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【インタビュー】もっと気楽に「SHOTGUN」を―ドリコムによる導入事例を訊く

ハード側の進化と共に多様化・大規模化するゲーム開発環境において、全体のスケジュール管理や各アセットのチェックバックなど、業務の円滑化を目的とした環境整備は非常に重要になってきています。

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【インタビュー】もっと気楽に「SHOTGUN」を―ドリコムによる導入事例を訊く
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ハード側の進化と共に多様化・大規模化するゲーム開発環境において、全体のスケジュール管理や各アセットのチェックバックなど、業務の円滑化を目的とした環境整備は非常に重要になってきています。

今回は、株式会社ドリコムの松村武利氏と太田美由紀氏が問題解決のために導入したプロジェクト管理ツール「SHOTGUN」についてインタビューを行いました。



「SHOTGUN」はスケジュール、タスク、アセット情報をクラウド上で一元管理できるプロジェクト管理のためのWebアプリケーションで、映像分野やゲーム開発などに用いられています。

■参加者

・松村武利(上記写真左)
福井県生まれ。 3DCGスクールAlchemy出身。アニメの制作会社で働いたのちゲームの3Dアーティストに転向する。コンシューマー向けのゲーム会社を転々とした後ドリコムへ入社。現在は『ダービースタリオン マスターズ』と『フルボッコヒーローズX』他プロジェクトを跨いでの3Dを担当。週末は区民プールで泳いでいる。『フルボッコヒーローズX』で好きなキャラはフレイヤ。

・太田美由紀(上記写真右)
大阪府出身。京都市立芸術大学美術学部卒業後、2015年新卒でドリコムに入社後、デザイナーとして複数チームを経験、現在は『フルボッコヒーローズX』に所属しアートディレクションとグラフィック制作を主に担当。最近好きな漫画は「モディリアーニにお願い」とのこと。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

――それでは、お二人とも宜しくお願いいたします。まずは簡単にプロフィールを教えて頂けますでしょうか。

太田:現在はゲームオペレーション統括部というところで、『フルボッコヒーローズX』のデザインリーダーをしています。チームにデザイナーが基本少人数なので、自分でもグラフィックを制作したり、制作物のチェックを行ったりと、デザイナーの何でも屋という形でやっています。

松村:私はもともとアニメCG会社に勤めておりまして、映像系の出身です。3年ほど前にドリコムに入社しましたが、それまでは遊技機向け映像制作など色々とやって来ましたね。前の会社にいた頃から、SHOTGUNは知っていました。

――ありがとうございます。それでは、SHOTGUNを導入しようと提案されたのは松村さんだったんですか?

松村:はい、紹介をしたのは私です。

太田:『フルボッコヒーローズX』に関しては開発会社がドリコム以外に別にあり、当初はそちらに運営をお任せしていました。その後、運営母体がドリコム側に移ったという経緯がありまして、その引き継ぎの際に2Dイラストや3Dアセットの発注周りの管理を整頓しようという事になりました。

――もともと、こういった管理ツールの導入前はどのような形で発注管理などを行っていたのでしょうか?

松村:それまではChatWorkとExcelを併用した管理を行っていました。

太田:そうですね。ただ、在庫管理のExcelも複数存在したため整合性をとるのに苦労していましたし、ChatWorkによるデータの受け渡しも大量の情報を並行して追うのがとても大変でした。チェックバックのためのチャット窓があって、そこで流れるがままにやっていたというか。運用も3年目ということで、いろいろ秘伝のタレ的に引き継がれた部分もあって当初は人的なミスも発生しがちでした。

――Excelは優秀なツールですが、どのデータが最新なのか不明瞭になり易く、また管理者に大きな負担が掛かる、というお話は私も良く耳にします。

太田:そうですね。当時は企画の方が管理をしていましたが、どの情報が最新なのか、どれを参照すべきなのか混乱してしまうことも多かったです。あと、一番不便だったのが、キャラのイラストを確認する時です。特定のキャラをゲーム内で使いたいと思った時に、Excelでキャラ名を確認した後に別ディレクトリのイラストを見に行かなくてはいけないという状況がありましたね。ステータスの管理とビジュアルの把握をもっと効率的に確認が出来ればという課題がありました。

――それでは、SHOTGUNの導入はすぐに決定したのでしょうか。

太田:社内でこういった外部ツールを管理されている方に相談したのですが、既存ツールの方がノウハウが溜まっているということもあり、社内的に情報が少なかったSHOTGUNの採用は即断ではありませんでした。しかし、説得の結果、まずは『フルボッコヒーローズX』のチームだけで運用してみようという事になりました。

松村:プロジェクト管理ツールと言うと、「工場のように機械的な管理体制になってチームの雰囲気が悪くなってしまうのでは?」という懸念、抵抗感が他プロジェクトではあったようです。ただ、私自身がSHOTGUNの利点を分かっていて、情報の整理やコミュニケーションに使うだけでもすごく良いものなので、それだけでも良いから導入しましょうと話をまとめた覚えがあります。

太田:もともと運営を引き継いだ際に受け取った膨大なExcelなどは一箇所にまとめる必要がありました。実は当初はExcelでまとめてはみたのですが、先ほどお話したイラスト確認の手間や情報の整合性の課題は上手く解決が出来ませんでした。そこで、松村さんのすすめもあってSHOTGUNで一元管理を行ってみようということになりました。

松村:元々デザインチーム側の問題を解決するために導入したツールでしたが、今ではデザイナー以外に企画チームもSHOTGUNを上手く活用してくれています。

太田:企画の方としても、これまでアクセスしにくかった情報にアクセス出来るようになったというのがありがたいみたいです。次回出すキャラを考える時も、性能、キャラ、属性などで素早く情報を検索、ソート、フィルターが出来るので。

松村:この属性が何体いるとか、男女がどのくらいの比率かとか、そういったキャラ選定やバランス調整のための作業にもSHOTGUNを使っています。

――企画の方は、情報の確認と併せてデータ分析的にも使っているんですね。

太田:そうですね、一時期は特定の属性のキャラが極端に少なかったりして、そういった危険信号に気付けたのもSHOTGUNの恩恵かも知れません。Excel時代は「別のシートにこの属性のキャラは何体かいるだろう」と思い込んでしまっていたときもあったのが、今まで見えていなかった部分が見えてきて、イラストも先回りして発注ができたりして、助かっています。


――実際の運用について教えて頂けますか? 先ほどデザイナーが基本少人数というお話もありましたが、チーム全体の規模はどの程度なのでしょうか。

太田:全部で12,3名くらいのチームでやっています。運用も3年目で、毎週やるべきことは定型化しているので効率化を図って、クリエイティブな作業に対しての時間をさらに作ろうとしている段階ですね。

松村:安定期と言えば安定期だと思います。

――『フルボッコヒーローズX』には、キャラクターは全部で何名くらい登場していますか?

太田:全体キャラID数は1,500程度管理しています。――キャラ数、かなり多いですね! 未登録でも大丈夫なのは★1キャラなどでしょうか。

太田:そうですね(笑)。あとはエネミー用のIDとか。キャラクターの管理については、実際の画面で見てもらうと分かりやすいと思います。

キャラクター管理画面。灰色背景のキャラクターはリリース済、白背景のキャラクター(モザイク部分)は未公開のもの。キャラクター名と2D,3Dデータのサムネイルビューがひと目で確認できる。


――背景色が変わっているのは、なにかステータスに紐付いて変更されているのでしょうか? 2D,3Dのサムネイルも自動で入るような設定ですか?

太田:そうですね、各ステータスがコンプリートになったら灰色背景に変わるような設定になっています。2D,3Dのサムネイルは、バージョンで管理しているものをサムネイルに自動で持ってくるような設定にしています。なので、FIXが上がったら、自動でサムネイルも更新されます。アウトソース先とのやり取りも、SHOTGUN上で行っています。

アウトソース先とのコミュニケーションも、こちらのウィンドウで行っている。
Facebookの投稿に近いUIで、キャラクターごとにスレッドが立っているようなイメージ。


――見たところ、かなりフランクなやり取りで進行していますね(笑)。コミュニケーションについては、従来のやり方に比べていかがですか?

太田:カジュアルなのは私が書いている部分なのですが…こんな感じでやり取りをしています。メールだとかしこまらないといけませんが、やり取り自体はChatWorkの時と同じような雰囲気でやっています。

松村:ただ、ChatWorkだと特定のキャラの話をしている時に別のキャラの話題が重なってくると情報が判別し難いという問題がありました。その辺りは、1,000を越えるキャラの管理においてもSHOTGUNでかなり交通整理が出来ました。

太田:いつ誰がどのキャラに対して言った何の発言だったか、いつどこにアップしたデータなのか、そういった以前は不明瞭になりがちだった点がほぼ全てなくなりましたね。

実際のやり取りはこのような形で行っている。
それぞれのキャラクターにスレッドが存在し、情報が錯綜するような事はない。


――続いて、SHOTGUNを使って実際にどれくらい作業効率がアップしたか、数字に現れたりしていますか? 作業効率の変化というか。

松村:抽象的な部分はたくさん言えるんですけど、例えば、言った言わないの衝突がなくなったとか。残業が減ったとか。

太田:あ、でも、発注数は前の管理の時に比べて2倍には増えましたよ。

松村:えっ、2倍くらいの効率になってたの?

太田:いや、それこそ引き継ぎの時期だったりとか、あとは最近私自身が慣れてきたっていうのもありますけど(笑)。でも実数としてはそのくらいの数字になっています。

――それはすごいですね! 具体的にどの部分が削減されて達成したというか、従来ボトルネックになっていて、SHOTGUNで解決できた一番大きな要因はどこだったんでしょうか?

太田:なにかクリティカルなミスの回避というよりは、日常の細かい部分の積み重ねだと思います。データを探したり、ログを漁ったり、といった時間がかなり削減出来たのはすごく大きいですね。だから、キャラ一体一体に掛ける時間が増えました。例えばコラボキャラと通常キャラが同時並行で進行する月などは、従来だと管理が難しく発注数を増やすのも難かったのですが、SHOTGUNの導入後は「発注増やしましょう!」とチーム内で自信を持って提案が出来るようになりましたね。

松村:情報が整理されてアクセスが素早く出来るから、仕事の時間をよりクリエイティブな方に回せる、ということですね。

松村:あと、僕の方で一個だけルールを決めたのは、アクティビティの投稿時に強制的にtoを入れて(※)送らないとエラーが出るようにしました。
※別ユーザーに向けての発信になるような設定

――なるほど、なんとなくでアクティビティにつぶやきが投稿できないような形ですね。

松村:そうです。ここはChatWork時代と同じ轍を踏まないようにというか、これ自分宛だったの? というのをなくす目的ですね。SHOTGUN内のInboxに通知が入るような形にしています。

太田:慣れてきた頃、それが頻発したんですよね。「SHOTGUNにデータ上げました」「あっ、見てなかった」というのが。それはこの仕組みで解決できたと思います。


――現状はアートアセットの管理という形で運用をされているようですが、今後運用していこうと思っている機能などはありますか?

松村:機能ですか? 日本語化があればすぐに使いたいですね(笑)。

太田:(笑)。あと、SHOTGUN上でフィードバックを完結出来る機能をもっと使わないとなと思っています。レビュー機能で、画面上で直接矢印を描いたり丸を描いたりできる機能があるのですが、他プロジェクトだとPhotoshopを開く時間もないくらい忙しい方もいたりして。そうなった時に便利だと思っています。

――あの機能はかなり便利そうだなと感じたのですが、太田さんご自身もお使いではないんですね。

太田:チームメンバーとはローカルで直しちゃう事が多いです。社外の方とも、今は基本慣れているPhotoshopを使っています。ただ、社外の外注担当の方だとソフトウェアを所有していない方も多く、そういう場合には使えると思っています。

松村:あとは、“このイベントにはこのキャラクターが登場します”という運営管理の部分もSHOTGUNを活用したいので、イベントという管理項目を試験的に入れています。スプリントという項目も作ったのですが、このキャラクターを出すとか、強くするとか、それをSHOTGUN上でやり取りをするみたいな感じですね。

太田:スクラム開発でいうところのストーリーですかね。


――最後に、これからSHOTGUNを導入しようとお考えの方に向けて、メッセージをお願いいたします。

松村:僕が一番言いたいのは、もっとみんな気楽に使いましょうということです。全部をかっちりと管理しなくてはいけないという認識ではなく、今回のようにちょっとした情報の整理やコミュニケーションを円滑にするとか、そういったことでも良いわけです。

――部分的に活用するだけでも充分に恩恵が受けられるということですね。

松村:その通りです。毎回他の人に勧めると完全管理になるのではと思われてしまうのですが、そうではなく一部の業務だけ使ってみるという形で敷居を下げていけば、導入しやすいと思います。あとは技術サポートもかなり手厚く、カスタマイズ性があるので、そういった部分にも助けられています。

太田:私も似た意見にはなるのですが、まずは自分がスポットで困っている部分に関してだけでも使ってみると良いと思います。使い方も直感的に分かりますし。チーム全体を良くする、という大きなお話ではなく、ちょっとしたきっかけで是非使ってみて欲しいです。

松村:最後に宣伝なのですが、『フルボッコヒーローズX』は先日Ver4.0にアップデートされてますます面白くなってます。是非皆さんに遊んで頂けると嬉しいです!


――お二人とも、どうもありがとうございました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

SHOTGUNの体験サイトお申し込みやチュートリアルの情報は、オートデスクのAREA JAPANサイトをご覧ください。

■URLhttp://area.autodesk.jp/product/shotgun/
《神山 大輝》
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