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『ロマサガRS』で注目を集める『サガ・スカーレットグレイス』とは─要素を絞り込んだ先に見える、本質的な“面白さ”にフォーカスする

『ロマサガRS』で『サガ・スカーレットグレイス』のイベントが開催されます。この機会に本作の魅力に触れて、プレイしてみてはいかがでしょうか。

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2018年8月2日に発売された、PS4/ニンテンドースイッチ/PC/iOS/Android対応『サガ・スカーレットグレイス 緋色の野望』。同作は2016年12月発売のPS Vita『サガ スカーレット グレイス』をベースに、キャラクターやイベントの追加、システム面の改良等を行ったバージョンアップ版と呼べる作品です。

スマートフォンアプリ『ロマンシング・サガ リ・ユニバース(ロマサガRS)』では、そんな同作の発売1周年を記念したイベントが開催中。「ウルピナ」「タリア」といった4キャラクターがピックアップで登場しています。

本記事では、『サガ』シリーズの1つの集大成とも言えるこの『スカーレットグレイス』を紹介します。『ロマサガRS』で本作の存在を知った方も、この機会に本作の魅力に触れて、プレイしてみてはいかがでしょうか。

贅肉を削ぎ落とし、ゲームの面白さをブラッシュアップした作品


『スカーレットグレイス』が初めて日の目を見たのは2016年秋でした。『アンリミテッド:サガ』以来の完全新作に、ファンは不安と興奮を抑えきれないでいたことでしょう。

それまでのシリーズ集大成でもあった『ロマンシング・サガ ミンストレルソング』のような作品を待ち望んでいた筆者は、公開された映像に大きな衝撃を受けました。ダンジョンは無し、街の中の移動は無し、立ち絵のみで進行するイベントなど、スマートフォンのゲームアプリのようなシンプルさ。プレイヤーの遊べる部分をあえて狭めてきたような作品でした。

ところが実際にプレイしてみると、要素を絞り込んだ分だけ、遊びの部分が非常に高い完成度となっていました。製作者の「とにかくここを楽しんでほしい!」という強い気持ちが伝わってきました。

その要素である、「フリーシナリオ」と「戦闘」の2つを見ていこうと思います。

フリーシナリオのプレイ体験を高めた「フリーワールドシステム」


『ロマサガ』シリーズ以降の大きな特徴である「フリーシナリオ」システム。遊ぶごとに異なるプレイ体験を得られるため、何度でも遊ぶ楽しみがあり、他のプレイヤーと情報交換で、思いもしなかった発見があるなど、作品に深みを持たせる要素です。

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画像はPS4版『サガ・スカーレットグレイス 緋色の野望』より

『スカーレットグレイス』では前述の通り、街やダンジョンは廃止され、ワールドマップだけで冒険が進行し、その中でフリーシナリオが展開します。フィールド上には最初何の目印も無く、キャラクターの移動にあわせて洞窟や街やイベントがポップアップしてくる作りになっています。特に変哲も無いシステムのように見えますが、「近くまで行くと見えてくる」という点が、ゲームのおもしろさを生んでいます。

近づくまで何があるのかわからないため、却って探究心がそそられます。イベントの進行によって、今まで何もなかったところに新しいアイコンが出てくることもあるため、一度通った道も見逃すことはできません。自分でプレイしないとなかなかわかりませんが、フィールド上で何かを発見したときの興奮は想像以上のものがあります。

この発見するという楽しみは、現在人気のいわゆる「オープンワールド」と同じ種類の魅力です。あの山の上に何があるのだろう、海の向こうに何があるのだろう、という探究心から、実際に自分の足で探検し、発見する。特に、任天堂の『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』は、その点を意識して作られた作品だと言われています。

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画像はPS4版『サガ・スカーレットグレイス 緋色の野望』より

『スカーレットグレイス』は、無理の無いフィールドの広さで構成されていることもプラスな点。一度のプレイで難なく世界の端々まで回れる広さ。そのため、同じ場所へ数回足を運ぶことも苦になりません。フリーシナリオとあいまって、同じ場所を繰り返し探してみることが重要になるため、この広さは絶妙です。おそらく、きちんと計算されたものなのでしょう。

広大な世界を冒険したい人には物足りない部分もあるかもしれません。しかし、オープンワールドの楽しさを体験したいけど、大作をプレイすることに疲れを感じる人にとって、この作品はうってつけです。手軽な範囲で、探検と発見の楽しみを得ることができるでしょう。

リアリティよりも、ゲーム的な面白さを優先した戦闘


敵味方が一列に並び、コマンド選択で順番に行動するような、いわゆるJRPGの戦闘システムは、リアリティに欠けるとして批判されていたこともありました。しかし、この『スカーレットグレイス』では、その批判に真っ向から反抗するように、リアルさ度外視でゲームとしての面白さをとことん追求した作りになっています。

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画像はPS4版『サガ・スカーレットグレイス 緋色の野望』より

戦闘は、敵の行動内容と、全員の行動順が明らかな状態で始まります。現実ではありえないことですが、これから起こることがすべてわかった状態です。そして、その情報を得てこちらの行動を決定することになります。

敵の手の内がすべてわかっている戦いが、なぜここまで面白くなるのか。本作は、戦略を建て、それが見事にハマることによる面白さを重視しています。従来の「連携」システムが廃止され、「連撃」が追加されたことも大きなポイント。この「連撃」は、いままでの「連携」以上に、しっかりと狙って発生させることが可能です。画面上の行動タイムラインを見ながら、「敵の行動を封じて、行動順を強制的に変えて、ここで敵を倒して連撃を発生させて、もう一体の敵を倒そう」などと計画を練り、それが決まったとき、これまでに無い快感が得られます。

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画像はPS4版『サガ・スカーレットグレイス 緋色の野望』より

もちろん、閃きや神の恩寵などのランダム要素も健在。不確定要素と計画要素が絶妙なバランスで混在することが、サガの面白さを確立していることは言うまでもありません。

忘れてはならない点がもう一つ。本作の戦闘は、ほとんどの場合、自分の意思でやるかやらないかを決定できます。敵の姿が見えないランダムエンカウントや、敵が追いかけてくるシンボルエンカウントは廃止されており、戦いたくないときには基本的に戦わずに旅をすることができます。(もちろんシナリオ上、強制的に戦闘に突入することはあります。)

フィールド上にある戦闘アイコンに触れ、戦闘を実行することでバトルがスタート。この点は、スマートフォンアプリのゲームに近いものがあります。ちょっと世界をぶらぶらしたかっただけなのに敵に囲まれて、連戦に巻き込まれるという場面もほとんどありません。

仕事が終わって家に帰り、頭の体操と栄養補給のつもりで、サクッと一回だけバトル。といった遊び方も可能です。まさに、時間の無い現代の大人たちにピッタリのシステムだと言えます。



フリーワールドのシステムと、今まで以上に尖った戦闘システム。制作陣が「ここを楽しんでほしい」と思った部分に注力し、その他の要素を最小限に抑えた結果、『スカーレットグレイス』は誰も見たことない形のゲームとなっています。本作は、誰にでも受け入れられるものではなく、賛否両論集まる作品です。しかし、大作に疲れた人、時間の取れない社会人などにこそ、ぜひプレイして見てほしい一本です。

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『スカーレットグレイス』にもたくさんのキャラが登場します。誰が『ロマサガRS』に参戦するか、楽しみです。
《竜神橋わたる》
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