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『龍が如く 見参!』インタビュー 次世代のゲーム作りを聞きました

3月6日にセガから発売されたPLAYSTATION3向け『龍が如く 見参!』(以下、『見参!』)は、プレイステーション2で2作品が発売され高い評価を受けた「龍が如く」シリーズの3作目であり、シリーズとしては初めてプラットフォームをPS3に移した作品です。大幅に性能の上がったPS3というハードで、どのようなゲーム作りがなされたのか、セガNEソフト研究開発部の服部氏と長坂氏にお話を聞きました。

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3月6日にセガから発売されたPLAYSTATION3向け『龍が如く 見参!』(以下、『見参!』)は、プレイステーション2で2作品が発売され高い評価を受けた「龍が如く」シリーズの3作目であり、シリーズとしては初めてプラットフォームをPS3に移した作品です。大幅に性能の上がったPS3というハードで、どのようなゲーム作りがなされたのか、セガNEソフト研究開発部の服部氏と長坂氏にお話を聞きました。

■株式会社セガ
・服部義明 氏 CS開発統括部 NEソフト研究開発部 プログラムセクション主任
・長坂峰詩 氏 CS開発統括部 NEソフト研究開発部 サウンドクリエイター

■インタビュアー
・土本学 インサイド編集長
・CRI・ミドルウェア



まずは、『龍が如く』シリーズの総合プロデューサーの名越稔洋氏よりコメントをいただきましたので、ご紹介します。

この度は、というよりも今回もCRI様には大変お世話になりました。

昨今のゲーム開発に於いて技術の複雑化と作業フローの多様化は大きな問題であり、同時にクリエーター達の宿命とも言えます。

しかし我々ソフト開発の現場としては、最も大きな宿命とはやはり「面白いゲーム作り」そのものであり、そこに如何に時間を使い、その為の作業に集中できるかが鍵です。

つまり効率の良い作業環境を求めるとことは、製品を面白くするためには欠かせないプロセス。その大きな手助けをしていただいている事に、本当に感謝しております。

そしてその恩恵を我々としては”面白いゲーム”を作ることで恩返ししたいと思います。これからもよろしくお願い申し上げます。

名越 稔洋


■自己紹介

―――本日はよろしくお願いします。最初にこれまでに関わってこられたタイトルと、今回の『龍が如く 見参!』でそれぞれ担当された部分を聞かせてください

服部: NEソフト研究開発部の服部と申します。CRIとは入社してからずっとお付き合いさせていただいています。最初に関わったゲームはドリームキャストの『ハンドレッドソード』で、次にXboxの『パンツァードラグーンオルタ』、その後は色々なプロジェクトの手伝いなどをやって、Wiiのロンチタイトルだった『スーパーモンキーボール ウキウキパーティー大集合』を担当して、次に本作という流れです。今回は主にプログラムまわりを担当しました。

長坂: 同じくNEソフト研究開発部の長坂です。最初に関わったのは業務用の『バーチャストライカー4 バージョン2006』で、Wiiの『スーパーモンキーボール ウキウキパーティ大集合』、前作『龍が如く2』に途中から加わって、今回の『見参!』という流れです。主にバトルを中心としたSE(サウンドエフェクト)とシステムSEなどを担当しました。

服部氏と長坂氏


―――今回、非常にボリュームのある作品で、クオリティも高く、それでいて前作からそれほど待たずに発売されたという印象を受けますが、開発期間はどのくらいだったのでしょうか?

服部: 本格的に始めたのは2006年11月ごろなので、開発期間としては1年ちょっとですね。

―――それは短いですね

服部: はい、そうですね。今回は「CRI Audio」、「CRI ADX」、「CRI Sofdec」というCRIさんの3種類のミドルウェアを利用したのですが、そのお陰も大いにあります。セガとしてはPS3向けの開発ラインというのは比較的多くて、開発機材の数の面でも恵まれていた方だと思うんです。それでも、やっぱり開発機材が開発スタッフ全員に行き渡るとまではいきませんでした。実は「CRI Audio」「ADX」「Sofdec」ともWindows版もあるので、PS3とPCで全く同じデータを使うことができます。サウンドについては、台数を用意できるPCの方で開発を進めて、適時PS3で動かして調整するというやり方で開発していきました。『見参!』のPC版を発売するつもりはないのですが。これにより、開発機材の不足を補いながら、短い期間で開発をすることができました。

※開発機材・・・ゲームの開発をするために必要な機材や開発用のソフト一式。基本的にハードの発売時は提供される数が少ない。

―――なるほど。ミドルウェアのPC対応にはそうしたメリットもあるんですね

服部: はい。それにこれまでのシリーズでもCRIのミドルウェアを使い続けてきましたので、今回も使わせていただきました。

―――プログラマーの人数はどのくらいだったのですか?

服部: だいたい30人くらいですね。最後まで人数分の開発機材は揃いませんでしたね(笑)

―――それぞれのミドルウェアは、どのように活用されましたか?

服部: 特にトリッキーな使い方はしていません。SEを「CRI Audio」で、BGMを「ADX」で、ムービーを「Sofdec」で実現しています。


《土本学》
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