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【インタビュー】『.hack//G.U.』発表10周年、CC2松山洋に“続編の可能性”を訊いた

架空のMMORPG「The World」を舞台として、オンラインゲームをモチーフとして描いた『.hack』シリーズ。記念すべき1作目となる『.hack//感染拡大 Vol.1』が2002年に登場し、シリーズに名を連なるタイトル群は今なお多くのユーザーを虜としています。

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◆今後の『.hack』の動きは?



──ここでズバリ伺いますが、『.hack』シリーズの新作に向けた構想などはありますか?

松山氏:『.hack』シリーズの特徴のひとつは、ちょっと「背伸び」をしている部分なんですよね。例えば、遠い未来ではなく、そう遠くない将来を実現させている世界観などです。もともと、オンラインゲームが家庭用ゲーム機で気軽に楽しめるようになり始めた時代に、オンラインの環境を整えられない方でもオンラインゲームの魅力を味わえるゲームを提供したいという思いで生まれたのが『.hack』でしたから。

そういう「背伸び」を踏まえ、もしも今『.hack』や「The World」を作るのであれば、現在のオンラインゲームとは違う、もう一歩進んだ新たなテクノロジーや、ユーザーが予測していない物語、新しい体験を作るべきなんじゃないかなと思っています。

:一部のユーザーさんからは、「新作やリメイクどころかゲームアーカイブスすらやらないのは、もう『.hack』シリーズをやる気がないからか」という声をいただくこともありますが、そんなことは決してありません。あのBNEさんですよ、先のことをちゃんと考えてるに決まってるじゃないですか!(笑)

──決まってるんですね(笑)。

松山氏:やるならば一番効果が上がるタイミングを狙う必要があるんです。ユーザーさんにもっとも喜んでもらえる最適なタイミングに向けて。

楽しみに待っていてください。我々も、楽しみにしています。

──意味深ですね。了解しました、心待ちにしておきます。ちなみに、今の技術で『.hack』を作ったら、「hack//G.U. TRILOGY」クラスのグラフィックになりそうですか?

松山氏:「hack//G.U. TRILOGY」以上じゃないですかね。PS4とかだったらそうなるでしょうし、そうじゃないとダメだと思います。

──PS4の『.hack』、見てみたいですねぇ。

松山氏:私も見てみたいです(笑)。

◆松山洋が好きな『.hack//G.U.』のポイント



──ちなみに、松山さん個人が好きな、『.hack//G.U.』のキャラクターや展開などはありますか?

松山氏:そうですねぇ……『.hack//G.U.』はハセヲの成長物語であり、ハセヲとオーヴァンの物語ですが、私が好きな部分が全部入っている話でもあるんです。最後オーヴァンは助からないし、そんな過ちを犯した上でハセヲは答えを出して、Xthフォームに進化をして、オーヴァンではない別の何かと戦って決着をつける。これを描くために必要なものを、全部逆引きして作りました。

Xthフォームになってオーヴァンと戦うんじゃなくて、過ちのまだ途中にいる段階でオーヴァンと戦い、間違った答えを出してしまう。そしてハセヲ自身が事の真相に気付いた時に、Xthフォームに進化する。その復讐や答えの形、その他あらゆるものを、自分自身が好きなものを詰め込んで作りました。

──まさにクリエイター冥利に尽きる制作だったんですね。ところで、最後の結婚イベントでは、誰を選びましたか?

松山氏:「ぴろし」と答えた方がいいんでしょうが(笑)、プレイした時は素直に「揺光」を選びました。もちろん、セーブしたところからやり直して、全員分見てはいるんですけどね(笑)。

(メインヒロインの)アトリは定期的におかしくなってしまうので。彼女は今で言うヤンデレの走りでしたね。制作当時は開発陣からも人気がなくて、「アトリが嫌いなんですけど、どうしたらいいですか」って言われたこともあります(笑)。

──スタッフからもそんな声が(笑)。

松山氏:「ただ可愛いヒロインにすることはできるけど、『.hack//G.U.』で描きたいのはそうじゃないんだ。正しいことの中に狂った世界があるというテーマを描くために、アトリが必要なんだよ。全3巻を通して可愛さも見えてくるから」と言いつつも、それだけで突き進めるほど世の中甘くないというのも分かっていたので(笑)、素直に愛せるセカンドヒロイン「揺光」が生まれました。

──それだけに、想いもひとしおなんですね。

松山氏:『.hack//G.U. Vol.2 君思フ声』で「私は一途でしつこいぞ」という台詞を言わせた瞬間に、揺光が完成したと思ったんですよ。私自身がまず愛せるし、みんなから愛されるキャラクターになったぞ、と。そういう手応えを、あの時に確信しました。

──松山さんにとって、忘れられない名台詞ですね。ほかにも印象に残っている台詞などはありますか?

松山氏:ハセヲの「来い…来いよ! 俺は…ここにいる…っ! スケィスっ!!」という台詞なんですね。私の大好きな作品『空想科学世界ガリバーボーイ』に登場する「マインダー」と呼ばれるガントレットのようなもの(魔拳グローブ)があるんですが、このマインダーを使う時に「来い来い来いっ!」「来た来た来たぁぁぁ!」というかけ声から必殺技を放つんです。正直に話しますが、元ネタはそれです(笑)。

──元ネタ! そんなハッキリと(笑)。

松山氏:もちろん、『.hack//G.U.』の物語の中に当てはめた時、このまま勢いよく言う感じじゃないので、ハセヲなりの言い方をするとどうなるだろうなと掘り下げていったら、自然とこういう言葉になりました。ハセヲを象徴する台詞になったと思います。

──なるほど……!

松山氏:櫻井孝宏さんには申し訳なかったんですが、何度かに分けて収録させていただきましたね。ハセヲは絶叫系の台詞が多かったため、喉への負担が大きいんですよ。人気声優さんなので、スケジュールの調整が大変だったことも含めて、印象に残ってます(笑)。

次ページ:『.hack』のこれまで、そしてこれから

《臥待 弦》

楽する為に努力する雑食系ライター 臥待 弦

世間のブームとズレた時間差でファミコンにハマり、主だった家庭用ゲーム機を遊び続けてきたフリーライター。ゲームブックやTRPGなどの沼にもどっぷり浸かった。ゲームのシナリオや漫画原作などの文字書き仕事を経て、今はゲーム記事の執筆に邁進中。「隠れた名作を、隠れていない名作に」が、ゲームライターとしての目標。隙あらば、あまり知られていない作品にスポットを当てたがる。仕事は幅広く募集中。

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