人生にゲームをプラスするメディア

アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回

ゲームビジネス その他

アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
  • アンリアル・エンジン採用タイトルの中で史上最高のスコアを獲得した『バイオショックインフィニット』・・・「Unreal Japan News」第71回
Irrational Gamesのヒットシリーズ最新作、『バイオショック インフィニット』は、発売と同時に各ゲーム評価サイトで非常に高いスコアを獲得しました(PC/PlayStation 3版は94点、Xbox 360版は93点)。バイオショックシリーズの3作目となる本作は、アンリアル・エンジン3の技術の進化とIrrational Gamesによる独自のカスタマイズの成果が結実し、空中都市コロンビアとしてゲーマーの前に姿を現しました。

「『バイオショック インフィニット』の制作にあたっては、Steve Ellmoreが率いるコア・テクノロジー・チームと、John Abercrombie率いるゲームプレイ・プログラミング・チームによって、アンリアル・エンジン3のかなりの部分に大幅なカスタマイズを加えました」とIrrational Gamesのテクニカル・ディレクター Chris Klineは話します。「社内のチームで開発したシステムの例としては、AI、オーディオ、アニメーション、物体の移動、アタリ判定、ユーザーインプット等があります。物理演算やコンテンツ・ストリーミング等についても、大幅な改変を加えました」

Irrational Gamesでは、たくさんのコアエンジンシステムを別々のSPUやCPUコアで並列に動作させるために、大幅な構造上の変更を加えました。非同期で動作させたシステムの一例としては、アタリ判定、レイ・キャスティング、サウンド・プロパゲーション、ガーベージ・コレクション、「スカイライン」のジオメトリ・エクストルージョン、スプライン・プロキシミティ・テスト、AIの制圧射撃計算、データ圧縮/復元、アニメーション・トランスフォームとブレンディング、オーディオ・プロセッシング、パーティクル生成、SSAO、コマンド・バッファ・ジェネレーション、リジッドボディの物理演算、クロース(被服)シミュレーション等が挙げられます。

「『バイオショック インフィニット』の世界を構築するために、多くの場合まったく新しいシステムが必要となりました」とKlineは語ります。「たとえば、空中都市コロンビアの建物や飛行船、はしけ等を、パフォーマンスに影響を与えることなく常に動かしておくために、『フローティング・ワールド』という名前の技術を開発しました。もう一つの例としては「パターン・マッチャー」があります。これはゲーム世界の状態を継続的に解析し、行動パターンを見出すためのシステムです。このおかげで、各時点でプレイヤーとエリザベス、AI群が置かれている状況をよりよく分析することができ、文脈上適切なスタイルで行動したり話したり出来るようになりました。

『バイオショック インフィニット』ではたくさんの注目すべき技術が使用されていますが、特筆すべきはコンピューターがコントロールするエリザベスというキャラクターでしょう。エリザベスにはゲーム中で複数の役割が与えられています。ゲーム中に登場する多くの組織が彼女を狙っているという点で、ヒッチコックの言ういわゆる「マクガフィン(登場人物の動機づけやストーリー展開を左右する重要な小道具)」であることに加え、彼女は時空を切り裂いて未来の砲台のようなアイテムを1912年に引き入れるという能力を持っています。プレイヤーが主人公であるブッカー・デウィットとして救出しようとするのがエリザベスですが、同時に彼女自身もインタラクティブなストーリーの中で重要な役割を果たすことになります。

Klineによれば、先述の技術的カスタマイズに加え、オリジナルのアンリアル・エンジン3のゲームプレイコードの大部分が書き換えられ、アンリアル・スクリプトの大半が取り除かれたそうです。アンリアル・エディターのツールセットは置き換えるよりも拡張することを選択したそうですが、いずれにしても「元のまま」使われたシステムはごくわずかとのことです。

アンリアル・エンジンのパワーによって、シリーズ第一作では海中深くの「ラプチャー」という都市が描かれました。Ken Levineのチームは、最新作では舞台をコロンビアに移し、超国家主義者のファウンダーズと、無政府主義のヴォックス・ポピュライが織りなす政治的テーマを掘り下げつつ、1912年のアナザーワールドを作り上げました。

「現在では全く違ったエンジンになっています」とIrrational GamesのファウンダーであるKen Levineは話します。「良きにせよ悪しきにせよ、今回のこの新しいゲームを制作するためには、第一作で持っていたものを全て捨てる必要がありました。第一作用にカスタマイズしたエンジンは、狭い通路や地下や水中の建造物を描写するには最適でした。しかし、今作で求められたオープンスペースで10人以上の敵を相手に戦うようなシーンを作成するためには、新しい技術が必要でした。もちろんこれまで使っていたエンジンが無ければ出来なかったことです。しかしIrrationalはあくまでもクリエイティブが優先される会社であり、クリエイティブをサポートするために技術がデザインされるのです」

Levineによれば、チームには非常に優秀な技術者がいて、困難な問題をどうやって解決するか、常に注力していたそうです。このような背景からスカイラインは生まれました。クリエイティブチームはゲームの核となるクールで新しいゲームプレイを取り入れたいと思い、輸送カーゴ用のレールを使ったスカイラインシステムを思いつきました。テクノロジーチームがこの新たなメカニックを実現するのに必要なコードを制作し、スカイラインによる戦闘が誕生したのです。

「非常に困難な作業でしたが、スカイラインで移動するのがどんな気分か、どんな風に機能するか、どんな風に見えるか、どんな感じかを直感的に一旦掴んでしまうと、とてもエキサイティングなものになるに違いないと確信しました。結果として成し遂げられたものにも非常に満足していますよ」とLevineは語ります。
4年に及ぶ開発の中で、PC、Xbox 360、PlayStation 3のマルチプラットフォーム対応の点でも、アンリアル・エンジン3は時間の節約に大きく貢献しました。第一作のバイオショック以来、開発チームのスタッフがアンリアル・エンジンに慣れ親しんでいたことも、新たなコードやゲームプレイの導入に際してとても大きかったそうです。

「街全体が空中を漂う中、スカイラインに掴まって地上の遥か上空を時速150キロで駆け抜けながらAIと戦い、エリザベスを助けるために過酷な天候をくぐり抜けて、何が何でもプレイヤーを止めようと全力で立ち向かってくる敵の包囲網を突破する・・・我々が思い描いていたのはこんなゲームでした」とKlineは話します。「技術的には大変なものになることは最初から分かっていましたが、やらざるを得ないことだと決心したのです。ファンがIrrational Gamesやバイオショックに期待するものを提供するには、絶対に必要なことでしたから」

ファンだけでなく、口うるさいゲームメディアでさえ熱狂したことが示す通り、コロンビアはこれまでに見たことのないようなゲームワールドとして完成しました。Irrationalが制作した「フローティング・ワールド」システムは、今にも落下するかもしれない地面の上で冒険を続けるというかつてないスリルを提供しています。もっとも、ガトリング銃を装備した機械化兵や巨大なソングバードを相手に12時間に及ぶ戦いを繰り広げていれば、足元の心配などしている暇はないかもしれませんが。

空を背景にしたオープンワールドは美しく、その明るい色彩で描かれた街並みは、暗く陰鬱で閉所恐怖症的なバイオショックの世界とは好対照をなしています。Klineによれば、キャラクターやダイナミックなオブジェクトがグローバル・イルミネーションの効果を受けられるよう、レンダリングチームでは新たなプロプライエタリ・パーピクセル・ダイナミック・リライティングをベースとした新しいディファード・レンダラーを作成したそうです。こういった技術のおかげで、バイオショックインフィニットというユニークな世界に生命が吹きこまれ、Levineと彼のチームが深みのある複雑なストーリーを縦横に描くためのキャンバスが生まれたのです。今後配信されるDLCを除けば制作は終了したので、現在Levineは将来のゲーム開発に思いを馳せています。

「まだ知らないものの事を思うと、ワクワクします」とLevineは語ります。「多くの人々は変化を恐れますが、変化こそが我々を支えるものです。我々は変化し続けなければならないのです。私がゲーム開発を始めた頃は、PCゲームの予算は数千万円規模でした。現在のPCやコンソールの予算規模はそれとは比較にならないほど大きくなっていますし、こういった変化は今後もまたあるかもしれないのです。未来に何が起こるかは誰にもわかりません。やり方を変えたり考えなおしたりする必要があるかもしれませんが、私にとってそれはとてもワクワクすることですし、私は世の中がどう変化していくか理解するのが大好きなのです。私はあらゆる種類のゲームをプレイします。今日の続きに明日があるとか、昨日と同じように明日があると考えてしまうと、非常に深刻な事態に直面することになるでしょう。明日はあくまでも明日であり、どんなものになるか誰にもわかりません。それを不安に思うか、楽しむかは、全てあなた次第なのです」

『バイオショック インフィニット』はアンリアル・エンジンで開発されたタイトルの中でも、最高のスコアを獲得した作品になりました。アンリアル・エンジンの技術を中心に据えることで、Irrational Gamesはストーリーテリングと世界構築の両方を文字通り新たな次元へと進化させました。技術とクリエイティビティの完璧な調和があれば、現世代機もまだまだ素晴らしいゲーム経験を提供できることを、『バイオショック インフィニット』は示してくれました。
《土本学》

編集部おすすめの記事

ゲームビジネス アクセスランキング

  1. ニンテンドースイッチ版『RiME』にシリコンスタジオの「Enlighten」を初採用─絵画のように美しい世界を豊かに演出

    ニンテンドースイッチ版『RiME』にシリコンスタジオの「Enlighten」を初採用─絵画のように美しい世界を豊かに演出

  2. 日本初のチーム対戦フィールドVR『攻殻機動隊 ARISE Stealth Hounds』がVR ZONE SHINJUKUに登場

    日本初のチーム対戦フィールドVR『攻殻機動隊 ARISE Stealth Hounds』がVR ZONE SHINJUKUに登場

  3. 建築ビジュアライゼーションにも活用される『Enlighten』-ゲーム開発技術との関連性は?ヒストリア代表に訊く

    建築ビジュアライゼーションにも活用される『Enlighten』-ゲーム開発技術との関連性は?ヒストリア代表に訊く

  4. 今週発売の新作ゲーム『逆転裁判4』『MONSTER OF THE DEEP: FINAL FANTASY XV』『初音ミク Project DIVA Future Tone DX』他

  5. 【CEDEC 2011】Unity、日本法人Unity Technologies Japanを設立

  6. 【SIGGRAPH ASIA 2009】業界関係者は必見、セガの人材教育

  7. モバイルゲームのデータ改ざん、元開発者に有罪

  8. ポケモンはここで作られる!ゲームフリーク訪問記(前編)

  9. バンダイナムコ、大型VR施設「VR ZONE Shinjuku」を期間限定オープン!

  10. 「攻殻機動隊」VRアプリが配信スタート サイバー感溢れる映像が360度で展開

アクセスランキングをもっと見る