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【GDC 2013 報告会】GDCに参加した学生は何を感じたか?

ゲームビジネス その他

報告会はバンタンゲームアカデミーで実施された
  • 報告会はバンタンゲームアカデミーで実施された
  • 『オスクル・リフト』について語る加島直弥君(名古屋大学)
  • 金丸修也君(東京大学)はenchant.jsのプログラミングも紹介
  • 足立勇介君(中央大学)は9leap2012年間優秀賞も受賞
  • 蛭田氏・桑名氏はビデオ講演で参加
  • 9leapについて説明するUEI清水氏
  • 9leap2013では高校生部門も実施される
国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)はバンタンゲームアカデミーで4月28日、米サンフランシスコで3月末に開催された「ゲームディベロッパーズカンファレン(GDC)2013」の学生向け参加報告会を行いました。

会場ではゲームプログラミングコンテスト「9leap」で入賞し、副賞としてGDCに参加した加島直弥君(名古屋大学)、金丸修也君(東京大学)、足達勇介君(中央大学)がそれぞれの体験談を発表しました。

また後半では、IGDAが実施するスカラーシップ(奨学生)としてGDC2008に参加した蛭田雄一氏(コナミデジタルエンタテイメント)、マサチューセッツ州工科大学(MIT)でビジネススクールに留学中の桑名基典氏、そして9leapの仕掛け人であるユビキタスエンターテインメントの清水亮氏が、それぞれの立場から講演を行いました。

なお講演資料はウェブにアップされていますので、あわせてご覧ください。

http://www.slideshare.net/kassy708/gdc-20339940
http://www.slideshare.net/shellka7/gdc-20413537
http://www.slideshare.net/igda_jp/gdc2013studentadachi
http://www.slideshare.net/yu-bon/gdc20130428
http://www.slideshare.net/igda_jp/gdc2013-kuwana

9leapはユビキタスエンターテインメントが開発したJavaScript+HTML5ベースのゲームエンジン「enchant.js」上で行われているゲームプログラミングコンテストです。加島君は『ワイヤーアクション-彼女のために-』、金丸君は『にゃっきvsドロイド君』、足立君は『妹は成長期』という作品で入賞しています。

大学で核融合とバーチャルリアリティを研究している加島君は、 立体視によるバーチャルリアリティ体験ができるヘッドマウントディスプレイ(HMD)『オスクル・リフト』をメインに報告。視覚だけでなく、立体音響も加われば、さらに没入感が増すのではと指摘していました。また、あわせてLeap Motion(モーション入力)やアイ・トラッカー(視線入力)、音声認識といった新しい入力デバイスやUIが必要になると語りました。

App Storeで位置情報+モンスター育成RPG『ヤオロズフェアリー』を開発しており、enchant.jsでARコンテンツにも挑戦中、福島原発の臨界モデルも作成した金丸君は、印象的なセッションとして『メタルギアソリッド』シリーズのフォックスエンジンや、ガンホーによる『パズドラ』のセッション、ダブルファイン社のラピッドプロトタイピングのセッションなどを上げました。また加島君と同じく、金丸君も『オクルス・リフト』を体験したとのこと。2時間近く並んで5分程度しか体験できなかったが、それだけの価値はあったと話しました。

法学部出身で公共政策について研究しており、学部生時代にパソコンサークルにも所属していた足立君は、「ウェブアプリへの歩み寄り」「ゲームエンジンの盛り上がり」「インディーズゲームの趨勢」という3つのキーワードでGDCを語りました。足立君は「有名タイトルのセッションといえども、会場が満席になるわけではなかった」と指摘し、注目セッションの地殻変動が起きているのではないかと分析します。ちなみに個人的には「レベルデザインワークショップ」などのセッションが興味深かったとのことでした。

また3名とも任天堂が発表した「Nintendo Web Framework」について、高い関心を寄せていました。これはGDCで発表された、JavaScript+HTML5ベースで作られたウェブアプリなどを、Wii U上で実装するためのフレームワークです。二画面やカメラなど、Wii Uのほとんどの機能を自由に使ったウェブアプリを作成できます。GDC会場では「(欧米では)コンセプト承認は行わない」「価格や発売日は開発者が決定でき、F2Pゲームもサポート」「利益配分は業界標準」などの、思い切った施策も発表されました。9leapで作ったゲームをWii U上で実行させることも、技術的には可能となります。

もっともNintendo Web Frameworkでゲームを開発するには、任天堂と開発者契約を結ぶことが必要で、国内では法人のみに限定されています(本件についてはGDC終了後に都内で実施された、ゲームエンジンのユニティ向けカンファレンス「Unite Japan」で明らかにされました)。質疑応答でこの点が明らかになると、会場から「残念」という声も聞かれました。今後、大学や専門学校などでの包括契約といった対応が期待されます。

後半ではGDC2008に奨学生として参加し、現在はコナミデジタルエンタテイメントで野球ゲームの開発に携わっている蛭田氏と、米ボストンでMIT留学中の桑名氏から、ビデオによる講演が行われました。

IGDAスカラーシップはIGDAが全世界の学生向けに実施しているプログラムで、GDC・E3・CEDEC・東京ゲームショウなどで実施されています。合格すると渡航費や宿泊費は自己負担となり、日常会話程度の語学力も必要となりますが、フルパス相当の参加資格や、スタジオツアー、メンター(師匠)とのミーティングなどの特典が授与されます。

蛭田氏は、パーティやスカラー向けの企画などを通して、世界中のクリエイターや予備軍と知り合えるメリットについて強調しました。GDCから5年を経てもなお、メンターをはじめとして、直接的・間接的につきあいのある人がいるとのこと。講演以外にも、ゲームセンターやゲームショップなどの視察を通して、文化の違いを肌で知ることもできたと語りました。

大学卒業後、金融機関に就職したものの、2012年夏よりMITの2年生MBAプログラムで留学し、経営戦略や組織論などを学んでいる桑名氏は、「MBA卒業生がゲーム業界で貢献できる場所があるか見極めたかった&業界のトレンドを知りたかった」という理由でGDCに自費参加しました。

GDCを「商談の場」「ネットワーキングの場」と捉えた桑名氏は、カンファレンスやアワードはこれらを促進する手段であって、GDCの本質ではないのではと分析します。その上で桑名氏は学生がGDCに参加する意義として「目的と仮説を持つこと」の重要性を指摘しました。また現地での行動指針として「自分の技能をアピールしながら、思い切って就活する」「カンファレンスは将来、自分が登壇するとイメージしながら聞く」などと指摘。「冗談抜きに、皆さんには将来登壇してほしい」とエールを送りました。

最後にユビキタスエンターテインメントの清水亮氏は、「9leap2013」の開催を発表。過去2回と同じく、入賞者には副賞としてGDCツアーなどが贈られると語り、より多くの学生参加者の応募を呼びかけました。また新たに高校生限定の「9leap インターハイ2013」部門を設け、優勝者は副賞としてIT企業見学ツアーを実施すると発表しました。

ちなみに清水氏はGDCツアーだけでなく、学生3名をシリコンバレーのコンピュータ博物館に引率したといいます。「世界発のCPUであるインテル4004は日本人(ビジコン社の嶋正利氏)が論理設計した。皆さんも将来、ここに展示されるようなコンピュータを、自分たちの手で作り出して欲しい」と語りました。

ひとたびゲーム業界に就職してしまうと、業務の都合などで自由にGDCに参加することが難しいのが事実。一方で学生にとって数十万円という渡航費は手が届きにくいのも事実です。そんな中で参加パスが無料になるスカラーシップや、入賞者が無償で参加できる9leapは、非常に魅力的な手段と言えるのではないでしょうか。
《小野憲史》

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