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【GDC 2013】すでにカウンターカルチャーからカルチャーとなった!GDCアワード受賞レポート

既報の通り、「ゲームディベロッパーズチョイスアワード」(GDCA)でPS3向けの配信ゲーム『風ノ旅ビト』が大賞を含む史上初の6冠に輝きました。これまでは2006年度の『ワンダと巨像』の5冠が最高でしたが、これを7年ぶりに更新したことになります。

ゲームビジネス その他
GDCA大賞を受賞した『風ノ旅ビト』開発チーム
  • GDCA大賞を受賞した『風ノ旅ビト』開発チーム
  • パイオニア賞を受賞したスティーブ・ラッセル氏
  • パイオニア賞を受賞したスティーブ・ラッセル氏
  • 会場はスタンディングオベーションでラッセル氏を迎えた
  • IGF大賞を受賞したリチャード・ホフメイア氏
  • IGF大賞を受賞したリチャード・ホフメイア氏
  • 会場はショーアップされ、エンタメの本場を感じさせる
  • IGF司会をつとめたインディゲーム界の著名人、アンディ・シャッツ氏
既報の通り、「ゲームディベロッパーズチョイスアワード」(GDCA)でPS3向けの配信ゲーム『風ノ旅ビト』が大賞を含む史上初の6冠に輝きました。授賞式では開発チーム一堂が壇上に上がり、受賞の喜びをかみしめました。これまでは2006年度の『ワンダと巨像』の5冠が最高でしたが、これを7年ぶりに更新したことになります。

また同時開催された「インディペンデントゲームフェスティバル&アワード」(IGF)では、モノクロのビジュアルアートが特徴的なライフシミュレーター『Cart Life』が、大賞を含む3冠に輝きました。他にIGFでオーディエンス部門とゲームデザイン部門を受賞した『FTL:FASTER THAN LIGHT』が、GDCAでもデビュースタジオ部門に輝きました。

一方で国内スタジオのタイトルは、GDCAで『極限脱出ADV 善人シボウデス』がストーリー部門、『GRAVITY DAZE(グラビティデイズ)』と『新・光神話 パルテナの鏡』が携帯ゲーム機部門。IGFで『PixelJunk 4am』がオーディオ部門にノミネートされましたが、受賞を逃しました。GDCAでの無冠は5年連続となります。

<受賞作一覧>
■GDCA
ゲームオブザイヤー・ イノベーション部門・ ゲームデザイン部門・ ビジュアルアーツ部門・ ダウンロード部門・オーディオ部門: 風ノ旅ビト
オーディエンス部門:ディスオナード
テクノロジー部門: FAR CRY3
携帯ゲーム機部門:The Room
デビュースタジオ部門: SUBSET GAMES(『FTL:FASTER THAN LIGHT』)
パイオニア賞:スティーブ・ラッセル/アンバサダー賞:クリス・メリッシノス/生涯功労賞:グレッグ ゼスチュク、レイ・ムジカ

■IGF
大賞・ストーリー部門・ Nuovo Award:『Cart Life』
オーディエンス部門・ゲームデザイン部門:『FTL: Faster Than Light』
ビジュアル部門:『Kentucky Route Zero』
オーディオ部門:『140』
テクニカル部門:『Little Inferno』
学生部門:『Zineth』

GDCAは欧米圏を中心に約700のゲーム会社/団体/個人の投票をベースに表彰される賞です(今年度は筆者も投票に参加しています)。いわゆる「(欧米の)開発者の開発者による開発者のための賞」という位置づけで、彼らのリスペクトを集めたタイトルが受賞する傾向にあります。年度ごとに業界動向が透けて見える、といってもいいでしょう。

一昨年度は『レッド・デッド・リデンプション』が大賞を含む4冠に輝いた一方で、インディゲームの『マインクラフト』がGDCAとIGFをあわせて7冠に輝く快挙を成し遂げました。昨年は『ザ エルダースクロールズ V: スカイリム』がGDCA大賞に輝いた一方で、配信ゲームの『ポータル2』が3冠、『バスティオン』が2冠に輝きました。

『風ノ旅ビト』を開発したザットゲームカンパニーもインディゲームの文脈に位置づけられるスタジオです。PS3のローンチタイトルとなった『fLow』や、2010年度のGDCAでダウンロードゲーム部門を受賞した『Flowery』など、PS3で高い評価を得た配信タイトルを手がけたことで知られています。

国内で言うなら『Tokyo Jungle』を手がけたクリスピーズや、古くは『どこでもいっしょ』のビサイド、『XI』のシフトといったところでしょうか。 SCEAサンタモニカスタジオが育て上げました。 ともあれ欧米圏のインディゲーム・配信ゲームに対するリスペクトはますます盛んなようです。

またパイオニア賞には1961年に世界初のテレビゲームとされる『スペース・ウォー』を制作したスティーブ・ラッセル氏が輝きました。すでに70歳以上を越えるラッセル氏が登壇すると、会場はスタンディングオベーションで迎えました。ラッセル氏の目も心なしか潤んでいるように見受けられ、感動的な受賞シーンとなりました。

そのアートスタイルや文字情報を廃したプレイスタイルなどから、会場では『風ノ旅ビト』の受賞について、『ワンダと巨像』と比較する声もしばしば聞かれました。一方で個人的には、第4回日本ゲーム大賞(1999年)における『どこでもいっしょ』の大賞受賞を思い出しました。

当時はPS1の晩期で、ゲームの大作化が粛々と進行しており、『FF』ライクなRPGが数多く発売されていました。そうした中でSCEの「ゲームやろうぜ」で発掘され、一般層を巻き込む大ヒットを記録した「どこでもいっしょ」は、これまでの慣習にとらわれない、インディならではの自由な発想によって作られたゲームでした。

もっともゲーム業界はその後、PS2の発売でますます大作志向が強まり、数年後に「ゲーム離れ」と呼ばれる不況へと突き進んでいきます。当時と今の違いは配信ゲームというプラットフォームの有無ですが、はたして今後欧米のゲーム業界はどのように進んでいくのか・・・。今後も注目したいところです。

また例年のことながら、IGFの授賞式では受賞者の多くが全身で喜びを表現し、観覧者の胸を打ちました。インディゲーム開発者の多くは私生活の大半を犠牲にして、将来の生活に対する保証もなく、ゲーム開発を行っています。生活は貯金を切り崩したり、親族への借金で生活する人も少なくありません。

一方IGFで二部門を受賞した『FTL: Faster Than Light』が、GDCAでデビュースタジオ部門を受賞しているように、IGFでの受賞は賞金額(大賞で3万ドル)もさることながら、多くの場合商業化を意味しています。そのため、さまざまな思いがこみ上げてくるようです(『Cart Life』の制作者、リチャード・ホフメイア氏も顔を感動でくしゃくしゃにしていました)。

インディゲームの多くはデジタル配信プラットフォームのSteamや、コンソール機のダウンロード配信マーケットで購入できます。GDC2011のアワードで第旋風を巻き起こした『マインクラフト』が累計1500万本に届く売上を記録するなど、すでにインディーズや配信ゲームは確固たるジャンルを形成した感があります。

『Wildlife Tycoon:Venture Africa』でIGF2006の大賞を受賞し、『What’s Yours is Mine』でIGF2010のゲームデザイン部門も受賞するなど、インディゲーム開発者として著名なアンディ・シャッツ氏(ポケットウォッチゲームズ)は司会で「(ゲームは)カウンターカルチャーではなく、カルチャーなのだ)」と語り、会場の拍手を得ましたが、これには幾重もの意味が込められていたと言えそうです。

===キャプション===

01 GDCA大賞を受賞した『風ノ旅ビト』開発チーム

02 パイオニア賞を受賞したスティーブ・ラッセル氏

03 パイオニア賞を受賞したスティーブ・ラッセル氏

04 会場はスタンディングオベーションでラッセル氏を迎えた

05 IGF大賞を受賞したリチャード・ホフメイア氏

06 IGF大賞を受賞したリチャード・ホフメイア氏

07 会場はショーアップされ、エンタメの本場を感じさせる

08 IGF司会をつとめたインディゲーム界の著名人、アンディ・シャッツ氏
《小野憲史》

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