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『ららマジ』キャラデザ・飯塚晴子氏インタビュー!2周年ドレスから“あの男子”のことまで、色々聞いてきました

『ららマジ』キャラデザ・飯塚氏に聞く!あのイラストや、あのキャラのアレやコレ。さくら先輩の話もあります!

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『ららマジ』キャラデザ・飯塚晴子氏インタビュー!2周年ドレスから“あの男子”のことまで、色々聞いてきました
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A-1 Pictures&Wright Flyer Studiosがタッグを組んで贈る『ららマジ』。2019年1月には2周年を迎え、今まさに3年目の道を歩んでいる本作。インサイドでは今まで、様々な記事を出してきました。まだ読んでいない人は、ぜひ。ちなみに、3月に行われたランキングイベントでは、1位を獲らせていただきました

そんなただの自慢みたいな話は置いといて、色々と記事を書く中で、(かなり無理を言って)メインシナリオライター・西村氏や、多くのBGMを手がけるいとうけいすけ氏といった『ららマジ』の中核を成すスタッフへインタビューを実施し、貴重なお話を伺ってきました。

で、シナリオ・音楽ときたら、次に気になるのは「キャラクター」ではないでしょうか。特に『ららマジ』は、「現実に生きているのではないか」と思えるほどにキャラがリアルで美しく、作品の魅力を語る上で、絶対に外せない要素となっているのでなおさらです。見た目も中身もめっちゃかわいいのですよ…。

そんな彼女たちの生みの親と言っても過言ではないのが、キャラクターデザインを担当した飯塚晴子氏です。氏のデザインされた、繊細で上品で、かわいいが詰まったキャラデザに、一撃で引き込まれた方も多いのではないでしょうか。

というわけで、今回はその飯塚氏と、A-1 Picturesの蟹江寛之氏の2名に、インタビューをする機会をいただきました。例によって長時間のインタビューとなっていますが、ゲームや「チューナーズノート」、グッズを片手にどうぞごゆるりとお楽しみください。



――本日はよろしくお願いいたします。改めて、になりますが、飯塚さんは『ららマジ』にどのような形で関わられているのでしょうか。

飯塚晴子氏(以下、飯塚氏):よろしくお願いします。『ららマジ』には、キャラクターデザインという形で関わっています。

蟹江寛之氏(以下、蟹江氏):2014年ごろですかね、「ソーシャルゲームのキャラデザ興味ありませんか?」とお話をさせていただいて。

飯塚氏:もうずいぶん前のことですね…。アニメ「リトルバスターズ!」の仕事が一段落しそうな頃で、終わったらアニメの仕事は少しお休みしようかなと思っていて。そこにちょうどよく『ららマジ』のお話をいただいたんです。当時はゲームのキャラデザをやったことがなかったので、「(興味)あるある!」という感じで返したのがきっかけでした。

――実際に『ららマジ』のキャラデザをやられて、いかがでしたか?

飯塚氏:色々と好きにやらせていただきましたし、スタンス的にもいつもと変わりなくできましたね。やりやすかったですし、そういう中で仕事をできるのは、ありがたかったです。

――30人の部員、百花先輩、ホニャ、カグラくん、褐色少女の計34人全てのデザインを担当されているんですよね。

飯塚氏:そうですね。なんか少なく感じるのは気のせいでしょうか(笑)。

蟹江氏:感覚が麻痺してませんか(笑)。今改めて見るとそう思うかもしれませんが、当時は大変でしたよ。


――相当悩みながらデザインされたのではないでしょうか。

飯塚氏:プレイアブルの30人を描くのはそんなに大変ではなかったです。そこからそれぞれに差をつけていくのは大変でしたね。髪型や目の形等がかぶらないように、フローチャートを作ってデザインしていきました。前髪のある・なし・パッツン、ツリ目・タレ目・眠そうな目等々の項目を振り分けていくんです。

――結果的には、たとえ白黒でもみんな見分けがつくデザインになってるかと思います。しかし、お話を聞いてるとすごい工数がかかってそうに思えます。

飯塚氏:これだけの数のオリジナルキャラをデザインすることってそうそうないので、楽しかったですよ。

――ご自身も以前吹奏楽をやっていたとのことですが、『ららマジ』に関わってみて、何か思うところはありましたか?

飯塚氏:楽器で殴っちゃいけませんよね。

蟹江氏:本当ですよね(笑)。

飯塚氏:まぁ、冗談ですけど(笑)。私自身は、中高で合計4年くらいしかやっていない上に、日々の練習に追われていてあまり細かいことは覚えていないのですが、意外と体力がいるんですよね。走ったり筋トレしたり、もう運動部ですよ。

――菜々美や梨花先輩も、よくトレーニングしてますよね。

飯塚氏:腹筋とか、今でもいっぱいできますよ。100回位はできます!

――すごい…!武器やコアドレスについては、確かA-1さんでデザインされてましたよね?

蟹江氏:そうですね。当初想定されていた開発スピードだと、飯塚さん一人でやっていただくには少し大変だったので、分業という形で進めました。

飯塚氏:贅沢な作り方ですね。武器もそうですし、ドレスにも楽器がモチーフとして使われているのは、最初見たときは感動しました。私はクラリネットだったので、凜のドレスを見て「ここクラリネットの金具だ!すごい!」と。コアドレスはどれもおもしろくてかわいいですよね。

蟹江氏:でも、仮にアニメでやれと言われると結構困っちゃうやつですね(笑)。

飯塚氏:本当に!特に結菜とかはグロッケンのあたりが凶悪ですね…。プレイしているときはおもしろいんですけど、これアニメでやるのは相当大変だと思います。


――ご自身がデザインしたキャラが、様々なドレスで登場しているわけですが、どう思っていますか?

飯塚氏:通常のドレス絵は基本的に(開発側に)おまかせしているのですが、かわいいのもあれば、セクシーなのもありますし、「こんなの着るの!?」と驚くようなものもあって、楽しいですね。

――気になったドレスとかはありますか?

飯塚氏:最近だと、2019年のバレンタインイベント「デイドリームインザチョコレート」のスチームパンク風ドレスとかかわいかったですね。私は引けませんでしたが。2年目くらいから髪型が変わるドレスが少しずつ出てきましたよね。

蟹江氏:最近は自由になりつつありますね。

――例えば、髪を下ろしたときの設定とかは用意されていたんですか?葉月先輩は水着やスチームパンクで髪を下ろしていますが。

飯塚氏:なかったんですよ。なので、「葉月ってこんなに髪長かったんだ!」と自分で驚いてしまったのがおもしろくて。沙希が先日の誕生日ドレスで髪を下ろしてたりとか、雪菜もカルタのときはお団子作ってたりして、かわいいですよね。


――デイドリームドレスでも真中華や幸は髪型が変わっていましたね。

飯塚氏:そうなんですよね。でもデイドリーム出ないんですよ…。悲しい…。でもこの前ようやく幸を引きました。

――最近は自由なドレスが増えてきました。コスプレ系など。

蟹江氏:1年目はユーザーの皆さんにキャラを認識してもらいたかったので、大きく変えることはなかったんです。2年目に入ってからは、皆さんの中にもしっかりキャラが根付いてきたので、髪型を変えたりコスプレっぽいドレスであっても、ちゃんと認識してもらえるようになってきました。それなら、もうちょっと自由にやってみようかなと。

――他部員の「写り込み」があるドレスも出てきましたね。器楽部勢の日常が垣間見えるのでああいうの好きです。

蟹江氏:運営側のアートディレクターさんの頑張りのおかげですね。1枚あたりの予算は決まっているので、なんとかやりくりしながら、複数のキャラが入ったイラストを制作していただいています。

――写り込んでいるのが推しキャラだったりすると、ゾッとしてしまいますが(笑)。

飯塚氏:(笑)。

蟹江氏:推しのドレスじゃないのに引きにいかないとならないのか、と(笑)。


――飯塚さんは、他に印象に残っているドレスはありますか?

飯塚氏:一番最初に引いた☆5のアンナ(王子様は年中無休)をずっと使ってます。本当にガチャ運が悪くて…。結局、1周年も2周年も引けませんでした…。

蟹江氏:最初期なので、飯塚さんの修正も入っているドレスですね。しかし、本当に飯塚さんはガチャ運が悪いですよね。

――(笑)。その1周年&2周年時の描き下ろしドレスについて、まずは、菜々美&紗彩の1周年記念ドレスから色々お話いただければと思います。

飯塚氏:一枚絵として描いてはいるんですけど、「半分にした時にも、イラストとして成立しないといけない」という描き方が初めてすぎて、最初は意味がわからなかったです(笑)。

蟹江氏:今回の企画ならではかもしれないですね。一枚絵としてみると、絶妙な距離感になっているんですよ。若干遠いような気もするけど、ちゃんと収まっているな、と。

飯塚氏:そうなんですよね。そこが結構難しくて、一番頭を悩ませた部分かもしれません。他に、こだわったところというと、覚醒前のドレスで2人が持っている衣装の描き込みですかね。


――改めて眺めてみると距離感は絶妙ですね。描き込まれた衣装も非常に綺麗です。

飯塚氏:普段着ない色をお互い選び合ってるんですよね。おもしろいですし、かわいいと思います。

――そして、今更気づいたのですが、覚醒前は2人ともブレザーを着ていないんですね。

蟹江氏:全然気づいてなかった(笑)。たしかにそうですね!だから緑のドレスを当てていても違和感がないんですね。

飯塚氏:試着するときに邪魔かなと思って脱がせました。ショップとかだと、試着のときに荷物を預けられることがあるので、カバンとかと一緒に渡してるんだと思います。


――一枚絵で見てみると、また印象が変わりますよ。菜々美と紗彩のペアというのは、すんなり決まったんですか?

蟹江氏:変わりますよね。なので、「チューナーズノート2」でも大きく載せたかったんですが、横向きのイラストかつ覚醒前後で2枚あるんですよね。レイアウトは悩みましたが、最終的には、1Pにまとめて掲載という形になりました。

ペアに関しては、1周年なので「この2人でしょ!」とすんなりでしたね。

――一枚絵の状態で見られるだけでも嬉しいです。自分はスクショを頑張ってつなげていたので…。覚醒後も、一枚絵で見ると本当にきれいですね。

飯塚氏:覚醒後ですと、菜々美が紗彩と比べてやや子供っぽい衣装になっているので、紗彩を少し大人びた衣装にしています。あとは、横向きでの並びになるので、2人のお胸事情を考慮したり(笑)。

最初は、「1周年から2周年に向けて進んでいくぞ!」みたいな意味を込めて、レッドカーペットを歩いていく2人の予定だったのですが、配置的に描くのが難しすぎて。最終的には、「レッドカーペットに向かって行く前の、舞台袖」のようなイメージにしています。


――本当、最高ですよね…。見た瞬間から「絶対に引かないと!」と強く思っていました。

飯塚氏:みなさんしっかり引いてましたよね。私は出ませんでしたが…。「引けたよ!」とご報告いただいて嬉しい限りだったのですが、同時に「心に秘めておいて!」と思っていました(笑)。

――引き方によりますが、ドレス一覧で入手順に並べても良い感じなんですよね。

蟹江氏:当時はそのスクショを撮影している方も多かったですね。紗彩から先に引かないと、背を向けてしまうのですが(笑)。


――それからまた1年経ち、2周年では悠花先輩と翼の描き下ろしドレスが出ました。結菜先輩とさくら先輩かなと思っていたので、この組み合わせはちょっと意外でした。

飯塚氏:私も、結菜かと思ってました。理由は気になりますね。

蟹江氏:運営側と相談した時に、菜々美・紗彩以外で、かわいい系のドレスにしようということになったんです。そこで名前が挙がったのが悠花・翼で、誰からも異論が出ずにそのまま決定という流れです。


――調律済みの部員がくるかも、とも思っていたのですが、あえて外したんですか?

蟹江氏:未調律部員のイラストにしたいという話は最初からありました。さくらに関しては、2周年の直前、2018年12月に実施されたイベント「Christmas Carol」で新ドレスが出るので、候補から外れていました。結菜も、おっしゃる通りさくら辺りと組ませたかったので、必然的に外れる形になりましたね。

飯塚氏:百花と結菜とかは流石にできませんからね。

蟹江氏:それに、版権イラストですでにペアのイラストがあるんですよね。飯塚さんに原画をお願い出来る機会には、出来るだけまだ描けていない組み合わせで行きたいという思いもありまして。


――3周年はさくら先輩と結菜先輩でお願いします。それにしても、悠花先輩と翼のペアはかわいさが振り切れてますね…。

蟹江氏:キャラ的にも、構図的にも、背中合わせ感・鏡写し感というのが良いなあと思いますね。ただ、2人の距離が若干近くて、分割するのは大変でした…。

飯塚氏:最初、覚醒後の手をつないでるところでスッパリ切られてて(笑)。流石にもうちょっと切れないようにしてほしいということで、少しずらしてもらっています。

――あと、コアドレス翼の「脇」が良いですね。

飯塚氏:そう(笑)!「脇」を描きたくて。マイブームなんです。

――覚醒後は2人ともコアドレスになりますが、ドレスやミニキャラとして出るのは初めてですよね。

蟹江氏:そうですね。もう2周年なので、出し惜しみはしなくてもいいのかなと。

飯塚氏:悠花のコアドレスは肩のところがどうなってるかわからなくって…。横から見たときの設定がないんですよ。

覚醒前も、美術さんの色合いがすごくかわいくて。女の子に白は正義ですよ!ちなみに、クマは私の趣味です(笑)。

蟹江氏:覚醒後も、吹雪いている感じで白い雪が舞っていますね。

飯塚氏:「WHITE BREATH(※1)」っぽい感じで!って言ったら蟹江さんが例に出してきた画像が激しすぎたので、控えめになってます(笑)。一応、背景に雪原が描いてあるんですよね。ただ、コアドレスが派手なので背景をゴチャゴチャさせたくなくて、実際のドレスでは白飛びさせています。

とはいえ、白一色でも寂しいので、冬の花として手前に「ツバキ」を、奥に「サザンカ」を描いています。

(※1編集注:T.M.Revolutionが1997年にリリースした楽曲。)


――背景の花はツバキだけかと思っていました。

飯塚氏:ツバキは花ごとボトッと落ちて、サザンカだと花びらが散るみたいなんです。今回は花びらを散らせたかったので、サザンカも奥に配置しています。

蟹江氏:写真みたいに綺麗な花のイラストが上がってきて驚きましたね。

――細かい…。他にこだわっている部分などはありますか?

飯塚氏:翼のコアドレスは、袖の部分にちゃんと花の模様をきれいに貼り込んだりしています。吹雪いた結果、ちょっと見づらくなっていますが(笑)。

あとは、先程もあった悠花コアドレスの肩の部分ですね。これ、ちゃんと合ってるのかな…。

蟹江氏:きっと合ってると思いますよ。ゲーム内で側面からのアングルって滅多に出ないので、コアドレスは横からの設定画がないんですよね。

飯塚氏:OPアニメとかも大変でしたよ。菜々美のコアドレスとかどうなってるのかわからなくて。

――それでは、「チューナーズノート」の表紙イラストについてもお聞きできればと思います。夏服も、飯塚さんのデザインでしたよね。

飯塚氏:そうです。ちゃんとデザインしたのは「チューナーズノート」がきっかけですが、ベースになったのは、一番最初のキャラデザイン案です。肌色が多いほうがいいかなと勝手に思って、夏服を想定していました。

ゲーム=肌色、っていうイメージがあるんですよね。「ゲームは胸を盛らなければならない」という話も耳にしたことがあって、そういう強迫観念に追われながら描いています(笑)。

蟹江氏:まぁ確かに、そういう話はあるかもしれませんね(笑)。


――「表紙は夏服」と決まっていたんですか?

飯塚氏:最初は、日常を切り取った感じの内容だったんですけど、普通の版権イラストみたいになってしまって。あまり表紙っぽさがなかったので、今のイラストを提案させていただきました。

――すごく良い表紙だと思います。

飯塚氏:思いの外良かったですね。彩色担当の方には「もう一声!」と、たくさんリテイクをだしてしまって、申し訳なく思いますが。

蟹江氏:完成まで時間はかかりましたが、良いですよね。背景まで飯塚さんが全部描かれています。

――智美は夏でもパーカーなんですね。

飯塚氏:脱がせたら別人感がすごくて。脱がせられませんでした。きっと、メッシュ素材の夏用パーカーとか着てるんですよ。きぐるみパジャマ好きな設定もあるので、モコッとしてる方が落ち着くんだと思います。

――乃愛先輩のパーカーは制服なのでしょうか?

飯塚氏:一応、私服のつもりで描いてます。校則は基本的に自由なので、かわいさ優先で(笑)。

――百花先輩は夏服でもやっぱり、他の部員とはちょっと違いますね。

蟹江氏:タイトスカートで、タイも変わっています。

飯塚氏:どうしても、普通の制服が似合わないんですよね、百花は。とはいえ、パンツスタイルにするわけにもいかなかったので、タイトスカートにしています。

――表紙に描かれる部員たちは、どのように選ばれたのでしょうか。

蟹江氏:「1」のときは、菜々美と紗彩と結菜をマストとして、(「1」の発売時点で)飯塚さんの版権イラストで、まだ描かれていない部員を中心に選んでいます。「1」の表紙を決める時に、「器楽部創立メンバーで」という話もあったのですが、流石に菜々美や紗彩が出ないのもどうかと思ったので、その案は「2」の表紙に少し取り入れられています。


――「1」はみんな楽器を持っていますが、「2」はタマ先輩と梨花先輩だけなんですね。

飯塚氏:「2」の方は人数が多く、担当楽器もみんな大きめなので、省いています。

蟹江氏:この調子で行くと、「3」が出るころには誰も楽器を持っていないかもしれませんね(笑)。

――それにしても、さくら先輩がかわいいです…。

飯塚氏:よかったです(笑)。

――ゲーム内外問わず、さくら先輩は当時そこまで露出が多くなかったイメージがありまして。「ちゃんといる!」と嬉しくなったのを覚えています。

蟹江氏:当時は、運営計画的にキャラの露出にあえて偏りを作っていました。2年目に入ったあたりから、出来る限り登場キャラのバランスを取るような形に変わっていったので、さくらもそうですし、雪菜や珠樹とかもイベント等で活躍するようになったと思います。

また、イベントの企画に関していえば、「意外とこの2人って、話が弾まないかも」という組み合わせを試してみたりもしています。2018年11月のイベント「マイ・ベスト・フレンド」もそのパターンです。


――菜々美と紗彩がイチャイチャしていたあのイベントがですか?

蟹江氏:もちろん、仲が悪そうという意味ではなくて。でも、あの2人って良きライバルであり親友でありつつも、亜里砂と紗彩のように趣味が一緒というわけではないんですよね。わりと音楽ありきな関係だと思うんです。例えるならば、職場の同僚みたいなものでしょうか。

――そう言われてみると、2人がプライベートな部分で仲良くしているのはあまり描かれてないように思えます。

蟹江氏:「遊び相手」ではないと思うんですよね、少なくとも。そんな2人を、「たまには2人で遊んできなよ」と野に放ってみたら、一体どういうデートをするんだろうというのが、あのイベントのきっかけになっています。結果的には、イチャイチャデートになりましたが(笑)。

飯塚氏:ちょっと、リアルな話していいですか?

――はい。

飯塚氏:部活って、それどころじゃないんですよ…!

蟹江氏:まぁ、帰る頃にはもう日が暮れてますしね。

飯塚氏:吹奏楽部って、力入れているところはテスト前以外、本当に休みがないんですよ!そして、毎日顔を突き合わせてるので、例え休んだとしても一緒に遊びにとかいかないんです!

蟹江氏:きっと菜々美と紗彩もそれに近い関係だと思うのですが、そうすると学校外での会話の内容が簡単には想像つかないなと。それで、試しに遊ばせてみたら可愛い話になってくれました。なので、最近はそういうイベントもよくやっています。

――凜先輩と陽菜先輩の「勉強は名城のなかで」や、陽菜先輩&春香お姉ちゃんの「ちょっとそこまで」などですね。

蟹江氏:陽菜と春香とか、学外じゃまず遊ぶこととかなさそうじゃないですか。そのあたりの部員が絡むと、まだ見たことのない器楽部というのが描けるんじゃないかと考えています。

――陽菜先輩、最近は便利なキャラになってませんか(笑)?

蟹江氏:陽菜と蒼は大体の問題を解決してくれるので、確かにすごく便利です。でも、頼ってばかりだとドレスの数も偏ってしまいますし、お話もマンネリ化してきてしまうので。アミも、ストーリーを動かしてくれるので頼りがちですが、同じ理由でバランスを取るようにしてもらっています。

飯塚氏:同じようなことをやっていてもおもしろくないですしね。

蟹江氏:そうですね。キャラや展開がまるで機械みたいに動くようになっちゃうと辛いので。

飯塚氏:ちょっと変わったこともしていかないとですね。

――期待しています。では、以前サントラのインタビューでも少し話に出た、ジャケットイラストについて、色々と伺えますか。

飯塚氏:発注の時点では百花 or 菜々美で、ラフを描いてみてからどっちが良いか決める形でしたね。そしたら、いとうさん(※2)が百花を推してくれて。

蟹江氏:絶対百花がいい」と、ラフをお送りしてすぐにメールが飛んできましたね(笑)。それならばと、百花に決めました。

飯塚氏:みんな菜々美になると思っていたので、決まってないけどもう進めちゃってください!くらいのノリでしたよね。

蟹江氏:色々と含みのある顔や、瞳に描かれたキャラも見てくださっていたようですね。

(※2編集注:ノイジークローク・いとうけいすけ氏。『ららマジ』では多数のBGMを手がける。好きなキャラは葉月先輩。)


――瞳の中は自分も相当拡大して見てました。

飯塚氏:瞳の部分、他の人に任せると意図通りに調整するのが難しいので、この百花のイラストは塗りまで私がやっています。唇もツヤッツヤにしましたよ。

――確かにツヤッツヤですね!イラストのバックグラウンドとしてはいかがでしょうか。

飯塚氏:汗をかき、髪も少し乱れているので、指揮の途中、あるいは終わる直前くらいでしょうか。いい演奏が聴けて「ニヤッ」としているようなイメージです。

――左目のあたりに、髪の毛が一本垂れているのが印象的です。

飯塚氏:普段髪の毛を乱すようなキャラじゃないので、おもしろい絵が描けたんじゃないかと思います。

それと、左目の瞳の中に“誰か”が映り込んでいるのですが、この誰かの瞳が、ちょうど百花の瞳孔っぽく見えるようにできたなと。

蟹江氏:自然だったので、最初は映り込みに気付かれないかなと思っていましたね。

飯塚氏:そしたら、普通にみなさん気付かれてましたね(笑)。本当によく見てるなと。ありがたいです。

――ちなみに、左目に映ってるのは誰なのでしょうか。

蟹江氏:誰なんでしょう?

飯塚氏:一応、もう出てはいるんですよね。12幕とかに、チラッと。

蟹江氏:そうですね。顔はちょっと隠れていますが。

――今後を楽しみにしています。では、選ばれなかった菜々美のイラストについてですが、これはどこかで使われていたりするんですか?

飯塚氏:2周年記念でアプリのアイコンが変わったじゃないですか、あの菜々美のイラストがそれです。

蟹江氏:ぜひ使わせていただきたいと思いまして。


――このアイコンが!すっごく綺麗な菜々美ですね。

蟹江氏:カラフルでビビッドなアイコンが多い中、シンプルに白とピンクで儚げな印象を醸し出しているので、かなり目立ちましたよね。

飯塚氏:確かに、白アイコンって珍しいですね。逆に目立ちます。

蟹江氏:スマホゲームのお作法にのっとって背景に凝ってみたり、「2周年!」みたいな派手な装飾を入れる話もありましたが、とにかく元絵が強いので、運営側が白バックに細めのフォントで行きましょうと言ってくれまして。ユーザーさんにもすごく良い反応をいただきましたね。「スタイリッシュアクションになったのか?」というお声もありました(笑)。

――この服の菜々美もドレスで出してほしいです。

飯塚氏:この服、下の方どんな感じになってるんですかね(笑)?

蟹江氏:きっとかわいいですよね!ヒラヒラしてそうです。このイラスト、元の解像度が高いのでアプリアイコン以外のなにかにも使ってみたいですね。

――期待させていただきます。では次に、2018年11月に行われたリアルイベント「東奏学園出張文化祭」の描き下ろしイラストについてお聞きしていきます。

飯塚氏:一番気合を入れたところは、百花のお尻です!どうにかして見せたかったです。

蟹江氏:お尻をちゃんと見せるために、原画の方ではちゃんとレイヤーを分けて展示していましたね(笑)。


――キュッと締まったお尻、良いです。百花先輩・ひかり先輩・凜先輩・菜々美・翼の5人ですが、どのように選ばれたのでしょうか。

飯塚氏:ここはベーシックに人気キャラが選ばれています。最初は、女の子たちが「ギュッ」としているようなというイメージでの発注だったのですが、それが自分の中で消化しきれなかったんですよね…。「部員同士でこんなにイチャイチャしないぞ」とリアルな方向で考えてしまい、大きな葛藤の末、これくらいの距離感に収まりました。

ちなみに、本当は亜里砂もいたはずなのですが、うっかり描き忘れてしまいました。

蟹江氏:そういえば、最初は亜里砂も入れる予定でしたね(笑)。原画が届くと、チェックそっちのけで「ウワー!」みたいになりがちで…。距離感に関しては、すごくいい塩梅に収まったのではないかなと思っています。

――みんなお揃いで緑のリボンを付けているのも良いですよね。Tシャツの色が分かれているのには、理由があったりするんですか?

飯塚氏:文化祭のときって、みんなでお揃いのものを身に付けたりしますよね。キャラが崩れない程度に各々つけています。

Tシャツについては、単純に3年生とそれ以外の学年で分かれています。3年生が最初に作っていて、追加で作ろうとした時に色がなくなってしまったのかもしれませんね。

蟹江氏:ホニャはきっと誰かの手作りなんでしょうね。特注で高くなってしまうので(笑)。

――Tシャツについて、各々番号が振られていて、背中に部員の名前が書いてありますよね。ファンの間では「入部順なのでは」と話されていましたが、実際のところどうなのでしょう。

蟹江氏:おっしゃるとおり、入部順です。背番号はクラスTシャツの定番として可愛いかなと。

順番をどうするかは悩みましたが、学年順や50音順はやりましたし、背の順はちょっと違うなというところで、入部順にしています。物語のちょっとした「裏側」を知りたがって下さる方が多いので、飯塚さんのイラストの背中をお借りして、小ネタを入れさせていただきました。

飯塚氏:良かったですよね。絶妙に見えないあたりがまた。

蟹江氏:見えないんですよね。ドミテリアになったら見えるかなと思ったら、今度はちいさすぎるという。


――やっぱり入部順なんですね。拡大して見たい…。このイラストには、西村さんが書き下ろしたショートストーリーが付いていました。イラストとストーリーはどちらが先にあったのでしょうか。

蟹江氏:イラストが先でしたね。会期が少し長めだったので、中にはリピーターもいらっしゃると思い、複数回来ても楽しんでいただけるように工夫したいと思っていました。展示内容を後半に変更したこともそうですが、会期途中にコンテンツを追加したいと思い、西村さんにイラストから発想したショートストーリーを書いていただくお願いをしたんです。実際にイベントでは、多くのお客さんに楽しんでいただけました。

飯塚氏:サイン会は、お客様が来てくれるかどうかドキドキでしたけどね。蓋を開けてみれば、たくさんの方が来てくれました。

――グッズ、良かったです。レイヤー分けされたドミテリアとか、目新しくて楽しいなと。

蟹江氏:メインのイベントスチルは、弊社で作成しているということもあり、セルアニメに近い作り方をしています。せっかくなのでその素材を活かしたグッズを作りたいと前々から思っていて、クリアファイルとかアニメのセル画っぽいものとか、色々と検討していたんですが、どれもうまくはまらなくて。そんな時にドミテリアの話をいただいて、これならセル画っぽいことができそうだぞ、と。

メーカーさんにも、一枚絵のレイヤー分けを残したままグッズ化する、という今回の表現をおもしろがっていただけたようです。本当に「出張文化祭」は、色々な方の多大なご協力の元、成り立っていましたね。

――普段隠れているところがドミテリアだと見えるので、「ここまでちゃんと描いていたのか」と、驚きました。

蟹江氏:見えないところまでちゃんと描いてあるのに、基本的に私たち制作側にしか見えない部分なんですよね。ずっともったいないなと思っていたので、そこを見せられるグッズが作れて、個人的にも嬉しかったです。

「出張文化祭」で販売されたドミテリア。レイヤー分けされて奥行き感が出ています

――今後も色々グッズは作っていただきたいです。すぐ買うので。では次に、雑誌等で使われた版権イラストについても少し伺えればと思います。

飯塚氏:初めて雑誌に載ったのが菜々美と紗彩のイラストで、雑誌のCMでも「飯塚晴子描き下ろし!」と言ってもらえたのを覚えています。その後も、色々とアニメ誌に載せてもらって、嬉しかったですね。アニメじゃないのに(笑)。

――描くキャラは指定されているんですか?

飯塚氏:基本的には、雑誌社さんから指定されて描いていますね。

蟹江氏:キービジュアルとかティザーイラストもそうですが、1年目はほとんど発注元からの指定の通りに描いていただいています。2年目からは少し私たちでアレンジを加えたりしていますが。

――版権イラストはグッズ化されていたりで印象に残っているものが多いですね。マーチングがそうですが、後にゲーム内でも出るような衣装が初めてお披露目されていたりもします。

飯塚氏:そうですね。マーチングだと結菜が珍しく上着を着ているんですよね。正装なので。グロッケンもマーチング仕様ですね。

マーチングで思い出したんですけど、さくらがイベントドレスでチューバを持ってたじゃないですか。あんな重たいの抱えて吹いてるのすごいなって(笑)。一応、マーチング用のチューバがあるんですけど、あの持ち方はしないので、力持ちだなと思って。ツッコんでしまいましたが、おもしろかったです。

蟹江氏:グッズといえば、周年のイラストとかもグッズにしたいですね。

――去年は夏・冬共に行きましたが、『ららマジ』の島は盛り上がってましたね。自分も朝イチで行って、端の方から買えるだけ買ったりしていました。コミケとかで、『ららマジ』の島を見に行ったりすることもあるんですか?

飯塚氏:コミケのジャンルコードに入ったのもあってか、同人誌の方は2018年の冬から増えましたよね。

蟹江氏:ありがとうございます!と思いながら、しれっと見に行ってますよ。『ららマジ』に限らずですけど、自分の関わっている作品のブースを見に行くのは、なんだかすごく恥ずかしいんですけどね(笑)。

――Twitterとかも、よく見られているんですか?

飯塚氏:2周年のときとかはたくさんイラストが出ていて、全部はできなかったのですが、片っ端から「いいね!」してましたね。「みんな、ありがとう!」という気持ちを込めて。

蟹江氏:2周年のときはすごかったですね。イラストを描ける人がこんなにたくさんいるのかと、驚きました。

――2周年は思った以上に盛り上がっていて、自分も気付いたら記事を書いたりしていました。では、キャラの設定画も見ていければと思います。早速ですが、気になるのでカグラくんから…。登場は最近ですが、デザイン自体は以前からあったんですか?

蟹江氏:2017年の3月くらいに設定画はできていましたね。

飯塚氏:上着ありの男子制服は彼が初めてです。「チューナーズノート1」には、最初に出したキャラ案として、男子キャラが載っていますが、彼は夏服だったので。あれ、誰なんでしょうね。きっと誰でもないんだと思いますが。

蟹江氏:最初期、まだ『ららマジ』が男女混合だった時代があって。映が男子だったりしていたのですが、その頃からカグラの原案はありましたよね。

飯塚氏:ありましたね。本当に最初の頃は男女混合で、「チューナーズノート」に載ってるキャラ以外にも色々描いていました。


――カグラくんの原案がその頃からあったのは驚きですが、映先輩が男子だったのも中々…。

蟹江氏:スカートを履かせた以外は、ほとんど変わってませんね(笑)。

――その頃のキャラも色々見てみたいですね。カグラくんの、デザインコンセプトになっているものはありますか?

飯塚氏:悪役っぽいけど、そこまで悪役に見えなくて、チャラそうな人という感じですかね。黒髪で金眼がいいなと思っていたんですけど、最初は赤髪や金髪の案もありましたね。あとは、萌え袖でかわいさアピールしています(笑)。

蟹江氏:瞳の処理も他のキャラとはちょっと変わっていますね。不思議な雰囲気が良く出ていると思います。

――改めて見ると、男子制服はズボンが派手ですね。デザイン的には女子のスカートと一緒ですが。

蟹江氏:確かにそうですね(笑)。

飯塚氏:悩んだのですが、同じ学校感を出すために、一緒にしました。シャツの襟部分とかは、縁の部分はお揃いにしつつ、マークのところを男子(ダイヤ)と女子(ハート)で分けています。


――プロフィールももちろん用意されてるんですよね。身長とか。

蟹江氏:身長は178cmくらいですね。結構大きめです。

飯塚氏:まだ百花の身長とかが決まっていない頃に、カグラの設定画に「百花はこのくらいの高さです」と書いていたんですが、意外と百花の身長が高かったんですよね。それに合わせて、カグラも高めになりました。


――もうひとり、最近出てきた「褐色少女」も飯塚さんがデザインされているということで。

飯塚氏:はい。あの娘は結構早い時期からできてましたね。褐色で上がってきたので、「良い!」と思ってました。

蟹江氏:ちょっと、この娘については現状何も言えませんね(笑)。


――ですよね(笑)。今後どこかで全身見られることを期待しています。今日はもう一枚、魔法少女服百花先輩の設定画も持ってきていただきました。

飯塚氏:なんか久しぶりに見た気がします。

蟹江氏:2017年とかに出来ているので、『ららマジ』の中では意外と最近ですね。

飯塚氏:そういえば、百花自体、全キャラ揃ってから「指揮者が必要」という話を受けて描いていました。

――確か、初出は2周年記念の「GraffArtデザインフェア」でしたよね。

蟹江氏:そうですね。最初のグッズデザイン案が来たとき、百花だけ制服だったんです。世に出せていないので当たり前なんですが、この子にも魔法少女服の設定がちゃんとあるのに、1人だけ制服というのもかわいそうだなと思って。2周年超えましたし、そろそろ出しても良いのかなと思いまして、魔法少女服にしました。

裾部分がヒラヒラしていて、動くと映えそうですよね。武器は、音符型のレイピアになっています。よく似たあの人は黒ベースですが、こちらは白ベースできれいですね。


――半ズボンなんですね。白タイツか何かかと思っていました。

飯塚氏:ひざ見えてるのやんちゃっぽいですよね。

蟹江氏:制服だと脚を出していないので、こちらでは少し見えるようにしています。

――「チューナーズノート」に載らなかったのには、なにか理由があるんですか?

蟹江氏:「チューナーズノート」の発売時点だと、ちょっと載せるには早すぎましたね…。百花に魔法少女服があるという事実自体、ストーリー的にもゲーム的にも様々な憶測を呼ぶところなので。そもそもプレイアブルでもないですしね。

そういえば、この百花を、グッズを見ながらオリジナルの頭身で描いてくださった方がいて、うれしかったです。(設定画と)かなり近くて、あのグッズからここまで描けるのはすごいなと思いました。

――百花についてもっと色々お聞きしたいのですが、書けないことが多そうですね(笑)。では、メインキャラたちも見ていきたいのですが、「チューナーズノート」では制服の着こなしなどに飯塚さんの趣味が多分に反映されているとありますね。

飯塚氏:デザイナーには変態と言われてしまいました。それにしても、みなさん本当に「チューナーズノート」を読み込んでいますよね。

蟹江氏:運営側も「チューナーズノート」を読みながら作っているくらいですからね。これはとてもいい本だと思います(笑)。

――全身絵で見てみると、自分は結構足元に目が行きますね。みんないろいろな靴だなと。

飯塚氏:アニメ的な悪いクセなんですけど、足元ってあまり見えないので、そこまで描き込んだり気を使ったりとかはないかもしれません(笑)。わりと気分で描いていることが多いです。

――そうなんですね(笑)。葉月のブーツとか、結構おしゃれだなと思っていました。

飯塚氏:でも、女子高生とか女子中学生で、制服にブーツとか履かないですよね(笑)。凜や茜に至ってはロングブーツですよ。履くのは楽なんですけどね。

蟹江氏:リアルに考えたら下駄箱に入りませんよね。

――スニーカーの部員も結構多いんですよね。

飯塚氏:乃愛や結菜、アミや智美がそうですが、私の中でハイカットスニーカーブームが起きてたんですよね、この頃。「欲しい~」と思いながら描いていた記憶があります。

――蒼先輩や茜は靴下やタイツが個性的ですよね。

飯塚氏:前々から制服+カラータイツっていうのをやりたかったんですけど、中々案が通らなくて。リベンジのつもりで描いています。

――蒼先輩といえば白衣キャラでもありますが、これは最初から思い浮かんだのでしょうか。

蟹江氏:いただいた一稿目ではもう着てましたよね。

飯塚氏:確か着てましたね。帽子キャラを一人いれたくて、大きめのキャスケットを被せたのですが、首から下が普通の制服だとバランスが悪くて。スカートよりも裾が拡がる白衣を着せようかなと。あと、昔手がけた作品で白衣の子がいて、おもしろいなと思ったのも理由の一つではありますね。

そうそう、キャスケットについてるスマイルマークのバッジですが、これって私が子供のときくらいに流行ったんですよね。その時の刷り込みがあって、缶バッジつけるならスマイルマークかなと。世代がバレちゃいますね(笑)。

――タートルネックに制服の麻衣先輩とかも目を引きます。

飯塚氏:ブラウスが似合わなかったんです。ネクタイとかボタンで胸元の情報量が増えると、不思議と「この娘は着けない」と思ってしまって。試しにタートルネックにしてみたら、すんなりと。ちなみに、セーターです。冬服なので。

――真中華や幸の目もすごく印象的です。小動物っぽくて。

飯塚氏:そこの2人は完全にうさぎですね。

――余談ですが、今日(※3)は真中華の誕生日です。おめでとうございます。そして、全然関係ないですが、私の誕生日でもあります。

蟹江氏:おめでとうございます(笑)。

飯塚氏:キャラと同じ誕生日って嬉しいですよね!

蟹江氏:飯塚さんもホニャと一緒(3月23日)ですよね。これは本当に偶然ですけど。

飯塚氏:「なんでホニャ!?」って感じですけどね(笑)。昔、スタッフの誕生日からとったらどうかっていう話をした記憶があるんで、それが反映されているのかと思ってました。

蟹江氏:もしかしたら、頭の片隅とかにその話が残っていたのかもしれませんね。

(※3編集注:インタビューは3月18日に実施)


――では、ちょっとだけ趣味の話をしてもいいでしょうか。

飯塚氏:さくらの話ですか?

蟹江氏:毎回やってますね(笑)。

――ドレコレ1位獲ったので、記念ということで…。

飯塚氏:えっ!?すごい…。ドレコレって最初の走り込みが大切ですよね。

――30時間位走っていたようです。

蟹江氏:(笑)。

飯塚氏:逆に聞きたいんですけど、なぜ、そこまでさくらが好きなんですか?

――最初は、唯一のメガネっ娘だったから、ですね。メガネっ娘好きなので。

飯塚氏:仮に、メガネっ娘が2人いたらどうなってましたか?

――そこは、キャラによりますね。でも、メガネっ娘がワン・ツーになるとは思います。もしくは、両方推しになるかもしれません。

飯塚氏:やっぱり、メガネっ娘一人にしてよかったですね。

蟹江氏:迷っちゃいますから。茜が危なかったんですよね。

飯塚氏:本当に!メガネっ娘になりかけて、かけさせたんですけど似合わなかったんですよね…。良かったです、一人になって。

――茜に限らず器楽部員のメガネ姿はみんな見てみたいです。それで、さくら先輩のどこが好きかという話なのですが、(中略)という感じです。

飯塚氏:完全にツボじゃないですか(笑)。養ってくれそうですよね、さくらは。

――そうなんですよ。生活力高いと思います。料理も上手ですし。

飯塚氏:養ってもらいたい器楽部メンバーNo.1」ですね。

――あとは、「百花先輩の代わり」には絶対になれないところや、損な役回りが多いところも好きですね。名前もきれいですし、長めの髪の毛も好きです。

飯塚氏:髪の毛、最初は長くはなかったんですよね。翼と被るということで、後から足しました。下ろしたら髪の長いきれいなお姉さんになりそうですね。

――髪が短いさくら先輩も見てみたいですね。メガネを赤縁アンダーリムにしたのには、理由があったりしますか?

飯塚氏:二次元のキャラって、目が大きいのでフレームとかぶっちゃうんですよね。あんまりよろしくないので、アンダーリムを選びがちです。色に関しては彩色担当の方が決めてくれたのですが、赤縁ってかわいいですよね。

さくらは、ブルーベースな娘なので、ピンクとかの派手な服が似合わないんですよ。そうなると、本人もメガネや小物で色を入れることを選ぶんじゃないかなと思いますね。


――確かに、私服は落ち着いている印象です。その反面、結構脚は出しているイメージです。あとは、胸が小ぶりなのか大きめなのかも気になりますね。

飯塚氏:脚は、女子高生と考えればあれくらいは出してもおかしくないかなと。胸については、基本的に制服の上着を着ていない娘は大きめ、とは言ってますね。何人か例外の娘もいますが。さくらに関して言えば、普通くらいですかね。

――着こなし的にはザ・真面目という感じですね。

蟹江氏:紺のソックスにローファーで足元もカッチリしてますね。

飯塚氏:メガネキャラにしたので優等生っぽくしましたが、胸元をリボンにして、少しだけ遊びを入れています。

――本当にかわいいですね、さくら先輩は。ありがとうございました。趣味のパートはこれくらいにしておいて、次は「LINEスタンプ」について聞いていければと。

飯塚氏:全て描き下ろしかつ、全キャラ分考えないといけなかったので、結構大変でしたね。誰をどれにするか、全部書き出して打ち合わせで決めて…。最初、大きめサイズで描いてほしいと言われたんですけど、流石に辛かったので少し小さくしてもらいました。

蟹江氏:スタンプの適切なサイズ感が正直わからなくて…。

飯塚氏:スタンプにした時に、どのくらいの線の太さならきれいに見えるかとかもですね。吹き出しになっているところ以外の文字は、私の手書き文字なんですけど、これも高解像度で書かないといけなかったので、苦行でした(笑)。

ちなみに、どのスタンプを一番使いますか?

――さくら先輩の「ナルホドー」はよく使いますが、基本的にどれも使いやすいですよね。

飯塚氏:「ナルホドー」は使いやすいですね。雑な感じで(笑)。使いやすさは意識して作っています。

蟹江氏:スタンプだけで大体の会話が済むようにはなっているかと思います。

飯塚氏:塁の「ONAKASUITA」は、私の趣味ですけどね。


――キャラとセリフの組み合わせを決める時に、意識したこととかはありますか?

飯塚氏:菜々美に関しては、ポジティブなワードにしようという意識はありました。

蟹江氏:キャラ性から大きく離れないようにという考えはありましたね。

飯塚氏:でも、出た当時は「(キャラ)が壊れてる」とか言われてませんでした?いい意味で、ですけど。

――雪菜先輩とかはちょっと壊れているかもしれませんね(笑)。「出張文化祭」でのグッズ化も嬉しかったです。

蟹江氏:ご好評いただいたようで、よかったです。そういえば、グッズでは背景がついてるんですけど、スタンプの方は背景なしなので、どんなトーク画面背景でもなるべく目立つように調整しています。上手くいったかは、わからないのですが…。


――第2弾とか、南さくらコレクションとかもほしいところです。では、時間も迫っているので、締めの方に進みたいと思います。『ららマジ』に限らずですが、キャラデザをするにあたって、最も大事にしていることはありますか?

飯塚氏:品の良さ、ですかね。肌色よりは服を着ていたほうが好きなので、下品にならないように気をつけています。

逆に、下品なキャラを描くのは未だに苦手で。仕事を始めた当時からずっと言われているのですが、克服できていません。

――『ららマジ』のキャラたちも、みんな品がありますね。水着とかもありますが、健康的な感じで。

飯塚氏:何気に『ららマジ』も、最初の頃はやたらと胸の影が濃く描かれていることがあって、いわゆる「乳袋」に見えることがよくあったので、そういうのはNG出していたりします。

それにしても、胸大きめな春香にあのヒラヒラした水着を着させるんだってびっくりしましたけどね。あのヒラヒラは小さい娘の特権じゃないですか。その時は「『ららマジ』さん、逆にかっこいいっす!」みたいな気持ちでした(笑)。


蟹江氏:衣装は基本的にWFSさんへおまかせしていますが、水着に関しては喧々囂々としてましたね(笑)。本当に色々あって、あの形になっています。

肌を隠したがる娘もいるとは思うんですけどね。とはいえ、みんながみんなパレオ着けてるわけではないですし、やりすぎるとお母さんみたいになってしまうので(笑)。

飯塚氏:まぁでも、最近の子はあまりパレオとか着けないんじゃないですかね。

蟹江氏:調べてみると、そんな感じみたいですね。春香や葉月みたいに、上下でデザインの違う水着とかも多いみたいです。

そもそも品の良さが魅力的なキャラデザインなので、イラストもそれを生かすように作るのが一番いいと考えています。変にいやらしくしようとしても、今度は違和感が出てきちゃうというか。なので、肌を出すのであれば下手に隠さず、そのキャラに単純に似合いそうなデザインの衣装を着せて、ストーリー的にも違和感のないものになっていれば、自然と爽やかで可愛いイラストになるのではないかなと思っていました。

飯塚氏:自分の絵でセクシーにならないことはわかっていたので、(ゲーム的に)大丈夫かなと思ってキャラデザの時点で胸を盛ったつもりなんですけどね(笑)。

蟹江氏:個人的には、「最近の子は発育が良いなあ」くらいに収まったと思っています。イラストレーターさんにも、商業的な意味もあるので、もう少し盛ってもいいですよと伝えてもらったりもしているのですが、なんだかんだいってリアルなサイズで出てくるんですよね。

飯塚氏:まぁ、露骨なエロより、「うっかり見えてしまった」くらいのほうが良いじゃないですか。そういう方が、私は好きです。

――わかります。さくら先輩とか、そういう感じがするので好きです。

蟹江氏:彼女は、カッチリしているようで意外とスキがあったりしますからね。


――思ったよりも水着の話が盛り上がってしまいましたが、そろそろ本当に締めたいと思います。それでは最後に、チューナーたちへ一言、いただけますでしょうか。

飯塚氏:『ららマジ』が世に出て、私達の間でしか知られていなかったようなことが、みなさまの手に渡ったことで「キャラが生きたな」という実感をすごく得ています。本当に、好きになってくれてありがとうございます。月並みな言葉にはなってしまいますが、これからも、『ららマジ』を好きでいてくれますと嬉しいです。

蟹江氏:みなさまからの感想であったり、ファンアートとかを見ていますと、飯塚さんの「品の良さ」がきちんと受け取られ、更にそこからヒロインたちの新しい魅力を見つけてくださっていると実感することがよくあります。私自身は、自分たちが「魅力的」だと感じるものを世に出すという仕事をしていますので、こういう体験が出来ることがとても幸せなことだと思っています。飯塚さんの言葉と似てしまいますが、これからも末永く、『ららマジ』を応援していただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします。

――長時間のインタビュー、ありがとうございました!これからもよろしくお願いいたします。



前回、前々回と同じく、かなりのロングインタビューとなりましたが、ここまでお読みいただき、ありがとうございます。今回は、「資料性」という意味でも少し興味深い記事になっていると思うので、お楽しみいただけたのであれば幸いです。

夏にはついに、メインストーリー第14幕が配信されるようなので、首をながーくして待ちたいと思います。


…ちなみに、全くの余談なのですが、777日記念のキャンペーンで、「7にちなんだ部員」を編成に入れて挑戦する「777日メモリアルチケットクエスト」というクエストがありました。

このときに、菜々美や沙希先輩、凜先輩といったわかりやすい部員に混じって、アミちゃん先輩が出ていたのですが、彼女だけ何が7にちなんでいるのか、はっきりしなかったんですよね。

で、ちょうどいい機会なので、蟹江氏に伺ってみたところ、「ゲーム内のメンバー一覧で見た時に7番目だから」とのこと。もしかしたら、筆者と同じくモヤモヤしていた方がいるかもしれませんので、念の為報告させていただきます。

すえなが

ソウルシリーズ大好き すえなが

1990年3月、神奈川県生まれ。パズル誌の編集を経て、イードへ。「Game*Spark」「インサイド」の編集業務に携わり、同社のアニメ情報サイト「アニメ!アニメ!」も経験。幼少期よりゲームに触れ、現在はCS機・スマホを中心にプレイ中。好きなジャンルはアクションやFPS・TPSなど。『デモンズソウル』を始めとしたフロム・ソフトウェアの「ソウルシリーズ」や、2020年にサービスを終了した『ららマジ』に特に思い入れがある他、毎年の『Call of Duty』に一喜一憂したり、『アクアノートの休日』『FOREVER BLUE』の新作を待ち望んでいたりする。

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