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【e-Sportsの裏側】ゲームメーカーならではの価値を見出し、提供していくーKONAMI キーマンインタビュー

第14回目となる今回は「ウイニングイレブン」や「実況パワフルプロ野球」(以下:パワプロ)で有名な大手ゲームメーカー株式会社コナミデジタルエンタテインメント(以下:KONAMI) esportsメディア推進室 室長 猿楽 一成氏にインタビューを敢行。

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e-Sportsに携わる「人」にフォーカスを当てて、これからの日本のe-Sportsシーンを担うキーパーソンをインタビュー形式で紹介していく【e-Sportsの裏側】。

前回の連載では、国内最大級のゲームイベント「RAGE(レイジ)」や動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」を手がける株式会社Cyber Zの大友氏に、今後のRAGEについての戦略、日本国内のe-Sportの広がりについて、話を聞きました。

■e-Sportsとは?
e-Sports(Eスポーツ)とはElectronic sportsの略で、コンピュータゲームやビデオゲームで行われる競技のことです。高額な賞金のかけられた世界的な規模で行われるプロフェッショナルな大会から、アマチュアまで競技が行われており、ジャンルやゲーム毎にプロチームやプロリーグが多数あります。現在e-Sportsの対象となっているゲームを遊ぶ人の数は、全世界で5500万人を超えています。
(ゲーム大辞典参照:http://game-lexicon.jp/word/e-Sports

第14回目となる今回は「ウイニングイレブン」や「実況パワフルプロ野球」(以下:パワプロ)で有名な大手ゲームメーカー株式会社コナミデジタルエンタテインメント(以下:KONAMI) esportsメディア推進室 室長 猿楽 一成氏にインタビューを敢行。同社が描くe-Sportsの在り方について詳しいお話を伺いました。

◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆


――まずは猿楽さんのご経歴、自己紹介をお願いします

1995年にKONAMIに入社しました。初代『ウイニングイレブン』がリリースされた時期ですね。最初はゲーム開発のプログラマーとして10年間携わり、RPGを中心にゲーム開発に携わっていました。10年経ったあたりで弊社とIIJ(株式会社インターネットイニシアティブ)で資本を出し合って、インターネットレボリューションという会社を立ち上げることになり、ゲーム制作からウェブメディアの立ち上げメンバーとして参加し、プロジェクトマネージャーやウェブディレクターの仕事をしていました。2008年からKONAMIで新規サービスの立ち上げ、自社メディアの運営、会社の基幹システムや共通システムの開発に携わり、モバイルゲームのプロデュースなども担当しました。

昨年までは主に自社メディア関連の業務に携わっていましたが、e-Sportsにより力を入れていくため、新しい組織を立ち上げることになりました。

――具体的にはどのような業務を行っているのでしょう

弊社タイトルの中でe-Sportsに親和性が高いコンテンツであるサッカーゲームの「ウイニングイレブン」シリーズやカードゲームの「遊☆戯☆王」シリーズ、野球ゲームの「実況パワフルプロ野球」シリーズなどについて、どのようにe-Sports展開をしていくかという面でのサポートや、実際にイベントや配信を行う際の技術的なサポート、e-Sportsイベントや配信で使用するシステムの開発を行っています。つまり、実施方針からノウハウサポートシステム開発の3点を中心に行っているイメージです。

――猿楽さんはe-Sportsはどのようなものだと捉えていますか?

「e-Sportsって何なの?」というような話を社内スタッフからもよく聞かれますが、e-Sportsというもの自体はゲームを競技として捉えるというシンプルなものだと思っています。

ただ、サッカーのように多くの視聴者・ファンを抱えて大規模にやっている競技もあれば、アマチュアを中心に小規模な競技もあります。我々はe-Sportsを通じて、それぞれのコンテンツファンをより拡大していきたいと考えているので、サッカーのように多くの視聴者やファンに楽しんでいただけるような競技にしたいと思っていますし、そのようなe-Sportsを提供したいと思っています。

e-Sportsに取り組む際に我々も考えたのですが、e-Sportsの発展の可能性を感じる部分が、競技を行うプレイヤーだけでなく視聴者にもゲームを楽しんでいただけることでした。元々KONAMIはプレイヤーに向けてゲームというサービスを作っていますが、e-Sportsを念頭に入れると、ゲームを視聴するお客様まで含めて提供するサービスを考えていく必要があります。そうしたことからも、e-Sportsは今までよりも遥かに多くのお客様に対してゲームの面白さを届けることができる、ゲームを視聴コンテンツに変えてくれる取り組みと言うことができるかと思っています。


――本連載も「PCゲーム」、「コンシューマゲーム」、「モバイルゲーム」それぞれのプレイヤーから見ると異なったもののように感じる部分もあると思うので、そこを上手くまとめて伝えたい意図もあって連載をしています。

2016年から「パワプロ」でファンイベントも兼ねたe-Sportsイベントを実施していまして、同じイベント内でコンシューマゲームとモバイルゲームを同時に楽しんでいただくということを意識しました。野球という共通枠組みがあるからだとは思いますが、野球のルールがある程度分かればゲームの観戦を楽しむことができますので、普段どのデバイスで「パワプロ」を遊んでいただいている方でも、一緒になってイベントを楽しんでいただけたと考えています。

e-Sportsといっても、楽しみ方がいっぱいあるのだなと感じています。現状、提供しているモバイルゲームは競技性が少ないこともあり、プレイを「共有」するようなある意味でゆるいe-Sportsの楽しみ方を提供していますし、日本人に合ったe-Sportsの楽しみ方、家庭用ゲームに限らず、モバイルゲームにもあった楽しみ方がどういうものかも、引き続き模索しています。


――国内にフィットしたようなe-Sportsの取り組みをしていきたいということでしょうか?

KONAMIには色々なコンテンツがありますので、それぞれのタイトルに合ったe-Sportsを提供することでより良い結果を得られると思っています。1つの型にはめていく形では考えていません。

――他社タイトルのe-Sportsイベントに行かれたことはありますか?

他社タイトルの日本大会の決勝戦を見に行ったことがあり、私自身はそのタイトルのルールがギリギリわかる程度でしたが、ファンの方はものすごく盛り上がっていて、勝った選手はものすごく喜んでいて、負けた選手は放心していて…それをファンが祝福したり、励ましたりしているのを見た時、e-Sportsはこうやって楽しむものなんだなと面白さが伝わってきました。

また、キャスターがプレイヤーと観客を上手く繋いでいる部分に非常に感心しました。スーパープレイが出た時にキャスターの感情や実感が反映された実況が飛び出して、観客が一斉に盛り上がるというシーンがありました。それはキャスターがゲームや観客、プレイヤーを深く理解しているからこそできる盛り上げ方なのだなと感じました。

――ゲームをプレイしない人からすると何をしているかわからない、ということもあるかと。敵もどれかがわかりにくいですし。カードゲームも「間」が多くて大変だと思います

「ウイニングイレブン」のe-Sports大会でも、試合はもちろん盛り上がりますが、セッティング中にフォーメーションを変更している時にも盛り上がることがあります。何故そういう戦術にしたのか、という解説をすると観客も理解して納得するという面もあります。月並みですが、ゲームにあまり詳しくない方にもわかりやすい解説をしたり、試合前に選手の紹介動画等をきっちり作成して、選手の魅力や特徴を分かりやすくしておくことで、観客が応援しやすくなるように心がけています。4月22日~4月23日に「ウイニングイレブン」の日本代表決定戦と、アジア地域決勝を実施したのですが、この大会では、選手16人分の紹介動画を作成しました。翌日の決勝にギリギリ間に合うスケジュールだったため、決勝に進めなかった8人分は当日放送できませんでした。

――8人分は世の中に出ていないんですか?

はい、出ていません。複数の試合が同時に進行中で、配信は1試合しかできないのですが、全ての試合は録画していましたので、例えば今後はプレイヤー人気投票をして、上位3位のプレイヤーは全試合紹介動画付きで公開するのもアリかもしれませんね。質の高い試合動画は1つの資産だと思っています。

――e-Sportsメディア推進室は何人ぐらいいるのでしょうか?

専任ではまだ数名です。他の部署からも兼任で参加しているメンバーもいますし、様々な部署に協力してもらっています。

――世界で勝てる日本の選手がどの種目に関しても少ないように感じます。カリスマ性も含めどのようにしていった方が良いと思いますか?

個人戦とチーム戦で難しさが違うのかなとは思っています。チーム戦の場合、同じ場にいて一緒に練習できる環境がないと上手くなれません。そうなると日本でどれだけ同じ場所で濃密な練習ができる場があるのかと考えると、国内では、プロゲーマーの層がまだ薄く、そういった環境がなかなかないというのも原因だと思っています。

我々がe-Sportsに取り組む際には、そのゲームジャンルが人気あるのかどうか、プレイの面白さを知っているユーザーはどのぐらいいるのかというところも重要視しています。日本では何が人気かと考えると、スポーツゲームはもちろんそうですし、モバイルゲームであればたくさんのユーザーがプレイしているため、より多くのチャンスがあるのかなと考えています。


MOBAとFPSの日本のユーザー数は海外に比べて少ないですし、モバイルゲームのランキングを見ていると、競技性の高いゲームはあまり人気がないように思えます。日本人自体が、コンペティティブな要素を含んだものはあまり好んでいないのかもと思っていますし、育成や共闘の方が広く受け入れられていると感じます。「ウイニングイレブン」についてもチーム作りや選手集めと言った要素を楽しんでいるお客さまが多いですが、海外では競技性の高い遊び方をされている方も多いようです。コミュニティごとにチームがあり、そのチームが威信をかけて試合を行っているという風に、国ごとにゲームの楽しみ方に違いがあると感じています。日本においては、競技性ではない部分にも突破口があるかもしれないと考えています。例えばモバイルゲームの試合は競技性という点でコンシューマタイトルに比べて視聴コンテンツとしての魅力が少ないと思いますが、モバイルゲームのイベントの動員数は非常に多く、お客様が競技性よりもプレイの共有・共感という点で楽しんでいただいていると感じています。

――モバイルゲームの「共感」の部分に関しては私も同様の印象です

モバイルゲームのイベントなどを見ているとお客様が観戦を楽しんでいるのが分かるのですが、プレイヤーを応援しているというよりもプレイに共感しているといった、非常におとなしい盛り上がり方をしています。それ(共感)を何らかの形で可視化してあげることで、もっと盛り上がれるイベントにできるのではないかとも考えています。ゲームメーカーだからこそできる部分を生かして、ゲーム内に観戦を面白くする為の機能を追加したりもできるので、そういった面にも注力していきたいと思っています。

――選手やゲーム内容はもちろんのこと、観客にどう楽しんでもらうかというところに注目しているということでしょうか

プレイヤーの方にゲームのプレイを楽しんでいただくというのはこれまでも注力してきた事ですが、加えて観客にどのように楽しんでもらうか、どういった体験をしてもらうかという部分を、システム面でもノウハウ面でも上手くサポートできたらなと思っています。

――今の日本のe-Sportsの市場をどうみていますか

市場としてはこれからだな、と感じます。世界的に流行っているe-Sportsのジャンルが日本ではそれほど流行っているジャンルではないということも一因としてあるかもしれません。ただ、この仕事を通じて色々な方とお会いしていて思うのは、e-Sportsが普及するために必要な要素が揃ってきている感覚はあり、やりやすい環境になってきていると感じています。弊社には日本国内だけでなく海外でも支持されているコンテンツがありますので、海外でしっかりとe-Sportsの展開を進めながら、日本の環境も整えていきたいなと思っています。日本市場という観点では、例えば欧米ではモバイルゲームのe-Sportsには微妙な反応を示されることが多く、一方アジア圏や日本国内では自然に受け入れられている傾向があります。モバイルゲームのe-Sportsが流行るとすれば、日本やアジア圏からだと思っています。

――ワールドワイドの展開も準備している、ということですね

「ウイニングイレブン」シリーズのe-Sports世界大会である「PES LEAGUE」は10年以上前から欧州を中心に展開しています。モバイルゲーム『遊戯王 デュエルリンクス』も世界中で展開しているコンテンツなので、この2つに関しては引き続きワールドワイドで展開していきたいなと思っています。


――『遊戯王 デュエルリンクス』などは、VRに対応すると面白そうです.

カードを置いたら「ブルーアイズドラゴン」が飛び出してくる、とか

以前、遊戯王OCGで声優さんにお願いをして、カードを出したらモニターで演出が出るというイベントをしたのですが、非常に盛り上がりました。やっぱり演出は大事だなと思います。VRで同じことができると面白いですね。視聴を面白くしたいというところでは選択肢の1つかなと思っています。

――以前の1人VS11人で対戦するイベントを見ましたが、1人VS1人とは違った面白さがありました

昨年末にプロの実況の方を呼んで社内向けのe-Sports大会を行ったのですが、チーム戦の方が、プレイヤーの感情が出るのもあって面白かったという評価でした。大会はコメント機能付きの配信を行ったのですが、チーム戦の方がやはりコメントなども盛り上がっていたように思います。

――『クイズマジックアカデミー』はe-Sportsタイトルにならない?

クイズではありますけども、反射神経や瞬時の判断を求められる頭脳戦なので、『これもe-Sportsだと思っています。実際、『クイズマジックアカデミー』でユーザーコミュニティの方々が大会をすると、400~500人ぐらいは観客が集まって、配信も盛り上がっています。

ただ難しいのが、クイズゲームはクイズの数に限りがあるので、予めやり込んだプレイヤーがクイズの答えを記憶している場合もあるのですが、『クイズマジックアカデミー』では非常に多くの問題数があり「e-AMUSEMENT」サービスを通じて時事問題など世の中の最新情報が随時更新されていくので、視聴者含めて常に新鮮な状態で楽しめるかと思っています。特有の駆け引きは一般の人が見ていて分かりにくい部分もあるので、視聴者に向けたなんらかの工夫が必要だとは思っています。また言語の問題で国をまたいだ対抗戦が難しいというネックもありますね。

――今後のe-Sportsへの意気込みをお願いします

e-Sportsの視聴をよりインタラクティブにしていく部分は期待しておいてほしいです。プレイヤーからのフィードバックはどんどん制作やイベントに反映していき、e-Sportsイベントを見るだけでなく参加して楽しいものにしていきたいと思っています。日本でe-Sportsを普及させる為に、大規模なイベントの他にも小規模なイベントを開催してe-Sportsの魅力を体験できる場を多くの人に届けれらるように準備していきます。


◆◆◆ ◆◆◆ ◆◆◆

世界で通用するタイトルを数多く輩出する日本が誇る大手ゲームメーカーのKONAMI。彼らが今後、日本でどのようにe-Spoert市場を創り上げていくのか、ゲーマーならずとも注目です。
《森 元行》

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