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PSの「おバカ」枠代表な『せがれいじり』が20周年─“ナンセンス”だけど“ハイセンス”!? セケンに飛び出す「せがれ」は成長するのか

突き抜けたセンスでユーザーを驚かせた『せがれいじり』も、本日6月3日で20周年。愛すべき「バカゲー」を、改めて振り返ってみたいと思います。

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PSの「おバカ」枠代表な『せがれいじり』が20周年─“ナンセンス”だけど“ハイセンス”!? セケンに飛び出す「せがれ」は成長するのか
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ゲーム性を示す区分として、RPGやACT、ATGといったジャンルがあります。また、「死にゲー」や「泣きゲー」といった言葉でゲームの方向性をカテゴライズし、本質を分かりやすく伝える言い回しも存在します。

プレイしていると気持ちが引きずられてしまう「鬱ゲー」や、素晴らしい完成度を讃える「神ゲー」など、その言い回しは多種多様。使われやすいワードだけでも、両手の指では足りません。

そんな言い回しの中には、突き抜けた“おバカ”を感じる作品に対する「バカゲー」という言葉もあります。この「バカゲー」は、馬鹿馬鹿しさや常軌を逸したセンスに溢れたゲームを総称する言葉で、文字から受ける印象そのままの意味合いです。ちなみに、“面白くない、完成度が低い”といったネガティブな印象を与えるソフトは「クソゲー」と表現することが多いので、この「バカゲー」はポジティブな方向で使われる傾向にあります。

「バカゲー」は長いゲーム史の中でたびたび登場しており、各ハードを代表するような作品がいくつも存在します。もちろんプレイステーションの時代にも、様々な「バカゲー」がリリースされました。その、数多ある「バカゲー」のひとつであり、他の「バカゲー」に負けない強烈な個性を放っていたのが、『せがれいじり』です。

『せがれいじり』が発売されたのは、1999年6月3日。今日でちょうど20周年を迎えます。アニバーサリーイヤーを迎えた愛すべき「バカゲー」の魅力を紹介すると共に、数々の「バカゲー」を軽く振り返ってみたいと思います。

◆「せがれ」を「いじって」大きくしよう! 堂々とした下品とナンセンスが清々しい


「バカゲー」と呼ばれる作品には大別して2種類あり、ひとつは制作側がナチュラルに生み出してしまう場合です。作っている段階でおかしいとは思わず、しかし世に出た時に「このゲームはおかしい、どうかしてる」といった評判を受けるのがこちらのタイプです。

もうひとつは、制作側が「バカゲー」を狙うタイプ。意図したものが、意図した通りに伝わっているので、狙いとしては非常に正しい流れです。その方向性が、「バカゲー」だっただけで。しかし、「バカゲー」を狙って作るのは、言葉で言うほど簡単ではありません。「俺って、何言っても許されるタイプだろ?」と口にする人ほどあまり許されていませんし、「私ってほら、天然だから」と言う人は間違いなく計算するタイプです。

しかしこの『せがれいじり』は、「バカゲー」を狙い、そして見事成功を収めた作品となりました。発売元のスクウェア・エニックス(当時のエニックスが発売)の公式サイトを見ると、「各所から、“おバカ”“くだらない”“まっとうなゲームではない”と大絶賛を賜っております『せがれいじり』。“おバカに徹する”と言うコンセプトの本作は、ある意味“おバカ”につけるリトマス試験紙です」といった説明文が。公式の紹介内容からして、本作の“おバカさ”が突き抜けていることが分かります。

本作の主人公は、タイトルにもある「せがれ」。そのビジュアルは、少年のような体を持つ、頭が矢印なキャラクターです。なぜ矢印なのか、その理由は「せがれはサナギなので」とのこと。説明になっていない説明が、早速「バカゲー」の片鱗を感じさせます。

そんな「せがれ」は、ヒロインである「むすめさん」に惹かれ、彼女とラブラブになりたいと思いました。そんな「せがれ」に、「ママ」(見た目は、なぜかキリンの首)は、大きくなったらねと言うと、「せがれ」は大きくなろうと決意。この目的を叶えるため、「せがれ」を「いじり」、大きくさせるべくプレイヤーが奔走します。ちなみに、プレイヤーが頑張ることで、なぜか「ママ」が大きくなっていきます。・・・プロローグを説明しただけで、本作の「バカゲー」ぶりが如実に分かります。

言葉を使ったゲーム要素をクリアすると展開が進み、「せがれ」の成長(なのか?)を見届けることでエンディングを迎えます。エンディングを迎えたセーブデータが「いじりすぎ」となるのも、一貫したセンスが感じられるポイントです。また、キャラクターや世界を3Dで表現し、CG映像も頻繁に流れるなど、センスだけでなくクオリティ面の高さも侮れません。その技術力の高さが「バカゲー」方向に全振りなのも、『せがれいじり』らしい一面です。

エンディングにたどり着くまで、多彩なネタが次から次へとテンポよく登場し、ついつい遊び続けてしまうプレイ感も魅力。ネタの中には、ド直球で下品なものもありますが、その方向は「小学生が好きそう」という類なので、セクシャルな面で誰かを傷つけるようなものではありません。

ゲーム要素を含め、「くだらない」に徹したネタの数々や世界観は、いっそ清々しさを感じるほどで、“ナンセンスだけどハイセンス”といった印象すらあります。ネタの方向が斜め上なので、相性としての合う・合わないが大きい点は否めません。ですが、万人に愛されることは選ばず、求める人にたっぷりと「おバカ」を与える道を選んだ『せがれいじり』は、だからこそ忘れられない「バカゲー」になったのだと思います。

この『せがれいじり』の開発に深く携わった秋元きつね氏は、意欲的なCG表現に取り組んだ番組「ウゴウゴルーガ」(1992年~1994年)の制作にも参加しており、CGと娯楽を結びつけた先駆者のひとりと言えるでしょう。

◆『せがれいじり』以前の「バカゲー」をちょっとだけ振り返り!


記憶に色濃く残る『せがれいじり』ですが、「バカゲー」の歴史から見ればひとつの作品に過ぎず、この他にも数多くの「バカゲー」が登場しました。

「バカゲー」の定義そのものは曖昧な面もあり、ポジティブな意味合いで使われることが多いものの、「クソゲーかつバカゲー」といった評価が下されるものもあるため、ユーザー個々人の判断によって分類が変わる場合も。その一方で、実際にプレイした方の多くが「バカゲー」と認めた作品も少なくありません。

そこで、『せがれいじり』以前にどんな作品が登場したのか、ファミコン時代とスーパーファミコン時代の「バカゲー」を一部紹介させていただきます。もし興味が湧いた方がいれば、未体験の「バカゲー」に手を出してみてはいかがでしょうか。なお、「バカゲー」リストの異論は当然認めます! 全ての「バカゲー」を網羅できる日は、果たして人類に訪れるのでしょうか・・・。

【ファミコン時代】
■アイドル八犬伝
財閥の跡継ぎを目指し、アイドルになることを決意するエリカの物語。全編に渡ってギャグと芸能界ネタのオンパレード。声こそありませんが、ファミコン時代に歌詞付きの曲が流れるなど、意欲的な作品です。「1の つぎは2 3はパス」など、歌詞のセンスも秀逸。

■いっき
最大でも2人、最小では1人で「一揆」を起こすアクションゲーム。ミクロvsマクロの差が大きすぎますが、敵も案外小規模。ただし難易度は高め。一揆は厳しい。原点はアーケード作品。

■暴れん坊天狗
タイトルの時点で突き抜けていますが、自機が「天狗の面」という点もかなりの驚き。ゲーム性は、自機の動きにクセがあるものの、ベーシックなSTG。しかし際立った世界観や、やられた時の「無念」が非常に印象深い。

■たけしの挑戦状
バカゲーとクソゲーの代表格と言えば、本作を思い浮かべる方も多いのでは。攻略はほぼノーヒントで、理不尽な展開も多々。しかしこの酷さがかえって知名度を押し上げ、2017年にはスマホアプリ化も実現。

【スーパーファミコン時代】
■美食戦隊 薔薇野郎
筋肉色の濃いベルトスクロールアクションで、様々なポージングが可能。アクションゲームとして見ると良作ながら、マッスルな世界観が特徴的な一作。

■Smash T.V.
高額の賞金目当てに、命がけのゲームに挑む挑戦者の姿を放送するTV番組・・・という形のアクションゲーム。手応えと爽快感を両立しており、こちらも良作。世界観、難易度、ゴア表現、全てにおいて洋ゲーの見本のような作品です。

■半熟英雄 ~ああ、世界よ半熟なれ・・・!!~
こちらは、和ゲーとバカゲーの見事な融合。ファミコン時代に登場した『半熟英雄』の続編ですが、知名度・完成度ともにこちらが上。お笑い要素もパワーアップしました。主人公からして、おバカで愛すべきキャラ。『FF』シリーズのネタも盛り込まれており、スクウェア(当時)の遊び心がたっぷり味わえます。

ゲームブームの黎明期を支えたファミコン、スーファミ時代だけでも、上記の作品だけでなく、非常に多くの「バカゲー」が登場しています。また、ここから更に、『鈴木爆発』や『炎の料理人 クッキングファイター好』など、『せがれいじり』と肩を並べる「バカゲー」がプレステで活躍しました。

もちろん、「バカゲー」の歴史は最新ハードにも続いており、近年ではスマホアプリやインディー界隈などでもその活躍を見ることができます。『せがれいじり』をはじめ、愛すべき作品も多い「バカゲー」。多様性のひとつとして、今後の展開も楽しみにしたいところです。



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