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決め手に欠ける? VRから『Ingress』まで2014年のゲーム業界を代表する商品は?・・・黒川塾(二十四)

ゲームビジネス その他

決め手に欠ける? VRから『Ingress』まで2014年のゲーム業界を代表する商品は?・・・黒川塾(二十四)
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24回目となる「黒川塾(二十四)」が開催されました。今回のテーマは「2014年 エンタテインメントの未来を考える大賞」。ゲーム業界の識者を招き2014年度を振り返り、登壇者が大賞を選定するという内容。2012年度は『パズル&ドラゴンズ』、2013年度は『プレイステーション4』と『ソリティ馬』が受賞しています。

ゲストは「電撃プレイステーション」の編集長の西岡美道氏、CNETJapan編集記者の佐藤和也氏、「週刊ファミ通」の編集長の林克彦氏の3名。雑誌メディアの業界大手2誌が対面する貴重な機会となりました。まずはそれぞれ先日開催されたゲーム開発者のイベントGDCの感想を述べつつ、自己紹介を行いました。

最新号の「電撃プレイステーション」を手に登壇した西岡氏。GDCではソニーの最新HMD、Project Morpheusが一番、印象に残ったそうです。Oculus Riftとともに盛り上がっているVRの世界は目が離せないとのこと。

IT系ニュースサイトCNETJapanで編集記者をつとめる佐藤氏はゲームに限らずキャラクターコンテンツに幅広い関心があります。そんな佐藤氏でもGDCで気になっているのはProject MorpheusやVRです。実際にVRはゲームだけではなくキャラクターコンテンツとの相性も良いため、今後の普及が期待されます。

同じく最新号の「週刊ファミ通」を手に登壇した林氏はGDCでの日本人の講演が減っていることを残念だと述べました。少ない講演者の中でも『ファイナルファンタジー』シリーズで著名な坂口博信氏が生涯功労賞を受賞したり、スパイク・チュンソフトの小高和剛氏が『ダンガンロンパ』について講演したり、活躍しています。今後はより積極的に日本のクリエイターの海外発進に期待したいそうです。

■低迷するコンシューマー・・・2014年日本のゲーム業界概観

引き続きGDCの感想から日本のゲーム業界の概況が話題になりました。GDCでは『メタルギア ソリッドV ファントムペイン』や『Bloodborne』といったグローバルに注目されているタイトルは少なからずあります。しかしながら、全体として日本のゲームの厚みは薄いようです。それよりも海外では開発スタジオやクリエイターへの注目が大きいと、林氏や西岡氏は説明します。また佐藤氏は日本の大手メーカーはスマートフォンにシフトした結果、コンシューマゲームでの存在感が薄くなっているのではと指摘しました。

またPS4の売上も世界で比較すると日本は低調です。先日、世界での実売台数が2000万台を突破したことが報じられましたが、国内では100万台という数字。林氏も西岡氏も「売れてくれなければ困る」という本音を漏らしています。とはいえ、この2月と3月はPS4タイトルのリリースラッシュとなっており、『ドラゴンクエストヒーローズ』といった有力なタイトルが発売されています。これらのソフトがどれくらいPS4を牽引するか、西岡氏は注目しているそうです。

次に黒川氏はコンシューマ機とスマートフォンというプラットフォームの動向について訪ねました。西岡氏は確かにコンシューマ向けゲームを開発してきた会社はスマートフォンゲームに力を入れており、市場規模もすでに凌駕していると指摘。しかしながら林氏によれば、メーカーによってスマートフォンへの力の入れ方は異なり、既にスマートフォン市場が飽和したと考えているメーカーも存在するそうです。というのも、『パズドラ』や『モンスト』といった強力なゲームが市場を独占して、新規のタイトルが入りこむ隙間がないからです。そうなるとコンシューマの方が手堅いビジネスとみなされ、コンシューマに力を入れるメーカーにも可能性はあるといいます。

また前世代機のPS3が健在であるため、JRPGなどを好む日本のコンシューマ機のコアユーザーがPS4に移行していないことも林氏は指摘。今後は『ファイナルファンタジーXV』や『ペルソナ5』といった有力な国産RPGが発売されるため、PS4が受け入れられる可能性は十分にあると説明しました。



■Oculus RiftからMorpheusー・・・VRの浸透のきざし

次に話題は盛り上がりつつあるVRに移りました。GDCでは2016年の発売に向けてProject Morpheusの試作機が発表されました。これによりゲームの世界がどのように広がるか議論されました。

西岡氏は現在、VRに興味を持っている人たちはVRそのものが好きな人たちであると指摘。そのため、VRはゲーム以外のコンテンツの重要性が大きいと述べています。そのような中でバンダイナムコの原田勝弘氏が昨年『サマーレッスン』を発表したことは大きく、これによってようやくゲーム開発者がVRに興味を持つようになったといいます。

林氏もVRは個人的にアニメや映画といったコンテンツへの応用に興味があるといいます。もちろん、VRのゲームを遊んでみたいが、メジャーなものになるかはまだわからないとのこと。とはいえ、昨年『サイコブレイク』をリリースした三上真司氏と話をしたとき、VRの「画面の枠がない」という特性はホラーゲームのようなコンテンツにはふさわしいだろうと林氏は述べています。

佐藤氏は率直に「やっぱりかわいい女の子が歌って踊るのは良い」という点を指摘。VRでもアイドルやキャラクターというコンテンツは良いフックになるのではと予想しています。とはいえ、VRの体験は実際に経験してみなければわからないため、ユーザーに訴求するのが難しいといいます。昨年のイベントでVRの話題を出したところ、一般のユーザーの認識は「VR=サマーレッスン」といった反応であったそうです。

■ついに発表2014年の大賞

いよいよ本題の「2014年 エンタテインメントの未来を考える大賞」の選定に移ります。

まずは黒川氏がファミ通のデータから2014年のゲームソフトの売上ランキングを読み上げました。トップには『妖怪ウォッチ』、『ポケットモンスター』、『モンスターハンター』と超人気シリーズ作が上がっており、新規のタイトルが参入する隙がありません。林氏も新規タイトルが出ててないわけではないが、なかなか売れないといいます。西岡氏はその中でもPS Vitaでリリースされた『フリーダムウォーズ』は健闘していると指摘しています。

西岡氏は昨年、鳴り物入りの大作としてリリースされたFPS形式のMMORPG『Destiny』をピックアップ。派手な宣伝に見合うだけのヒットを記録して、国内でもPS3とPS4で20万本というセールスを記録。海外の新規FPSとしては十分なヒット作です。

佐藤氏はGoogleのスマートフォンゲーム『Ingress』をピックアップ。実際に地図を利用する『Ingress』は今までのゲームとは異なるものながらも、世界的にブレイクしています。日本でもファンが増えており、ゲーム以外の一般メディアでも話題になっています。

林氏は客観的に選べば『妖怪ウォッチ』になるが、個人的には『P.T.』を推したいとのこと。『P.T.』は昨年、発表された無料のダウンロードゲームであり、開発や内容もふせられたホラーゲーム。その真相はコナミの小島プロダクションが開発した『SILENT HILLS』のティザーゲームというものでした。まったくプロモーションを行いませんでしたが、世界中で話題になりました。

黒川氏はPS4のローンチタイトルとしてリリースされた『KNACK』をピックアップ。PS4というプラットフォームの中で家族向き、万人向きのゲームを開発しようとしたマーク・サーニー氏に対するリスペクトの意味が大きいそうです。

スマートフォンゲームの中では相変わらずの『パズドラ』人気とそれに肉薄しつつある『モンスターストライク』があげられました。『パズドラ』はスマートフォンだけに限らず、3DS版のリリース、他のタイトルとのコラボレーションなどアグレッシブな展開を見せています。『モンスターストライク』はローカル協力プレイという『パズドラ』とは別のアプローチからスマートフォンゲームを開拓。

また西岡氏と林氏は坂口博信氏などベテランクリエイターが手がけた『テラバトル』もピックアップ。西岡氏は尊敬していたクリエイターがスマートフォンでもヒットを飛ばしているのが心強いと語り、林氏はダウンロードに応じたクリエイターの参加というプロモーションも面白かったと振り返っています。

一方、佐藤氏は先日行われたアミューズメントゲームの展示会JAEPOの盛り上がりを指摘しました。JAEPOでは『ポッ拳』、『艦これアーケード』といったキャッチーな新作が並びました。アーケードゲームはこのところ低調ですが、VRやアイドル人気といった現象と同様にリアルな空間を共有することが見直されくるのではないかと分析します。

また西岡氏はスマートフォンからアーケードに展開したゲームを指摘。『LINE:ディズニー ツムツム』や『Wizrogue』といったタイトルがアーケード化されています。特に『Wizrogue』はアーケードとの連動機能があり、スマートフォンで遊びつつ、アーケードでもゲームを進めることができます。

会場からも様々な候補があがられました。しかしながら、これぞ大賞と誰もが納得できるものを選定するには時間がかかりました。そこでハードには共にVRという技術を牽引するOculus RiftとProject Morpheusが、ソフトには『P.T.』と『Ingress』が選ばれました。決め手に欠けるという状況自体は2014年のゲーム業界を反映しており、すべての人に認知される作品やコンテンツが見えづらくなっているようです。
《今井晋》

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