会場ではセガネットワークスの岩城農氏、東京ゲームショウ事務局、シンガポール企業を代表してBoom Zapのアラン・シモンセン氏が講演。最後に「アジアン・ゲームパネル」と題して7カ国の開発者が登壇し、東南アジア地域でのゲーム開発の現状と見通しについて議論を行いました。また商談エリアも設置され、終日ひっきりなしに商談が行われました
Game Networking Asia 2013は、東南アジアに進出したり、ゲームの展開を図りたい法人企業を対象に、地元企業とのマッチングの機会を提供するビジネスイベントです。昨年からスタートしたもので、今年は5月16日にインドネシアのジャカルタでも「Game Networking Jakarta」「IT Networking Jakarta」が開催。また5月21日から23日まで、シンガポールでカジュアルゲーム向けのイベント「カジュアルコネクトアジア」も開催されるなど、関連イベントとのタイミングよく実施されることとなりました。
担当者によると両イベントともに、地元企業だけでなくタイ・マレーシア・フィリピン・ベトナム・オーストラリアなど、東南アジア全域から参加が見られたとのことです。このうちジャカルタではスタートアップやベンチャー企業を中心にのべ400名近く、シンガポールでも150名近くの参加があり、予想を上回る成果だったとのことでした。
特にアジアン・ゲームパネルでは、国際ゲーム開発者協会(IGDA)シンガポールで世話人も勤めるシモンセン氏のモデレートのもと、インドネシア・マレーシア・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナム・日本の7カ国から開発者が登壇。当初1時間だったものが、議論が白熱して1時間半に延長。当地域でのゲーム開発の盛り上がりを印象づけました。登壇者のプロフィールは下記の通りです。
・インドネシア Dien Wong氏(Altermyth)
・マレーシア Maxime Villandre氏(IGN Asia)
・フィリピン Paul Gadi氏(IGDAフィリピン)
・シンガポール Gerald Tock(Inzen Studio)
・タイ O Thongsrinoon氏(Mig 33)
・ベトナム Guillaume Monier氏(Glass Egg Digital Media)
・日本 岩城農氏(セガネットワークス)
議論はPCからモバイルへ、MMORPGからソーシャルへ、定額課金からF2Pへといった、過去数年間の急激なゲーム業界の変化にどのように対応していくか、議論が噴出しました。特にガンホーの時価総額が『パズル&ドラゴンズ』の大ヒットで任天堂と並んだことについては、パネリスト共通の課題となっていたようで、「ハードコアゲームの要素を持つカジュアルゲームは今後も増えていくのではないか」といった意見もありました。これに対して岩城氏は「ゲーム開発が先行して、それに市場が良い形で反応したわけで、決して逆ではない」と、まずゲーム開発ありきの姿勢が重要だとコメント。そのうえで「ビジネスモデルとコンテンツをどのように統合していくかが鍵だ」と語りました。
またゲームビジネスがプロダクトの販売からサービスの提供に移行しつつある中、東南アジア市場は(日本・中国・アメリカなどに囲まれて)非常に良いポジションにあるという意見がありました。一方で各国とも開発現場では英語と現地語が混じって飛び交っており、多くのスタッフは母国語しか話せないものの、技術書の多くが英語版となっているため、英語が話せることが昇級の条件になっていると話されました。パネルディスカッション自体も英語で行われ、出席者全員が流ちょうに英語を話していた点が印象的でした。
逆に日本については、市場の大きさやARPUの高さもさることながら、優秀な人材がたくさん揃っており、雇用しやすい点が賞賛されていました。このほかゲーム開発のコストは今後も上がり続け、カジュアルゲームといえども例外ではないが、日本のマンガのように低コストでコンテンツが制作でき、広大な市場が存在するという状況に(そのように見えるようです)、ゲーム業界も進んで欲しいという声もありました。今回のパネルディスカッションを契機に、さらなる相互交流が進むことを期待したいところです。
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