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【インタビュー】『バイオハザード7』の恐怖を支えた新技術が凄い ― 写真から3Dモデルを生成、各キャラには実在モデルが居た

 

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◆「そのまま出る」は利点であり欠点である



――特にどういったことに苦労されたんでしょうか。

津田:良くも悪くも“そのまま”出てしまうんです。でもそのままでは出せない。たとえば、衣装などは権利の問題もあるので、リファレンスから加工する必要があります。加工しすぎるとスキャンする旨味がなくなるので、そのあたりのさじ加減は苦労しました。スキャン後のデータは大きく弄れないので、準備の部分でクオリティが決定してしまうんです。だから準備に使う時間とその後に使う時間の配分は大きく変わりましたね。

あ、さも自分がやっていた様に言っていますが、自分は傍から見ていて大変そうだなと(笑)。社内に“衣装担当“なんていないんで、全部自分たちで集めていました。


スキャンした衣装

スキャンスタジオ担当:本当はこの質感の布がいいけど、スキャンには向かないから別の素材で……となったら、また探しなおしなんですよね(笑)。

キャラ担当:以前のやり方だったら「ここがちょっと違うね」となっても、PC上での修正で簡単に解決したんですけどね……。あと、衣装の汚れなんかも気を使う必要がありまして、最初は実物を汚したり破いたりしていたんですが、後から「求めていたクオリティや方向性と違う」となった場合は修復しないといけないので、「これはスキャンした後にPCで加工したほうが良い」となりました。

津田:そういう“何をどのタイミングでやるか”というのは非常に重要でしたね。

スキャンスタジオ担当:あと、これらの現象はモーションキャプチャーが出てきた時に起こった「動きはリアルだけど、格闘ゲームとしては迫力がないな」みたいな事象に似ているんですが、ついに3Dモデルでも同じような事が起こってしまったか……と(笑)。

――とはいえ非常に魅力的な技術であったと。

スキャンスタジオ担当:全体のクオリティが格段に上がるんです。リアルな話ですが、1人の優秀なアーティストに1つの3Dモデルを最初から最後まで掛かりっきりで作ってもらうと、非常にクオリティの高い3Dモデルは出来上がりますが、個人のマンパワーに頼ってしまい、時間もよりかかってしまうなど、品質に対する代償も大きかったのです。

ところが、フォトグラメトリーを用いれば、誰でも一通りのオペレーションを習得出来さえすれば、一定以上のクオリティになるので、全体的な底上げになるだけではなく、時間をより有効に使うことができるんです。例えば衣装のシワですね。実は自然なシワを作るのって高い技術が必要なんですが、フォトグラメトリーがあればスキャンしたシワがそのまま反映されます。


ゲーム内モデル

――そういえばミアが履いてるジーンズはいいシワでしたね。


津田:左右が非対称なところがいいんですよね。

キャラ担当:あれは役者の方にポーズを取ってもらって、そこから綺麗なシワを手作業で作っていったんです。「足が痺れてきたんですけど……」「あ、あと5分だけお願いします!」って(笑)。袖のシワも一つひとつ摘んで綺麗な流れになるようにしたり、捲くった状態など複数のパターンで作ってみたり……。

津田:やっぱり心配になるんですよね(笑)。後から変更できないんで。
《栗本 浩大》
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