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【東京ゲームショウ2013】アジアの主要ゲーム企業が語り合った。アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013レポート

ゲームビジネス 市場

【東京ゲームショウ2013】アジアの主要ゲーム企業が語り合った。アジア・ゲーム・ビジネス・サミット2013レポート
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東京ゲームショウで好例となった「アジア・ゲーム・ビジネス・サミット」。アジアの主要ゲームパーソンが幕張メッセに集結し、ビジネスについて議論するパネルディカッションです。今年も日経BP社の浅見直樹氏によるモデレートで、日本・インドネシア・台湾・韓国・タイ・マレーシアの代表が登壇。顔ぶれもアプリベンダーあり、モバイル向け広告あり、リテーラーあり、コンシューマ向け開発ありと多彩で、それぞれの立場から活発な議論が展開されました。

<出席者>
日本:鵜之澤伸氏(コンピュータエンターテインメント協会会長)
台湾:許金龍氏(XPEC Entertainment会長)
韓国:チョン・ウジン氏(NHN Entertainment ゲーム事業センター/総括ディレクター)
インドネシア:Dien Wong氏(Altermyth, CEO)
マレーシア:Ganesan Velayathan氏(Fun & Cool Ventures, CEO)
タイ:Chanvit Vitayasamrit氏(Milk Studio, CEO)

パネルははじめに会社紹介から始まりました。Altermythはインドネシアで13年の歴史を持つ、同国で最古参のゲーム企業の一つです。PC・スマホなどのマルチプラットフォームで130本以上のゲームをリリースしており、『ファイナルファンタジー』『ファイナルファンタジーII』のモバイル版リリースで、スクウェア・エニックスの同国におけるパートナーとしても知られています。ゲームのパブリッシュ事業や、プリペイドカードによる決済代行なども行っています。

Fun & Cool Venturesはモバイルアプリ開発・モバイル向け広告エンジン展開・アプリの現地パブリッシュを三本柱に、アジア全域で活動するマレーシア企業です。過去1年間で36本のアプリを自社開発しており、シリーズの累計ダウンロード数は500万本に及びます。アプリも約10カ国語(韓国・中国・日本・英語+東南アジア6言語)がデフォルトというマルチリンガル仕様というから驚き。アジア全域におけるモバイルアプリの窓口となることをめざしています。

Milk Studioはタイで最大級のIT系リテーラーです。 親会社の Com7 group全体で約300店舗を展開しており、その中にはアップルの公式直売店である「iStudio」も含まれています。小売りから派生して、独自にモバイルコンテンツを配信している点が特徴で、『ドラえもん』『スパイダーマン』などの有力IPによるコンテンツも展開中。傘下の携帯ショップで販売する携帯にバンドルするなど、ユニークな施策を進めています。

NHN Entertainmentは日本でもおなじみの韓国企業。長くNHNとして検索エンジンの『NAVER』とカジュアルゲームの『ハンゲーム』を二本柱としていましたが、両者が分離され、ゲーム部門が新たにNHN Entertainmentとなりました。あわせてモバイルゲームに昨年から注力しはじめ、釣りゲームの『FISH ISLAND』など人気アプリを配信。韓国・日本・シンガポールに加えて、新たに中国スタジオの開設も予定しています。

XPECは2000年に起業した老舗の台湾企業。海外企業からのアウトソーシングを皮切りに、コンソール・モバイル・ブラウザ・オンラインゲームなどで事業を展開し、パブリッシングも手がけるまでになりました。同社が開発した『スカイランダーズ スパイロの大冒険』(海外ではアクティビジョン/国内ではスクウェア・エニックスから販売)は、米ラスベガスで開催されたD.I.C.E. サミットでアワードを受賞。開発力の高さが光ります。

最後に鵜ノ沢氏が副社長を務めるバンダイナムコゲームスの紹介がありました。バンダイとナムコが経営統合して2006年に誕生した同社は、コンソール・アーケード・モバイル・玩具・映像事業など、幅広い分野でコンテンツ事業を推進。これからも全方位で推進していく姿勢が示されました。

■それぞれに異なる市場の現状、しかしモバイルシフトは共通

続いてトピックは各国のトレンドに移りました。AltermythのDien Wong氏はインドネシア市場を可能性に満ちたブルーオーシャン市場だと説明。世界第4位の2億5千万人という人口もさることながら、若年層の占める割合が多い点がアピールされました。人口より多い2億9千万台の携帯電話アカウント数など、モバイルとの親和性の高さも強調。スクウェア・エニックスやゲームロフト・gumiなどの海外企業も現地法人を設置しています。一方でマネタイズは難しく、これからの課題だとしました。

Fun & Cool VenturesのGanesan Velayathan氏はマレーシアのゲーム市場を3~400億円と、日本の約1/10だと紹介。アウトソーシングではなく、自社でゲーム開発を行っている企業の雇用人数は700~1000人程度だと示しました。国民の多くが英語を話せることも特徴だと言います。一方で貧富の差が激しく、富裕層に華僑が多いことから、中国・台湾系企業の宣伝が多いとのこと。実際にアプリランキングでは中国語版が上位に来る傾向にあるそうです。これらを通して多民族国家マレーシアの現状が示されました。

Milk Studioの Chanvit Vitayasamrit氏によると、タイの市場規模は150億円程度とのこと。PCオンラインゲームが6割以上を占め、モバイルゲームは4%程度だが、前年対比200%と非常に高い成長率を記録していることが示されました。また課題点として海賊版の存在や、MMORPGの成長率が鈍化していること、次世代ゲーム機には高い注目が集まっているが、販売の見通しが不透明であることなどに触れました。

中国・日本と並んで巨大な市場規模を誇る韓国ゲーム産業。NHN Entertainmentのチョン・ウジン氏は2012年度の韓国ゲーム産業が1兆112億円に達し、その約8割がオンラインゲームだとしました。一方でモバイルゲーム市場も着実に成長を続けており、スマートフォンの普及率がアジアで一番高いことなどから、将来的に有望な市場だと紹介。特に最近ではカカオトーク向けのゲームが人気で、2012年下半期でトップアプリとなった『I love coffee』が700万ダウンロードだったのに対して、2013年上半期では『Wind Runner』が2700万ダウンロードと一気に跳ね上がりました。この高い成長率に多くのPCオンラインゲームメーカーが参入しているとのことです。

XPEC Entertainmentの許金龍氏は台湾ゲーム産業の市場規模を1340億円と紹介しました。また全体としては縮小傾向にある中で、モバイルゲームだけが2012年度で前年対比191%と高い成長率を記録しており、モバイルシフトが顕著だと示しました。スマホの仕様用途においてもゲームがSNSなどを抜いてトップとなり、課金率も群を抜いて高いとのことです。新婚家庭やDINKS家庭ではPCからスマホやタブレットに完全に移行傾向が見られることも示され、ライフスタイルを大きく変えつつある様が共有されました。

最後に鵜ノ沢氏は日本の市場規模について8114億円という数字を紹介。コンソールゲームのソフト市場4244億円と、ソーシャルゲームの3870億円という内訳を示し、これにPCオンラインゲームを含めれば1兆円程度に達するという見方を示しました。またコンソールゲームでは携帯ゲーム機の売り上げ比率が非常に高いこと。モバイルゲームではウェブアプリからネイティブアプリに移行しつつあること。LINEゲームなど新興プラットフォームも成長中であることなどが示され、新しいプラットフォームが登場するたびに産業が成長し、市場規模が拡大しているとの見解が示されました。

■一社を残してすべて同じ回答、しかし実態は異なるアジア戦略

続いてのトピックは「海外展開における戦略地域」についてです。モデレータの浅野氏が「北米・アジア・欧州・その他で、どこの地域を最も重視するか」と質問すると、インドネシアのDien Wong氏が「欧州」と答えたのに対して、他のパネリストは全員「アジア」だと回答しました。もっとも「アジア」といっても東アジア圏の企業が「中国」を上げたのに対して、東南アジア系企業は「東南アジア」を示し、認識の違いが浮き彫りになりました。

まずWong氏は「グローバル市場といっても、アメリカ市場を意味することが多いが、当然ヨーロッパも含まれている。まずはイギリスなど、アメリカ文化に近い市場を攻めていきたい」と答えました。逆に日本市場は文化的な差異などからヒット作を作ることが難しく、まだ英語コンテンツの開発をする方が容易だと答えました。

これに対して日本・台湾・韓国の企業群は中国市場の重要性と難しさについて語りました。鵜ノ沢氏は「市場規模からすれば中国は無視できないが、まだ良いパートナーに巡り会えていない。まずは東南アジアから攻めていきたい」とコメント。F2Pなどビジネスモデルの多様化で、近い将来に東南アジア全域で、日本と同程度の売上が期待できるのではとコメントしました。

許金龍氏も中国政府のコンテンツ産業における保護主義政策について触れ、「中国で流行すれば台湾でも流行するが、その逆は異なる」と指摘。両岸関係の良好化で業績をあげていきたいと語りました。チョン・ウジン氏も中国法人立ち上げについて触れつつ、行政の不透明さについても指摘。時間をかけて取り組みたいと語りました。

これに対してChanvit Vitayasamrit氏はタイ国内だけでなく、ベトナムやカンボジアなどにも店舗を拡大中だとして、今後はリテーラーだけでなくコンテンツの展開も進めていきたいとコメント。もっとも国内開発力が弱いため、海外企業との協業を進めたいと語りました。またGanesan Velayathan氏は「アジア全域を対象にしたい」とコメント。すでに今年に入って『パズル&ドラゴンズ』にインスパイアされたアプリが登場しつつあり、国や地域にこだわらずに最初から海外展開をしていく方が良いとコメントしました。

最後にパネリストは一言ずつ協業の可能性についてコメントしました。Dien Wong氏はインドネシアのゲーム産業はまだ若く、自分たちも多くのことを学ぶ必要性があるとして、インドネシアに興味のある企業とコラボレーションをしたいとコメント。Ganesan Velayathan氏は「マレーシアは国民の大半が英語を話せる一方で、シンガポールよりも人件費が低く、テストケースには最適」だと語りました。Chanvit Vitayasamrit氏はタイでのマーケティングやプロモーションのサポートをしたいと発言しました。

チョン・ウジン氏は優れたモバイルアプリをインハウスで開発できる力をつけると共に、グローバル展開を進めていきたいとコメント。許金龍氏も多くのパートナーシップを築く重要性について語りました。最後に鵜ノ沢氏はプラットフォームの縛りがとれた今だからこそ、多くの企業と積極的に協業して、一番になりたいと抱負を語りました。

パネルディスカッションのキーワードとなったのは「モバイルシフト」と「協業」です。市場の割合ではPCオンラインゲームが中心ですが、すでに成長力は鈍化しているとする地域も多く、モバイルへの可能性を感じている企業が多いことに、改めて驚かされました。また中国・韓国・台湾などの東アジア市場に加えて、インドネシア・タイ・マレーシア・シンガポールと言った東南アジア市場の重要性がさらに拡大している様も共有されました。もっともアジアは民族も宗教も文化も異なるモザイク市場。これからどのような協業が進んでいくのか、さらに注目していきたいところです。
《小野憲史》

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