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【CEDEC 2012】ゲームを使って楽しくリハビリを、『樹立の森 リハビリウム』で見えた課題と期待

CEDEC 2012初日の午後、ショートセッション「ゲームが与える『人にいいこと』」の一つとして「リハビリ用シリアスゲーム開発・運用・そしてビジネスへ -『樹立の森 リハビリウム1・2』制作、2年間の軌跡-」が実施されました。

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リハビリ用シリアスゲーム開発・運用・そしてビジネスへ -『樹立の森 リハビリウム1・2』制作、2年間の軌跡-
  • リハビリ用シリアスゲーム開発・運用・そしてビジネスへ -『樹立の森 リハビリウム1・2』制作、2年間の軌跡-
  • 右から松隈浩之氏(九州大学)、梶原治朗氏(長尾病院)、東浩子氏(長尾病院)
  • アジェンダ
  • インタラクティブセッションも実施
  • リハビリウムについて
  • 制作の背景
  • リハビリの基本である起立訓練
  • リハビリウムの概要
CEDEC 2012初日の午後、ショートセッション「ゲームが与える『人にいいこと』」の一つとして「リハビリ用シリアスゲーム開発・運用・そしてビジネスへ -『樹立の森 リハビリウム1・2』制作、2年間の軌跡-」が実施されました。

『樹立の森 リハビリウム』については昨年もCEDECのインタラクティブセッションで紹介がされていましたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれません。福岡市のシリアスゲームプロジェクトの一環として、市の受託事業として九州大学と特定医療法人 長尾病院が共同開発したリハビリを助けるゲームです。

リハビリの基本は「立って座って」を繰り返す起立訓練ですが、短調で面白みはありません。これを楽しめるようにしようというのが『樹立の森 リハビリウム』で、起立訓練をすることで木が成長したりメダルが貰えたりといったゲームの要素が導入されています。当初は病院で、後に介護系の老健センターでも実験を行い、実際に利用することで起立回数が伸びる事が明らかになっています。九州大学の松隈氏によれば「ランキングを死守しようと躍起になって頑張るおばあちゃんも出てきた」というように受け入れられたそうです。国内外の発表で注目を集めるプロジェクトとなっていて、一般にもメディカ出版から商品化されることも決定しています。

『樹立の森 リハビリウム』は成功を収めた形ですが、効果があるなら色んなリハビリゲームを作ればいいじゃないか、とはいかないようです。リハビリといっても予防なのか、治療なのか、再発予防なのか、色々ですし、そもそもどんな不都合があってリハビリをしているのかも人によって様々です。かつ、利用場所も病院なのか、老健センターなのか、あるいは個人宅なのか。あるいは個人で使うのか、集団で使うのかといった問題もあります。リハビリで有効なゲームデザインというのは未だ研究段階なのです。

また、これはゲームデザインの分野になりますが、いかにしてリハビリを楽しんでもらうか、モチベーションを上げる特に有効な方法が確立されているわけではありません。高齢者の中にはゲームを嫌う人もいます。そうでなくても、プライドや経験ある人達です、"お遊戯"では参加してくれません。特に女性よりも男性の参加を促すのは困難なのだそうです。

利用環境も経済状況(保険が適用されるかなど)や設置場所、スタッフ、利用者の人数などケースによって全く違ってきます。例えば病院では基本的には1:1でスタッフが付きますが、少数のスタッフしかいないという施設も多いわけです。どこを想定するかは難しい問題です。

しかしこのような困難があったとしてもニーズは非常に大きいものがあります。高齢化はどんどん進み、2030年には65歳以上の人口が28%を占めるようになると言われます。この分野の市場規模も介護保険制度が始まった2000年に3.6兆円だったのが2025年に20兆円になると試算されます。医療から介護へのシフトもあり、リハビリの必要性は高まる一方で、ここには大きなビジネスチャンスも期待できます。

良い兆候もあります。今後はゲームを体験した世代が高齢者になっていきます。ゲームセンターが高齢者をターゲットとするようになってきたように、リハビリでもゲームを受け入れる割合は増えていくと考えられます。豊かな時代を過ごしてきた今後の高齢者は楽しみながらリハビリをするという概念を受け入れやすいとも予想されます(松隈氏は「私見ですが」と断りましたが)。機会としては海外進出も考えられます。日本以上に高齢化が進む中国や韓国では日本で培ったサービスが通用しそうです。

課題も多いものの重要性が高まる医療や介護におけるゲームの活用ですが、九州大学ではリハビリに役立つ新たなゲームとして『半側空間無視ゲーム』や、レクレーションとしての『太極拳ゲーム』など新しい試みもスタートしているとのこと。今後の進展に期待がかかります。
《土本学》

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