人生にゲームをプラスするメディア

拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回

ディー・エヌ・エーやグリーの躍進が社会現象として扱われ、時代はまさにカジュアルゲーム一色という感もある中、主要ゲームパブリッシャーも続々と本格的にカジュアルゲーム市場にタイトルを投入しています。

ゲームビジネス 開発
拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
  • 拡散するゲームビジネス:ブラウザゲーム『戦国IXA(イクサ)』に見る大人にやさしいゲームデザイン・・・中村彰憲「ゲームビジネス新潮流」第13回
内政画面武田信玄伊達輝宗
本多忠勝織田信長


―――社会人ユーザーが多いとのことですが、その点については企画段階から如何に配慮していたのでしょうか?

藤井:企画段階において主に3つの点について注意しました。

1つは、張りつく必要がないゲームデザインにするということです。具体的には、24時間合戦が出来る状態を避けました。2時から10時までは、停戦という仕様です。社会人は忙しいという前提のもと、必要な睡眠時間はとれるようと配慮してのことです。

2つめは、スポーツライクにすること。一般的なブラウザーシミュレーションゲームは、いったん敗北すると勝者の配下になってしまうので、それでゲームから離れてしまうプレイヤーが多いんです。そこで、敗北しても、兵力を失う程度とし、3時間を経れば復活できるというシステムにしました。その変わり、グループの強さは戦歴で示すようにし、何勝何敗という数値やランキングをつけるといった形で優劣がわかるようにしました。 勝者にはポイントを配分するという形として、敵軍の兵力の強さに応じて、配分するポイントも変えるということにしました。このような形で、ある種のスポーツのようにゲームを楽しめるような配慮をしたのです。

そして3点目としてあげられるのがコミュニティ性の重視です。ユーザー同士のコミュニティは現段階ではまだ弱いものの、これから強化していくつもりです。また、Yahoo! JAPANとの連携もゲームへの集客とチャンネルを意識してのことです。ゲームメーカーの中でYahoo! JAPANと直に組むというのを敢えてやったのは大きいと思います。ゲームをだすのならSNSサイトでという流れで、総合インターネットポータルと組むという発想は少なかったと思います。広告は出すけど、組むのはどうかと感じていたところも多いと思いますが、それにチャレンジしたことが現在の成功につながったと思っています。インターネットユーザーであればYahoo! JAPAN IDをもっていない人のほうが少ないぐらいの日本最大のポータルなので、ユーザーもストレスなくYahoo! JAPANIDを使ってゲームに入ってこれるための配慮を施しました。

また、チュートリアルはなるべく、広く、浅く、更に、なるべく短くを意識してデザインしました。チュートリアルが長いとユーザーがゲームから離れてしまう傾向にあるんです。ですので、短く進めていくことで世界観が自然と見えてくるように改良を進めました。

■ガンガン戦-IXA-とともに、IXAをひとつのIPとして育てていくつもりです

―――雑誌、「ガンガン戦-IXA-」とのコラボレーションはどのような効果を生んでいますか?

藤井:これまで、スクウェア・エニックスでは書籍事業とゲーム事業が協力して何かやるということはほとんどなかったのですが、今回は、「ガンガン戦-IXA-」とコラボすることで、ゲーム、雑誌に関係なく、IXAをひとつのIPとして育てていこうということで意識が一致したんです。そこで、相乗効果を生み、雑誌を購入したひとがIXAをプレイし、IXAのユーザーが雑誌を購入するという状況をつくりあげていきたいと思ったんです。

―――12月22日発売予定の「ガンガン戦-IXA-二〇一〇冬の陣」では、どのようなコラボが期待できるのでしょうか?

松崎:もともと弊社の出版は、女性読者が多く、少年誌のガンガン本誌でも6:4の男女比となっています。昨年すでに「ガンガン戦-IXA-」を創刊していた出版に、藤井プロデューサーからコラボレーションの話が来たときは、『戦国IXA』側にも女子ユーザー獲得の意図があったため、ガンガンやGファンタジーで活躍する作家さんが参加することで、ゲーム本体にとっても、出版にとっても双方ユーザーの裾野が広がる良い機会だと思いました。12月22日の単行本発売と同日に、雑誌の「ガンガン戦-IXA-二〇一〇冬の陣」も発売します。こちらにも、付録描き下ろしポストカードに斎藤道三のシリアルコードを付けさせていただくので、この企画をきっかけに、雑誌や連載作品を読んだことのない方々にも楽しんでいただけると思います。

また、藤井プロデューサーの言うとおり、同じ戦IXAタイトルをIPとして、スクウェア・エニックスが掲げるエンターテインメントのいちジャンルとして成長させ、ゲーム・出版双方からユーザーの裾野を広げていきたいと思っています。

―――太秦戦国祭りでも『戦國ストレイズ』版織田信長カードを配布していましたね!

藤井:これはいまとなっては結構レアなカードになっています。たった2000枚しか印刷しなかったので。この経験で、ユーザーの皆さんがカードを好きなことは分かりました(笑)。一般的なカードデッキを販売するかは分かりませんが、リアルなカードを使った企画はいつかやりたいと思っています。

―――ゲームプレイにおいて、『戦国IXA』(イクサ)ならではの遊び方をするユーザーなどはいますか?

藤井:16ワールドもあり、進行状況もワールドごとに違うので、はじめた時期に応じて複数ワールドでプレイしている人たちもいます。 Yahoo! JAPAN のIDを3つ、4つとって同じワールドで遊ぶというのは禁止していますが、別サーバーに入ってプレイするというプレイスタイルは認めているんです。

また、プレイヤーの居住地域によって所属する大名家とかも変わってきます。九州地方は、島津、中部地方や武田という感じですね。せっかくここまで特性があるので、いつか、各地域に赴いて地域独自のイベントなどやってみたいですね。武田の配下にいるユーザーの中には騎馬隊に力を入れるといったコアな方もいるようです。

あとは、盟主の性格によってその下にいる人たちのプレイスタイルも変化するというのも興味深いです。それぞれプレイスタイルに個性がありますね。比較的時間がとれる盟主の場合、盟主が仲間の人たちを補佐している。一方、盟主が忙しいんですが、まわりがうまく盟主を盛り上げるといった場合もあります。こんな感じで兵力を増強していきますから中には、兵力を既に10万ほど持っているひとたちはざらです。理論上は1カードあたり2000兵まで備えられますので、1プレイヤーあたり20万兵力ぐらいまではいくことが可能なんです。ただ合戦ごとに兵力にも増減がありますから、そこがバランスになりますね。兵力を増強、合戦で活躍し、兵力が減少、更に兵を生産し、より大きな合戦にいくといった一連のサイクルが生まれてくることが大切です。

―――Twitterなどが最近はやっていますのがSNSツールとの連動は進めているのでしょうか?

藤井:Twitterも活用しています。情報発信のために使用すると同時に、ユーザーからの口コミも確認しています。「家に帰って合戦だ~!」とつぶやいている社会人の方もけっこう見かけました(笑)。

―――先月は、御社の和田社長と、ひろゆき氏との対戦が話題を呼びましたね。

藤井:弊社の和田と、ひろゆき氏との対戦が決まった後は、宣伝担当の田所が調整しました。 

田所宰氏(以下、田所): Yahoo! JAPANからのリーチは実現したのですが、コアゲーマーに対してリーチがなかったと思ったんです。ゲームデザインそのものはコアゲーマー向けでもありますので、動画共有サイトや、大規模掲示板などにアクセスしている人たちが喜ぶイベントでなければと思いました。ハッシュタグを追って、Twitterからも戦況を確認できたのはよかったです。ただ、参加しているひとは楽しくてもそれ以外のひとたちの反応が気になりました。今後はプロ野球観戦と同じような感覚で他の人たちがプレイしている姿を観戦できるようになるべく工夫していきたいと思います。同時に今回は、私たちも3週間分の土日を返上してともにプレイするという経験もしました。これはなかなか大変だったのですが、この時ほど2時~10時まで休戦状態になるという仕様が正しい選択だったと思ったことはありません(笑)。

―――今後、他のプラットフォームへと展開していく可能性は?

藤井:『戦国IXA』は、フラッシュをつかっていないので、ブラウザーであれば動くんです。そういう意味では、既に数多くのプラットフォームでプレイ出来るようになっているということです。エクスプローラとFireFoxを推奨していますが、理論上はiPad iPhone,アンドロイド携帯、インターネットでブラウジングが出来るWiiや、PS3など、Javaスクリプトが動けばプレイ可能です。DSiやPSPでも動くと聞いたこともあります(笑)。保障することはできませんが。現在はテレビにブラウザーがついている場合もありますので、テレビからもプレイ可能になるかもしれませんね。フラッシュと比べ、画像をリッチにすることは出来ないのですが、多様なプラットフォームですでに動くというのは大切だと思います。これからもユーザーの皆さまにより長くプレイしていただく策を提案していきたいと思います。

―――今後の展望について教えてください。

藤井:これまではバーチャルの中での繋がりを高める企画が多かったのですが、これをリアルにつないでいきたいと思っています。具体的に何というのはまだ決まっていませんが、例えば、リアルな戦国武将カードを使った新たな遊びの提案とするといったものです。地域ごとに独自の何かをするというのもいいかもしれませんね。ゲーム自体もオープンβ以降、ユーザーのニーズに合わせけっこう変えています。ブラウザーゲームはサーバーを変更させればすぐに変更出来るというのがいいですね。各種、不具合や、UIをかえるというレベルから、数か月に一度の大規模アップデートまで、微調整は常に対応できるようにしています。

―――「ガンガン戦IXA」としての展望も是非!

松崎:「ガンガン戦-IXA-」は紙の雑誌では年2回刊ですが、IXA(イクサ)ジャンル自体は、母体をWeb雑誌「ガンガンONLINE」とし、展開しています。連載作品のキャラクターを単にカード化していくだけでなく、例えば記事展開であったり、プレイ漫画を掲載したりと、出版ならではの展開で、今以上に盛り上げていくつもりです。

―――では最後に読者の皆さまに一言

藤井:ブラウザーゲームであそんでいないひとも、社会人も遊べるように意識してこのゲームを作っているので、是非一度はプレイしていただきたいです。『戦国IXA』自体もまだ成長途中なので是非、期待していてください。

松崎:ガンガンONLINEでは、戦国IXAをプレイする皆様が、より楽しめる企画を掲載しています。ゲームの合間に、漫画を読んで一息ついて欲しいと思います。それと、編集部でも戦国イクサは非常に盛り上がっているので、楽しいゲームを有り難うございますと、この場を借りて藤井プロデューサーに一言お礼を(笑)。

―――ありがとうございました!
《中村彰憲》
【注目の記事】[PR]

編集部おすすめの記事

特集

ゲームビジネス アクセスランキング

  1. 新春カプコンプロデューサー対談 川田将央×新妻良太 (後編) カプコンプロデューサーの仕事術

    新春カプコンプロデューサー対談 川田将央×新妻良太 (後編) カプコンプロデューサーの仕事術

  2. 100億円強を集めたゲーム会社「ソシエゴ」に捜査・・・クライマックス・内藤氏は関与を否定

    100億円強を集めたゲーム会社「ソシエゴ」に捜査・・・クライマックス・内藤氏は関与を否定

  3. ポケモンはここで作られる!ゲームフリーク訪問記(前編)

    ポケモンはここで作られる!ゲームフリーク訪問記(前編)

  4. 『うたプリ』公式、二次創作グッズ制作・取引に対しツイッターで警告

アクセスランキングをもっと見る