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「携帯ゲーム機」の枠を超えたテイルズ―『テイルズ オブ イノセンス』開発スタッフインタビュー

2007年12月6日にバンダイナムコゲームスから発売されたニンテンドーDS向け『テイルズ オブ イノセンス』は、携帯ゲーム機として初めてテイルズの本編、マザーシップタイトルとして制作された作品です。DSというゲーム機でテイルズの全てを詰め込むために、開発現場には多くの苦労がありました。そして本作でも、CRI・ミドルウェアの音声圧縮用ミドルウェア「救声主」が採用されています。今回は、開発を担当した熊本のアルファ・システムさんにお邪魔し、話をお聞きしました。

任天堂 DS
テイルズ オブ イノセンス
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―――まずはそれぞれ自己紹介をお願いできますでしょうか

大舘: バンダイナムコゲームスの大舘と申します。PSPの『テイルズ オブ ザ ワールド レディアントマイソロジー』からテイルズシリーズに関わりまして本作で2作目です。今回は制作プロデューサーという形で制作の全般を見ました。それ以前はPS2の『デス バイ ディグリーズ 鉄拳:ニーナ ウイリアムズ』という作品や、元々はアーケードチームで中大型の機械、ナンジャタウンのアトラクションのディレクションなどをやっていました。

注: ヘッドマウントディスプレイを使った迫力のシューティング『ファイヤーブル』も同氏のディレクションだそうです。

稲垣: バンダイナムコゲームスの稲垣です。今回はディレクターを務めさせていただきました。ビジュアル関係などにも少し触れました。テイルズシリーズでは『テイルズ オブ レジェンディア』でデザイナーをやりました。

櫻井: アルファ・システムの櫻井です。アルファ・システム側のプロジェクトリーダーを務めさせていただきました。テイルズシリーズは今回が初でしたが、他のスタッフは経験者が多くて助けられました。18歳の時にアルバイトで入って、PCエンジンのCD-ROMくらいからずっと仕事をしています。日本テレネットさんとシューティングゲーム、SCEさんと『幻世虚構・精霊機導弾』というシューティングゲーム、『高機動幻想ガンパレード・マーチ』や『エヴァンゲリオン2』、『絢爛舞踏祭』といった作品に関わりました。

安田: サウンド課の吉田です。音声や効果音の作成、BGM音源のマニピュレートを担当しました。アルファ・システムで開発した全てのテイルズに関わっています。

深澤: メインプログラマーを担当した深澤です。テイルズは今回が初ですが、以前は『エヴァンゲリオン2』、『暴れん坊プリンセス』などに関わりました。

佐々木: アルファ・システム代表取締役の佐々木です。今回は基本的には立ち上げ時の弊社側のプロデューサー的な仕事と、世に出すところの調整だけで、その他はほとんど現場のスタッフに任せていました。ですので私の仕事はバンダイナムコさんの未来研究所に行ってテイルズ・オブシリーズのラインナップ発表会に出席したり、一番最後の調整を見たり、そういった仕事でした。

■アルファ・システムとは

―――テイルズの話に入る前に、アルファ・システムの生い立ちを聞かせてください

佐々木: 1988年に会社を設立しました。以来、プロデューサーという形でほとんどのタイトルに関わってきましたが、元はプログラマーで、PCエンジンの頃からPSくらいまでかなりプログラムの仕事もしていました。PSで記憶に残っているのは、ムービーデータが、1時間プラス、音楽ストリーミングデータが8時間、更にレンダリングされたインターレースのフルグラフィックが1500枚、みたいなゲームがあって、とてもCDに入りきらないような内容をサンプリングレートを変えたりして、ねじ伏せて収録する、みたいな事をやってました。プログラマーとして最後に担当したのはこれもPSの『幻世虚構・精霊機導弾』というガンシューティングなんですが、2人のプログラマで書いていたのが、たまたまメインプログラマーが2人とも辞めちゃって、それを何とか解析しながら完成させたということがありました。

―――なるほど。ではテイルズとの出会いというのは?

佐々木: 元々テイルズシリーズというのは日本テレネットさんが作っていました。アルファ・システムはPCエンジンの頃からテレネットさんと一緒に仕事をしていて、ある時に人が足りないということで、そこからグラフィックだけ手伝ってくれないか? という話をもらったりして関係が始まりました。ある時に「こういうタイプのゲームを作りたいけど、忙しくて・・・」という話をいただいたのが『なりきりダンジョン2』だったという記憶があります。もう結構長い付き合いになりますね。

大舘: 『なりきりダンジョン2』『3』、『テイルズ オブ エターニア』でグラフィックの一部をアルファ・システムさんにお願いして、PSPの『ディスティニー2』の移植、『レディアントマイソロジー』、そして今回の『イノセンス』で5作目でしょうか。

―――アルファ・システムさんとしては、ニンテンドーDSを手がけられたのは今回が初めてですよね

櫻井: そうですね。

―――では、基礎的な部分から実験していったということになりますね

深澤: そうですね。どこまで性能を引き出せるか、という実験をしていきました。

佐々木: DSだからといってハード的に他とそう違うわけではありません。ただ、どこまで性能が出るのか?という点は実際に動かしてみないと分からないところです。ポリゴンの出方もハードによって大分違っています。PSPなどでは割と気軽に描いても奇麗に見えますが、DSは逆に一生懸命やってもなかなかそうはいきません。その辺りでどこまで出来るかという部分は苦労したみたいですね。

―――ではバンダイナムコさんの側として今回アルファ・システムさんに任せたというのは?

大舘: アルファ・システムさんが技術的に安心できる開発会社というのは随分前から分かっていて、僕が担当した『レディアントマイソロジー』が先行して動いていました。その頃にちょうど僕の方でもう一本RPGを手がけることになり、アルファさんにお願いしたらリソース的には何とかなりそうということで、『イノセンス』の企画がスタートしました。ですから、もともと『レディアントマイソロジー』があって、それに平行する形で『イノセンス』もお願いします、という形でした。

―――『イノセンス』プロジェクトの始まりはいつ頃ですか?

大舘: 最初に打診をしたのが2006年の3月か4月ごろで、正式にお願いすることになったのは翌5月です。そこから企画を練ったり、深澤さんの方でDSの基本的なライブラリを作ったりしてました。沢山スタッフを動員してさあ作るぞ、というのは2006年の年末か2007年の頭からですね。

―――テイルズシリーズの中で今作の位置づけというのはどういうところにあるんでしょうか。マザーシップタイトルとおっしゃっていますが

大舘: アルファ・システムさんにお願いしていた『レディアントマイソロジー』というのは弊社で言っているところのエスコートタイトルという位置づけです。テイルズというシリーズはこれまで沢山のタイトルが出ていて、それぞれにファンの方がいるわけです。「テイルズオブザワールド」という名前が付いた場合、そういった作品のファンの方に向けて、そのゲームを忘れないでもう一度世界観を楽しんで欲しい、そういう役割を持っているタイトルです。

大舘: それとは別にもう一本はちゃんと物語を立ててやりましょうというのが今作です。始まった当初はマザーシップやエスコートという区別がちゃんとあったわけじゃなかったので本編かどうかという意味では微妙でしたが、狙いとしては据え置き機系のテイルズのメインストリームと、もう一つ携帯ゲーム機系のメインストリームという2つの大きな流れを作りたい、ということでした。『テンペスト』もその文脈で作られた作品です。ですから『イノセンス』もその次の携帯ゲーム機系のテイルズというポジションでスタートしました。



■イノセンスのテーマとは


《土本学》
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