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【CEDEC2008】『ソニックワールドアドベンチャー』の開発現場から

任天堂 Wii

【CEDEC2008】『ソニックワールドアドベンチャー』の開発現場から
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セガから2008年12月にWii、PS3、Xbox360で発売予定となっているソニックシリーズ最新作『ソニックワールドアドベンチャー』では、ビジュアル面の大きな向上として「グローバルイルミネーション」という手法が導入されています。CEDEC最終日となった11日の13:00〜より、「リアルタイムCGにおけるグローバルイルミネーションの導入実践・その開発事例〜ソニックワールドアドベンチャーの開発現場より〜」と題したセッションが行われ、セガ第2CS研究開発部 ディレクター兼テクニカルディレクターの橋本 善久氏が演壇に立ちました。



「グローバルイルミネーション」というのはCGなどに興味のある方意外には聞きなれない言葉かもしれませんが、例えば、真白の部屋があって、その中に赤い球体が置かれていたら、その周囲には照明がその赤に反射して赤がうっすらと浮かび上がるはずです。ソニックというキャラクターを考えた時、ポリゴンでモデルを制作し、その上にテクスチャを貼って、ブルーの鮮やかなソニックが出来上がります。しかしそのままでは、のっぺり感が拭えません。特に影の中に居るシーンなどではシェイディングを行うだけでは現実に近い表現ができません。そこで、色が反射して映り込み、深みが増すような表現を取り入れる必要があります。

光の反射によって色が映り込むことが分かます


テクスチャを貼っただけでは、のっぺり感が拭えません


『ソニックワールドアドベンチャー』の開発チームでは「ライトフィールド」という手法で、キャラクターの場所から上下左右360度の方向をチェックして色を取得、それを最終的にグリッドの6頂点に当たる色に保存、キャラクターに当たる光を計算するという方法を取りました。プレゼンテーションでは青空下や緑の下にいる時のライトフィールドの状態などが紹介されました。これを行うことでよりリアルな表現が可能になります。

ソニックの周りに表示されているのが6つの頂点です。
緑の下で適用するとリアルな表現になるのが分かります。


しかしながらソニックは秒速100mで疾走します。ステージも非常に広大になります。これをリアルタイムで処理するのはいかに次世代機と言えど無理です。そこで、予め計算をかけてGIテクスチャを用意するという手法が取られました。しかし、それでもテストで500m×500mの地形を処理したところ、計算時間は2日、テクスチャ容量は100MBにも上ったそうです。実際の15km程度のステージを処理するとなると、サイズはギガ単位、計算時間も数か月はかかることが予想されます。そこで今回は、分散処理ツールを使用し、開発チームのPCの余力や空いたPCを使用することで、何とか乗り切ったということです。

メモリの問題もあったそうです。1ステージのGIテクスチャは前述のように数百MB〜1GB程度にもなり、一度に読み込むのは現実的ではありません。そこでストリームにすることになりますが、Xbox360ではメモリ管理の都合から小さなテクスチャを読み込んでも12MBずつ消費してしまうという問題があったそうです。そこで、小さなGIテクスチャを256×256にまとめて利用することで解決したそうです。

負荷分散のイメージとGIテクスチャをまとめた例


こうして何とか「グローバルイルミネーション」を実現したわけですが、データ規模が非常に大きくなり、ディスク容量での苦労や、ファイル管理システムのsubversionも利用が困難だったこと(セガの社内システムに置き換えたそうです)、PCを使いすぎて仕事場のブレーカーが落ちて電力工事まで必要になったことなど、「しんどすぎました」(橋本氏)とのこと。

ただ、背景班やキャラクターモデル班を中心にチームの士気は非常に高く、実際の映像でも高い効果が得られたということです。

今後の課題について橋本氏は、動的なグローバルイルミネーションや、映り込む光に方向性を持たせることなどを挙げました。今回の手法を取ると、ステージを再設計することが容易ではなくなるため、動的に行えた場合非常に大きいものになります。また、光に方向性を持たすことができれば、見る方向によって艶が違うような更にリアルな表現が可能になります。加えて、データサイズが大きくなる部分をいかに乗り切るかといったワークフローの改善も課題になりそうです。



蛇足になりますが、セガでは「Hedgehog Engine」(ヘッジホッグエンジン)と呼ばれるライブラリを整備していて、Mirage(描写エンジン)、Universe(フレームワーク)、Wisdom(AI系ライブラリ)の主要ライブラリに加えて、ツールとして、GIレンダラー、分散解析支援ツール、モデルビュアー、カットシーンエディタ、パーティクルエディタ、テクスチャ内GI計算機などを独自に用意しているそうです。



また、レベルデザインにおいても、3dsMaxで簡易マップを作成(ルートなど簡単なもの)、それを実機に組み込んでオブジェクトの配置や動作確認を行った上で、最後にデザイナーがデザインするという手法がとられているそうです。これによって制作後の変更を最小限に抑え、GIの再計算の手間などを省くようになっているということです。


高速で移動するソニックというキャラクターで、最先端のCG手法を活用するという困難な課題についての講演でしたが、非常に注目は高く、約200人収容の部屋に入りきれず、隣の部屋で映像中継がされるという形になりました。ゲームはあと1か月程度でマスターアップを迎える大変な時期だったようですが、興味深いテーマで多くの開発者の参考になったのではないでしょうか。
《土本学》

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