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ゲーム開発は大変だけど楽しい!アークシステムワークス『GUILTY GEAR』開発チームが学生に語る

アークシステムワークスとヒューマンアカデミーは、『GUILTY GEAR』シリーズ開発者によるスペシャルセミナーを開催。ゲーム業界への就職・転職を目指す人に向け、同社の2D対戦格闘ゲーム『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』の企画立ち上げからアーケード版までが紹介されました。

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■格闘システムの開発は「追加ではなく拡張」というコンセプト

絵作りには先が見えたものの、一番大事な格闘ゲームの仕様が固まっていませんでした。この辺りで統括バトルディレクターの関根氏、プランナーの片野氏がチームに加入。格闘ゲームの骨組みを制作することになります。今作におけるコンセプトは「追加ではなく拡張」。複雑化を続けてきたシリーズの格闘システムを、原点に立ち戻りつつも自由度を犠牲にしないように、システムを増やさず元々あるもの中から新しい遊びを提供する方向で検討を重ねます。その結果、新規ユーザーもにも魅力を理解しつつも入りやすくさせるため、従来持っていたテンポを一度リセットしより遊びやすい方法について模索していきます。



ここからは関根氏、片野氏にバトンタッチされました。同氏らは、1つ行動に色んな意味を含められるかを追求していきます。具体的には、『GULTY GEAR』シリーズの特徴である「ロマンキャンセル」というシステム──これは攻撃を相手に当てた瞬間にボタンを押すと瞬時に次のアクションが可能になるというものです。従来のプレイ感覚を損ねないようにどこまで自由度を増やせるか考えた結果、「ロマンキャンセル」に自分だけが早く動けて相手が遅くなるというスローモーションシステムを導入することになりした。参考になったのは映画などのスローモーション演出です。ただ、本シリーズは格闘ゲームの中でもスピードが速く、「ロマンキャンセル」がそこに拍車をかけたシステムだったので、演出面と新しさに加え必殺技を出しやすくする工夫などボタンを押した時のレスポンスの良さを工夫することで打開を図っていきます。

様々な工夫を経て、いよいよ「ARC SYSTEM WORKS FESTIVAL」でデビュートレイラーが公開されました。



■ロケーションテストと家庭用ゲーム機への移植

ロケーションテストとは、開発中のバージョンを特定のゲームセンターでプレイヤーに遊んでもらうイベントです。今作の稼働前のロケーションテストでは、セガ秋葉原1号店を1フロア貸しきって行うなど大規模に全3回開催されました。そして2014年2月20日、『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』のアーケード版が全国一斉稼働。2014年12月4日には、家庭用ゲーム機向けのPS4/PS3版も発売になりました。

以上のように『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』は、構想からアーケード版のリリースまで約3年、家庭用ゲーム版までは約4年という年月を費やしたプロジェクトとなりました。

■質疑応答

最後に参加者から質疑応答も行われました。



―――『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』では、過去シリーズに比べてキャラクターのセリフやストーリーが理解しやすくなったと感じたのですが、これは意識されたのですか?

石渡:各キャラクターの勝利メッセージは、キャラクターの個性を全面に出すために公用語じゃないものを使うことが多いですが、ストーリーモードはできるだけストレスのない見せ方にするために、分かりにくい言い回しや固有名詞を避けたり、話のテンポが悪くならないようなセリフの選び方をしました。

山中:石渡とシナリオをどうするか相談した際、「ゲームのシナリオを書くのではなく、アニメの脚本を書く意識でやってくれ」と言われました。アニメでは多くを語らず、ストーリーの行間を読ませるというのを意識して作られているので、本作においてもそうした演出をしていきたいと。当時の話で印象に残っているのが、映画「風の谷のナウシカ」のユパが登場するシーンで、兵士が上官に「あの男がユパです」と言う場面があるのですが、その一言だけで視聴者にユパの凄みや強さを理解させる──そういう脚本を作ってくれと言われました。

石渡:映像が3Dになり細かな演技が可能になったというのも理解のしやすさに繋がったと思います。

―――『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』のキャラクターやステージは、原点回帰という観点から作られていたのでしょうか?

石渡:原点回帰というより、ギルティギアらしさを残りつつ新しくアレンジしようとすることが多かったです。ソルの服装ひとつとっても、従来のイメージを損なわないままやりたい。と同時に、従来から遊んでくださったみなさんが、少しにやりとしてもらえるような演出も随所に入れました。

―――ゲームのBGMはどうやって生まれるのでしょうか?

山中:まず、ゲームの進行によってどんな曲が必要か予算と兼ね合いを見ながら決定します。

石渡:各キャラクターのテーマなら、それぞれが置かれているドラマの中での人生背景を音に落とし込みつつ、すでに自分が作っている曲との差別化を図りながらギターを片手にパソコンの前で作っています。その後、MIDIで音源を制作し、アレンジャーが譜面に起こして不具合を直し、演奏者がスタジオで演奏して最終調整をして完成します。

―――家庭用ゲーム版の開発で苦労した点、注力した点を教えてください

石渡:新しく追加になった大きな要素は、ネットワークで対戦できる環境を作ることや、ストーリーモードなどの新モードを追加することです。アーケード版の完成見込みがでないと本格的に着手できず、特にストーリーモードは初めての試みが多かったので実際に出来上がったものを見てみないと手応えがつかめずに苦労しました。また、『GULTY GEAR Xrd -SIGN-』は格闘ゲームを触ったことがない人やシリーズを触ったことがない人向けにチュートリアルモードやミッションモードを設計し、実装するのはシリーズ初だったので力も入れたし時間もかかりました。

山中:家庭用版は全スタッフ参加しての企画スタートは2014年の1月末からで、10月ぐらいにはマスターアップしました。

―――ゲーム業界で働いていて良かったこと、辛かったことについて教えてください。

石渡:好きで入った道なので、好きなことをずっとやっていられるのは幸せですね。ゲームやアニメは日本の文化として誇れるコンテンツだと思っています。加えて、遊びに関してはボーダレスで表現できるメッセージ性に富んでいる優れたコンテンツあり、純粋に楽しませるために制作に携われるというは誇らしいことだと思っています。

山中:好きなことを、モチベーションの高いスタッフと一緒に作成して、こういった機会などを通じてユーザーの方からの感想もいただけて、やっぱり最高ですよね。

―――学生時代にやっておくべきことは?

山中:とにかくなんでもやりましょう──この一言につきます。ゲーム作りたいなら企画書を書いてネットで調べれば作れる。制作物は1つの実績であり熱意であり、それはしっかり伝わると思うのでまずは自分の物を作って欲しい。作ることで楽しさと辛さが分かると思います。

石渡:僕の具体的な例で言えば、「どうやって音楽を作れるようになったんですか?」という質問を受けるのですが、音楽が作れるようになったのではなく音楽を作っただけで、音楽作れるようになったから始めたのではありません。じゃあどうやって作れるようになったのかと言うと、結果が積み重なっただけだと思っています。そうして試行錯誤を繰り返しながら作っていった結果、作らせてもらえる土壌が生まれました。やればできるようになってくるし、どんどん良くなっていくので、とにかく気になったことを片っ端からやっていくのが重要かなと思います。

関根:僕は日常的になんでもゲームを取り込むというのをやっていました。面白かった映画、おいしかったご飯をどうやってゲームに取り込むかみたいな感じで考えます。ネタ探しをしていると、色々なことに気がつくので、アンテナを広げていくと結果的に面白そうなことに繋がるのでオススメです。

片野:ゲームに限らないことですが、自分の周りにゲームに関わっている仕事をしている人を探しまくって、なるべく多くの人から意見を聞くと良いかなと思います。

―――それでは、最後に石渡ゼネラルディレクターから一言お願いします。

石渡:短い時間でしたが、私も楽しみながらお話できました。ゲームを作るのは大変なのですが、それ以上の楽しさがあるので続けられています。本日はどうもありがとうございました。

《まいたこ》
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