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乙女ゲームの「救世主」に DS『VitaminX Evolution』開発者インタビュー

乙女ゲームの「救世主」に DS『VitaminX Evolution』開発者インタビュー

任天堂 DS


■導入はわずか2日で、ファイルマジック


―――今回は「救声主」のみでなく、ファイル管理システムの「ファイルマジック」も採用されたと聞いています。どのような部分に利用されましたか?

五十嵐: ゲームデータのなかでもかなりの量を占めるグラフィックデータの圧縮に利用しました。また、シナリオデータの圧縮にも活用しています。たとえDSの最大容量である2GbitのDS専用カードを使っても容量的に厳しいのは分かっていましたから、音声は「救声主」で圧縮し、グラフィックなどは「ファイルマジック」で圧縮する、という方法を採りました。おかげさまで、より多くの音声データを収録するための容量を確保することが出来ました。

岩崎:約46MBだったグラフィックデータがファイルマジックで圧縮をかけることで、19.7MBまで減りました。オリジナルの容量を100%とすれば、43%にサイズを減らせたことになります。これはとても助かりました。

半端なく収録されたイラストも魅力


―――導入のしやすさはいかがでしたか?

五十嵐: 「ファイルマジック」はもともと技術プログラム部門の担当者が使用を提案してきました。今までのコードを一部修正するだけで使えたので、導入は1〜2日で出来ました。面倒な部分も特にありませんでしたし、ミドルウェアを使っているという感覚もなくて、普通に使うことができました。もちろん品質的にも問題ありませんでした。

―――扱うデータの数が膨大だったと思いますが…

五十嵐: はい、確かにデータの数が多くなると圧縮やパッキングに時間がかかる面もあります。それはツールの使い勝手がどうこうというよりは、ただ単純にデータが多いので仕方ないですよね。ただ、圧縮後のデータに対して修正や追加をする場合、全てのファイルを再圧縮しなければならなかったので、もしできれば、修正した差分データだけを圧縮するなどして、作業時間を短縮できるようになるとありがたいですね。

―――実はそういう要望も多くいただいていて現在対応を進めています。追記機能という形で、近日、実装を予定していますのでもう少しお待ち下さい。


■乙女ゲームといって妥協は許されない


―――ユーザビリティという面でもたいへんご苦労されたそうですね

五十嵐: もともと私自身も乙女ゲームをプレイしていたわけではないのでPS2の時も、どんな操作がベストなのか、かなり試行錯誤しました。作っては作り直しての繰り返しです。今回もDSということで、タッチペンをどうするのか、2画面をどう使うのか、タッチペンだけで遊ぶ人、ボタンだけで遊ぶ人、両方を使う人・・・どうすれば遊びやすいインタフェースになるのか、かなり研究しましたね。

―――インタフェースはゲームの良し悪しを決める重要な要素ですよね

大池: 本当にそうですね。ゲームの内容がいくら良くても、操作まわりが、「これちょっと遊び辛いね」というだけで評価が下がってしまうことがあります。「折角面白いのに、ここが・・・」というのは本当に勿体無いです。だからこそ、今作でもインタフェースにはとにかくこだわりました。今作のウリでもある「LOVE or STUDY」システムの操作方法にしても、最後の最後まで試行錯誤を繰り返し、最終的にもっともストレスなく遊んで頂けるものにできたと思っています。

岩崎: 僕たちもインタフェースまわりについてはまだまだ勉強している最中なのですが、その部分が作りこまれていないタイトルはやはりあると思います。「乙女ゲーム」は確かにゲーム市場全体から見るとニッチなジャンルで、セールスの上限もある程度決まっています。でも、だからこそその中で一番を目指さなくちゃいけなくて、良いインタフェースだったり、限界ギリギリまで詰め込んだ音声だったり、色々なところでチャレンジをしていかないといけないと思っています。

―――『VitaminX』の今後の展開を聞かせてください

大池: はい。既に発表になっていますが、7月に関連イベントを行います。ゲーム「以外」の展開もそろそろしたい、ということで、例えば「アニメも作りたいね」といった話はいつもしています。『VitaminX』は多くのユーザー様から高い評価をいただいているので、続編については前向きに考えていきたいです。

―――では最後に、他のゲーム開発者の方々と、ゲームをプレイされる方々に一言ずつコメントをください

黒田: 私の場合まだ業界経験自体が短いので、色々と他社さんのゲームを見ながら勉強させていただいているところです。お互い研究しながら良いものを作っていきたいですね。

また、プレイヤーの方々には、DSとしては凄いボリュームになっているゲームだと思いますので、じっくり遊んでもらいたいと思っています。

五十嵐: 開発というのは裏方の作業だからこそ、あまり気付かれない箇所にもこだわって遊びやすさを追求するようにしています。他のジャンルのゲームに負けないようなゲームをもっと作って、もっと沢山の人に遊んでもらえるように頑張っていきますが、まずは『VitaminX Evolution』を楽しんで欲しいです。

今回、ミドルウェアを使って、その使い心地やミドルウェアの実力に感心したというのが本当のところです。お金はかかるものですが、できあがる作品の質に直接関わる部分なので、そこはお金を渋らずに積極的に導入したほうが良いと思います。

岩崎: 「乙女ゲーム」は、声優やシナリオや絵描きさんが前面に出てくるので、華やかな世界に見えていると思います。でもそうじゃない部分でも技術者たちが裏方で頑張っているんだ、というのは今回主張したいところです(笑)。ユーザインタフェースの部分でも、ミドルウェアの力を借りた圧縮まわりやたくさんの地道な努力の積み重ねで、遊んでいてストレスのないゲームが出来ていると思います。そして今後ももっと良くなるように努力していくつもりです。触ってみて分かる部分を僕は重要視しているので、そこをおざなりにせずにデベロッパーとして更に精進していきたいという気持ちです。

ディレクターというのは、いろいろと情報を集めて開発現場がより楽に、仕事がやりやすいような環境づくりを行うのが役目だと考えます。例えばツールやミドルウェア関連のカンファレンスや展示会に参加したり、インターネットをチェックしたり、つねにアンテナを高くしておくことが大事だと思います。今回の「救声主」も「ファイルマジック」もそうですが、D3・パブリッシャーさんから「使ってください」と言われたわけではなくて、僕たちの側から「こういうミドルウェアを使いたいから契約して下さい」という話をしました。ディレクターとして絵やシナリオで良いものを届ける努力をするのは当然なんですが、そういうもっと裏方の部分もしっかりやらないと、と自分でも戒めています。他のディレクターさんとも切磋琢磨していきたいと思っています。



―――では最後に広報である大池さんからも一言お願いします

大池: この『VitaminX Evolution』は「PS2からの移植」と紹介されることが多いのですが、単なる移植では収まらない内容で、「新作」と呼んでいただいてもいいと思っています。シナリオやアクションも新規で入った部分がたくさんありますので、PS2版が未プレイの人だけではなく、既に遊ばれた方も新しい気持ちでプレイできる内容になっています。また、女性だけでなく、男性ユーザーの方にも体験して欲しいですね。

―――本日はどうもありがとうございました!


株式会社CRI・ミドルウェア
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