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ガンホー、ミクシィ、クルーズらが語るクラウドの活用~「AWS Summit Tokyo 2014」レポート

7月17、18日と通して行われた「AWS summit 2014」。セッションに参加したゲームに関わる企業を通じて、クラウドサービスの「現場」をやわらかくレポートします。

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16:20からは、岩田容賢氏(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社開発本部 担当部長)と菊池貴則氏(ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社システム・CS本部:部長代理)ニ方によるセッション。「数百台規模のオンプレ環境をすでに持っていたのになぜAWSを採用したのか、また利用拡大していくとともにコストをどのように管理していったのか?」を中心に、独自の切り口とコミカルな展開で場内を沸かせました。




同社の設立は1998年。2002年に現在の社名に商号変更後から数えて12年めで、スマホ向けのタイトルをAWSで運用しています。主たるゲームは言わずと知れた『パズルアンドドラゴンズ』通称パズドラ。当セッションでは、「利用しているサービスの概要」「スマホタイトルを開発運用するまでの事」と「サービスインした後の話」、そして「コスト管理とまとめ」を進めていきます。

最初から「弊社タイトルでAWSをどのように運用しているか参考にしたいとお集まりの方々には先にお詫びします」とスライドに表示させると、続くのは「実際ごくごく普通の事しかしてません!!!」との事。うん、筆者も在職中にこのような形でプレゼン資料をこしらえた事があります。もちろんその後、上司にこってりと叱られました。「ここ学校じゃねえぞ」って。企業性でしょうか、羨ましいです。


その次に表示されたスライドには、「AWSは、当たり前の事を、当たり前に最適化して運営すれば国内最大のユーザー数も受け止められるサービスである、という事だけ、Amazonの営業の方に代わってご紹介しようと思います」と、これまたフランクな展開。

実のところ、開発運用に関する実際のプログラムやアプリ開発の運営中のノウハウというのは社内にあるが、インフラ運用はAmazonに頼っている、というのが実状なのだそう。楽に言えば、『パズドラ』のような3000万人近いユーザーを抱えるゲームも受け入れて、安定したサービスを提供する事が可能なサービスがAWSだ、と言う事です。

また、現在利用している普通のサービスの他に、最近気になっているサービス「AWS Cloud Trail」のβ版が始まっていて、エンジニア自身の作業履歴やコンプライアンス準拠に対応できるのではないかとの期待から、社内で利用していく予定があるそうです。

ここで気になるのは、『ラグナロクオンライン』の経験を持ち、最大1000台のサーバーを運用してオンプレ環境の整っていた同社が、なぜAWSを使い始めたのか? というところ。これは『パズドラ』の4ヶ月前に『ケリ姫クエスト』という通信環境を必要としないゲームをリリースした際、短期間で10万、200万とDL数が増えていった事が切掛けになりました。もしこんな状況が、オンラインタイトルで起きたら……とてもじゃないが同じサービスの運用は難しいと考え、ユーザー数の増加により、切り替えたというのが実状のようです。

同社がAWSに切り替えた際のポイントとして、大きな理由が三つあります。一つめは、「インフラ部隊との連携が不要」だという事。「成否も分からないプロジェクトで極々少数体制で開発していたので、プロジェクトとしても開発期間はできるだけ短くしたかった」と菊池氏。従来のオンプレだと、サーバー構築をインフラ部隊に投げた後、早くて一日普通であれば二、三日かかる。しかしAWSを利用しておけば、開発が自分達のタイミングで好きなだけ構築できるので、開発期間を短くして効率的に開発するためにAWSを選んだそう。

もう一つは、サービス終了時のリスクヘッジ。ソーシャルゲームが群雄割拠している時代に、自分達の「面白い」がユーザーに受け入れられるかどうかが分からず不安だったため。AWSにしておけば資産として残らないし、経理的に消却しなくてもいい。費用で落とせる上に固定資産税がかからないというところで、簡単に管理ができるところ。

最後の一つは拡張性。すでに終了した同社のゲームで、サービスイン直後にユーザーが殺到、急いでメーカーと調整してサーバーを一週間で40台調達したという「事件」がありました。対処はできましたが、それでもユーザー獲得の機会損失や、殺到による予期しない不具合が発生したそうです。AWSを使用していればすぐに対応できた事であるため、リスク軽減のためにも重要なポイントだと言えます。

結論として、AWSがスマートフォンゲームにおけるサードプラットフォームとしては最適ではないか? という事でAWS採用の流れとなりました。
菊池氏からは、サーバーAPI設計について気をつけた事として、無駄に暗号化しない、SSL通信しない、無駄な通信をしない(高速回線のない時代だったため、必用最低限の通信で遊んでもらう)、データの保持場所は気をつけて設計した、などが示されました。

お気に入りのサービス「AWS Enterprise Support」についても言及し、その理由として挙げられたのが「24h365d15分応対」「テクニカルアカウントマネージャーがつく」「定期コストレビュー」の3つ。エブリデイエブリタイム稼働のサービスではこれらが非常に役に立つので、「皆さん是非AWS Enterprise Supportの契約をしましょう!」という文言のスライドが会場に映しだされました。





また、EC2リザーブドインスタンスを契約している同社は、その利点についても言及。リザーブドインスタンスとは、簡単に言うと「ちょっと高めのお金を払っていくつかのメリットを受けつつも、最終的には4割減のコストになるよ」というもの。不要になれば販売もできますし、あるタイトルで使わなくなったら他のタイトルで使えばいいため、ガンホーではこのリザーブドインスタンス契約を勧めていました。ちなみに、同社のパターンだと契約6ヶ月以降になると元が取れてしまうそうです。他方、「c3.xlargeは二つに分割して適用する事ができる! だが逆はできない」と小ネタも披露した両氏は、最後にAWSに望むいくつかの事柄と、「感動と楽しい経験を提供する」同社の理念実現のため、AWSと共にやって行きたいと締めくくりました。





◆ゲームプラットフォーマーのクラウド活用法


《平工 泰久》

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