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【Indie Japan Rising】傑作フリーゲーム『魔王物語物語』『ムラサキ』のカタテマが語るゲームデザインと物語

国内のインディーゲーム開発者にインタビューを行う本企画。今回は『魔王物語物語』や『いりす症候群!』といったフリーゲームで知られるカタテマのてつ氏にお話をうかがった。

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◆試行錯誤と共同制作の果てに――『ムラサキ』制作秘話


昨年発表された最新作『ムラサキ』。

――その後は2008年の『いりす症候群!』から2014年の『ムラサキ』まで結構なブランクがありますね。

てつ:
一応、2011年に『愛と勇気とかしわもち』のiPhone版を出しています。

――iPhone版はご自身でつくったのですか?

てつ:
そうですね。単なる移植なので、技術的な関心で作ったという側面はあります。iPhoneでアプリ作ってみたい。Objective-Cを書いてみたいという。

――このブランクは本業が忙しいといった理由ですか?

てつ:
いや、単純に『ムラサキ』を作るのに時間がかかったのです。チームを組んで本格的に制作が始まったのは2013年の5月ですが、その前の研究期間がかなり長かった。シューティングにパズル要素を組合あわせたらどうかと、試行錯誤を繰り返していました。最終形はシンプルですが、最初は複雑で面白くないゲームになってしまっていて、そこからの試行錯誤が長かったです。

――制作開始はいつなんですか?


『ムラサキ』のシステムの元となる『いりす症候群!』。

てつ:
昔の日記を確認したら、シューティング風のゲームは2008年から研究していました。その頃はまだ普通に弾を撃って敵を倒す感じです。その後、2011年の『愛と勇気とかしわもち』iPhone版のリリースの後、ずっと1人で開発を続けてきました。最初は物理エンジンの要素はなく、誘爆させるシューティングをつくろうと思いました。しかし、そういうゲームは既にたくさんあったので、『いりす症候群!』の物理エンジンの要素を加えたんです。ところがそれでは思ったようなゲームにならないんです。画面上に意識する要素が多すぎて、何に集中したら良いかわからない。そこから要素をかなり削って、ようやく脳への負荷が許容範囲に収まり普通に遊べるゲームができた。それが今の形です。

――最初からはっきりとしたコンセプトがあったというよりも試行錯誤で生まれていった感じですね。

てつ:
紆余曲折ばかりです。これは絶対守るというゲームの柱はいくつかありました。このゲームの場合、まず本能的に破壊する快感を満たしたい。さらにパズル要素や体力ゲージにこだわりたい。そういった柱を満たすために試行錯誤を繰り返しました。

――ちなみに音楽はかなり独特ですが、どのようにディレクションしましたか?

てつ:
あんまりシューティングらしい曲を作っても面白くないので、方向性を示しつつも、基本自由にやってもらいました。作曲をはじめてもらったのは、システムが固まってある程度遊べる段階になってからなので、プレイ動画や設定資料等も渡しています。ものがない状態でお願いするのは難しいので。

――しかしながら予想以上に和風の世界観とマッチしていて驚きますね。

てつ:
方針だけ示して自由に作ってもらっても、意外とうまくいきます。変に僕のイメージ通りに作ってもらうことにこだわるよりも、良い物になると思っています。シューティングは初めてだったのでいろいろ不安なところはありました。あと音楽に合わせてステージ作ったところは多いです。ステージ作った後、音楽をつけて、その後に音楽に合わせて修正していく感じです。『斑鳩』や『ダライアス』はやはり音楽とステージが同期してかっこいい。そういったところに憧れていました。

――『ムラサキ』の5面にも音楽と同期した演出がありますね。あれはどうやって作っていったのですか?



てつ:
まず何人ボスキャラがいるかを決める必要がありました。設定上の都合もあり、僕としては4人にしたかったので、4種類を前提とした楽器編成をどのようにするかを、音楽担当のwatsonさんに相談する必要があった。そもそも4つの楽器で楽曲が成り立つのかどうかもわからない。そしてまず楽器の見栄えの問題があります。たとえばピアノを使うとなると、ピアノのキャラが後からピアノを持って登場するわけにいかない(笑)。なのでピアノがいるんだったら、音楽的にもピアノから始まる必要がある。そういったさまざまな制約を踏まえつつ、音楽のwatsonさんと話し合いながら決めていきました。そしてピアノと弦楽器を含めた4つでいけそうだと。それから絵師の蓬餅さんと相談して、4つの楽器を持ったキャラクターを描いてもらった。それをもとにステージや演出を作っていく。かなり大変でした。曲も構成も楽器に大きく制約されます。特に打楽器が使えないのが大変だったそうです。

――なるほど。しかしあの音楽と演出は本当に素晴らしいですね。

てつ:
これは昔からやりたかったことなんです。『迷宮組曲』で楽器を取っていくと音が増えていく演出があります。ああいった演出を自分なりに表現したかった。制作タイミング的にシューティングゲームに合わせることになったんですが、すごく大変でしたね。当たり判定のないようなゲーム、たとえばRPGで作ったほうが楽だったと思います。この演出の作業で3人とも死んでました(笑)。全体の労力の何割かが5面のボスにかかっています。それぐらい大変で最後の最後まで本当にうまくいくかわからなかった。

――シューティングのレベルデザインはどうやってやるべきかは、前回のインタビューでも話題になりました。結論はひとりで全部やるのが良い(笑)。

てつ:
井内ひろし方式」ですね。『斑鳩』はやはりすごい。ステージ構成のリズムもすごく気持ちいいし、敵を早回しにしても音楽とタイミングがあうようになっている。こういった方向性は、待つ行為が重要な『ムラサキ』のシステムと相性が悪いこともあり、さすがに真似するのは無理だなとは思いました。そもそも自機に当たり判定があるゲーム自体初めてだったので、製作前も製作中も不安だらけだった。ただ新しいものに挑戦して成長できたと思います。

――シューティングゲーム好きから見ても良くできています。

てつ:
シューティングが苦手の方に向けて作ったのですが、そういう方にも楽しんでもらえて良かったです。



――意図的に簡単にした部分はよくわかります。通しプレイを前提にしていない、ヘルス制、しかも回復するとか。でも根本的な部分でシューティングゲームの良さを守っています。ひとつには一発のショットで形成が変わるという部分。これはある種のシューティングの醍醐味です。

てつ:
画面上に一発しか弾が出せないのは最初から決まっていたことです。

――インベーダー以来の伝統ですよね。シューティングゲームというと、どうしても避けるというイメージを持たれがちです。そこで狙い撃つというところにフォーカスを当てたのは見事だと思います。あとは2面の初見殺しの部分。あれが初心者でも許せるのはすぐに再プレイできるからですね。

てつ:
あれはアーケードでやったら怒られます(笑)。あれはRPGでよくある負け確定バトルみたいなのを入れてみたいというのが動機のひとつ。あとはステージに変化が欲しかった。

――ただ通しプレイの実績をとるためにプレイするとき、忘れているんですよね。2面の最初の初見殺しを。

てつ:
(笑)

――あれが3面あたりだとブチ切れますね。あとはボムの挙動も面白い。すぐに発動しないため押しタイプのボム。結果としてすべて決めボムにしなきゃいけない。これは意識されましたか?

てつ:
ボムの仕組みをため押しにしたのはいくつか理由があります。まず能動的に使ってもらいたかった。ため押しにすると反射的にボムが使えないので、能動的に使う必要があります。防御的に使おうと思っても少しくらってしまう。

――反射的に使えないことが、かえって初心者に優しいですよね。あらかじめ決めボムで使うのが前提になる。

てつ:
そうですね。シューティング作っている人にとっては、ある程度、決めボムを使ってほしいと考えますから。

――シューティングには決めボムというテクニックがあるわけですが、なかなか初心者の人にはわかってもらえない。でも『ムラサキ』は決めボムのように使うしかない。

てつ:
それは気づかなかったですね。能動的に使ってもらうために考えたシステムですが、副次的にそういう効果もありますね。
《Game*Spark》
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