新たな展望も見えてきましたが、これからのVRについて、玉置さん自身はどのようにお考えですか?

玉置氏:直近の直近について言えば、とにかく普及して欲しいですよね(笑)。

──ですよね(笑)。


玉置氏:中期的な話でいえば、先ほど触れた通り、「ウチなら、これをVRにしよう」と、各社さんともかなり目標の定まったチャレンジをされています。ここからは色々なバリエーションのものが増えていき、「VRキャラクターに関しては日本の産業がすごいぞ」と世界的に認められるようになれば、大きな強みになっていくと考えています。

そして、すごく長期的に考えると……「キャラクタービジネス」という言葉がありますが、これまで実際には「キャラクターが反映されている何か」を売ってたわけですよ。キャラが乗っている「ゲーム」なり「映画」、「本」に「玩具」などです。ですが究極的には、「キャラクター・ビジネス」は文字通りの意味になると思いました。自律的に動いて共に暮らしてくれるキャラクター(人格)そのものをサービスとして提供するという時代が来る、と。

魅力的なキャラクターが自分の近くにいて、隣人として何かしらの手助けをしてくれたり、話相手になってくれたり、楽しませてくれたり……そういった産業がゲーム産業を起点として来るのではと思っています。

この世界を実現するために一番の問題点は、キャラクターが人間に見えない、思えない点だったんです。物理的にロボットを作っても、モーターやバネには物理的な制約があるので、どこか機械的な感じで、そこに壁がありました。しかしVRを使うと物理法則を無視できるので、物理的な問題点を軽々と超え、人間と接しているとしか思えないようなキャラクターを生み出すことができるんです。また、『サマーレッスン』の驚きはまさにこの点でした。

目をじっと見られて話されていると、人間にしか見えなくて、無視できない。相手におじぎされると、こっちもついお辞儀してしまう。仮にヒドイことしてやろうと思っても、これまで社会的に生きてきた倫理観などが働き、実行できないんです。それは、そこにいるキャラクターを人間だと思っているからなんですよね。

ここまで辿り着くことができたので、後は「人間的に見える人格・頭脳」の構築や、あるいはユーサーさんにとっての隣人としてのキャラクターを本当に生み出せるとなった時に「どういうメリットがあるべきなのか」というマーケティング的な研究などを行う、という段階へと進むでしょう

そこに向かって業界全体が邁進していく時、ゲーム産業が持つ意味は変わってくると思います。もしかしたら、ゲーム産業である必要すらないかもしれません。私はゲームを愛していますが、未来永劫にわたってゲームという名前に囚われる必要はないと考えています。ウチの会社も同じことを考えているのか、バンダイナムコゲームスからバンダイナムコエンターテインメントに名前を変えたわけです。

ゲーム産業ではない新しい産業としての「キャラクターと共に暮らすためのビジネス」が生まれた時、ゲーム産業出身の会社というのはすごくアドバンテージになると思っています。その業界でも、各社さんとも得意な方向性を活かして活躍していくのだろうと考えています。

──新たな時代の転換期も見据えておられるんですね。

玉置氏:その時に、『サマーレッスン』を作ったことから始まるものがあったら、本当に嬉しいですね。

──『サマーレッスン』を遊んでいたユーザーさんがその時代に立ったとき、『サマーレッスン』を懐かしく思い出すんでしょうね。

玉置氏:そういう未来になって欲しいですね。

──いつか来る新たな時代も楽しみですが、まずは『サマーレッスン:新城ちさと 七曜のエチュード』を心待ちにしておきます。三人目の登場を楽しみにしているユーザーさんも多いと思うので、最後にメッセージをお願いします。

玉置氏:ちさとちゃんは新キャラクターですが、彼女だけをフィーチャーするというよりは、三人揃った『サマーレッスン』として捉えていただけると嬉しいです。

というのも、人それぞれで趣味も違うので、これから購入される方は「どのキャラが好きか」という点で選んでいただければと思います。そして、これまでひかり編やアリソン編を買っていただいた方にとっては、ちさとは性格のみならず、中身のイベントも新しい発明によって作り上げているので、その点に注目していただければ幸いです。

他社さんのVRデモを見たりして、「ウチだったらこういう風にやるな」と思ったものもあったりするので、新鮮さという意味でも自信があります。なので、ぜひ購入し、体験してみてください。

──本日はお忙しいところ、ありがとうございました!

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc
《臥待 弦》
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