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【俺の電子遊戯】第14回 俺に俺が問う、ビデオゲーム禅問答

ゲームセンターでは相変わらず格ゲーが幅を利かせ、あとはクイズゲームとパズルゲーム、80年代そのロゴを見るだけで私の体温が上昇した、ナムコのタイトルも

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    73年生まれ。インベーダーが日本中を侵略した頃、小学生だった筆者の目に映ったビデオゲームは間違いなく「未来へのパスポート」だった。その魅力に取り憑かれ、気づけば不惑の40代となったオッサンが、ビデオゲームと共に過ごした30年を語る連載。前回の記事はこちら

格ゲーに異議を唱えるプヲタ

ゲームセンターが『ストリートファイターII』シリーズとSNKの対戦格闘シリーズ『餓狼伝説』『龍虎の拳』『ワールドヒーローズ』『サムライスピリッツ』などで盛り上がる中、格ゲーブームの流れに乗れない私は、福岡ドームにいた。新日本プロレス、初の福岡ドーム大会を観戦するため、東京から昨年の1992年に営業運転を開始された新幹線300系の新車両に乗り込みやってきたのだ。新日本プロレスのタイガーマスク直撃世代だった私は、そのままプロレス冬の時代も応援し続け、雑誌週刊プロレスに感化される形で活字プロレスに傾倒していた。

当時プロレスの他にもマンガ、グラップラー刃牙のモデルとなった平直行氏が所属してたシュートボクシングやK-1の前身となった正道会館の格闘技オリンピック、極真、大道塾などフルコンタクトの空手、喧嘩芸骨法など格闘技の興行もよく観戦に行っていた。そんな私にとって、『ストII』の中の戦いは身体と技術でぶつかる格闘技ではなくマンガの世界だよな。と上から目線で見ることで、格ゲーになじめない自分を正当化するのであった。

プロレス最強を信じて『ファイプロ』


そんなプヲタな私の心に響いた当時の作品と言えばPCエンジンで発売された『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』だった。シリーズ初のエディットレスラー作成機能が搭載され、団体の垣根を越えて闘う夢のカードだけではなく、自分がプロレスラーになるならこんなレスラーになりたい! という夢の選手やデフォルトで登場しなかったレスラーなどを制作してプロレスごっこを楽しんでいた。

スーパーファミコン全盛期の1993年に私の部屋ではPCエンジンが主役に返り咲き、CD-ROMが搭載されたPCエンジンDuoを購入し、コナミのサイバーパンク・アドベンチャー『スナッチャー』やなぜかリメイクされて登場したナムコの『ドルアーガの塔』などをプレイしていた。中でも『スナッチャー』は映画「ブレイドランナー」に影響された世界観でCD-ROMという媒体を有効に使った声優陣のボイスと、映画を見ているようなストーリーへの没頭感にプレイヤーとしての謎解き、スナッチャーとのバトルアクションなどゲームとしての体験も織り込まれた良作だった。

テーブル筐体が無くなるなら買えばいいじゃない


ゲームセンターでは相変わらず格ゲーが幅を利かせ、あとはクイズゲームとパズルゲーム、80年代そのロゴを見るだけで私の体温が上昇した、ナムコのタイトルもレースゲームのファイナルラップ通信対戦台が存在感を示しているだけで、格ゲーの流れに乗れず苦しんでいるようにかつての王者に対して勝手にシンパシーを感じていた。そんな時、アーケードゲーム専門の雑誌ゲーメストに掲載されていた、アーケードゲーム基板を個人に販売してくれる基板屋の存在を知る。私の好きだった80年代のゲームだと安いものだと1万円以内でも購入できると知り、広告で見た代田橋駅近くにあった基板屋を訪れた。

パチンコ、綱取物語やウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ユキノビジン、ライスシャワー、メジロマックイーンなど中央競馬で応援していた馬たちのおかげで臨時収入に膨らんでいた財布を片手に、18インチのテーブル筐体をオーダーした。コントロールパネルの仕様を聞かれて迷わずに「1レバー3ボタン、対面でお願いします」と告げると基板屋の店主は「2レバー12ボタンでなくていいの? 『ストII』できないよ?」と苦笑いで私に問いかけたが、『ストII』はやらないのでと申し出を断り、基板は家庭用には移植されていなかった『スーパークイックス』を購入し、代金を支払い基板屋をあとにした。

四畳半の木造アパートに運び込まれたテーブル筐体で、ひとり『スーパークイックス』プレイして悦に浸る。相変わらず人気の出ないバンド活動とコンビニバイトの日常だったが、好きなゲームをプレイしている時間は嫌なことも全て忘れられる特別な時間だった。

ゲームセンターからは姿を消していくテーブル筐体を眺めながらビデオゲームはどこに向かっているのだろうか? と考えを巡らす1993年の私。家庭用ではファミコン時代に発売されたソフトをスーパーファミコン用にリメイクする『スーパーマリオコレクション』や『ドラゴンクエストI・II』などがリリースされ、ファミコン発売から10年経つビデオゲーム業界の歴史を感じずにはいられない時期となっていた。

生ポリゴンのカクカク具合に感じる未来


当時、ビデオゲームの作品で気になるひとつの流れがあった。それはボリゴンによるゲームでの表現描写だった。古くはATARIの『ハードドライビン』やナムコの『ウイニングラン』、セガの『バーチャレーシング』などでそのモッサリとした中にある、登場する物体の慣性、動きの本物らしさが非常に気になっていた。1993年2月にスーパーファミコンで発売された『スターフォックス』はポリゴンでの3Dシューティングでその可能性を見せてくれたタイトルだった。テクスチャの貼られない生ポリゴンの無骨さに『スペースインベーダー』や『ギャラクシアン』を見た当時の未来感を私は感じていたのであった。

そして1993年末、ポリゴンのキャラクターが闘うゲームがゲームセンターに登場する。それは、後に大ブームを起こすセガの『バーチャファイター』だった。


記事提供元: Game*Spark
《Game*Spark》

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