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【TGS 2012】激戦をくぐり抜いた日本SAPは世界で勝てる―gumi國光氏~ソーシャルゲーム第2幕(2)

東京ゲームショウ2012で行われたTGSフォーラム「ソーシャルゲーム第2幕~新時代の展望~」。エイチームに続いてはgumiの代表取締役、國光宏尚氏がマイクを握りました。

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東京ゲームショウ2012で行われたTGSフォーラム「ソーシャルゲーム第2幕~新時代の展望~」。エイチームに続いてはgumiの代表取締役、國光宏尚氏がマイクを握りました。

國光氏は高校を卒業後、世界30ヵ国を放浪した後、中国やアメリカの大学に入学。映像関連の会社でエンターテインメント業界にたずさわり、映画・テレビドラマのプロデュース及び新規事業の立ち上げを担当していました。2007年に株式会社gumiを創業し、現在に至っています。今回の発表では、株式会社gumiの紹介と共に、ソーシャルゲームの社会的意義と海外展開について報告されました。

もともと映像関連のエンターテインメント業界に従事していた國光氏は、コンテンツのトータルプロデュースを行ない、その中でもインターネットやモバイルなど新しいメディアにも取り組んでいきたかったそうです。しかしながら、保守的な業界であったため、インターネットを使った事業はなかなか上層部に理解が得られず、結果として自ら起業したといいます。

最初は携帯版Facebookを作ろうと考え、世界初のモバイルプラットフォーム作りましたが、オープン化を行った後もコンテンツを作ってくれる企業がいませんでした。そのため、自分たちでコンテンツを作ろうと始めたのがソーシャルアプリ事業です。それらのコンテンツをmixiやMobage、GREEといった他社のプラットフォームにも投入することで、現在のSAPとしてのgumiが成立したといいます。

現在では地方都市や海外にも支社を設け、幅広くソーシャルゲーム事業を展開しています。さらに2010年の9月にGREEと戦略的提携を行ない、今後はGREE Platformにおいて海外向けコンテンツを数多くリリースしていく予定です。海外向けタイトル一作目として、国内向けのソーシャルゲーム『騎士道』をベースとした『KNIGHT LEGENDS』を開発しています。またgumiのソーシャルゲームは、既存の有名なIPに頼っていないことが特徴であり、その点は國光氏の誇りであるといいます。

次に話題はソーシャルゲームの社会的意義に移りました。コンプガチャ問題など、ソーシャルゲームは何かと世間から叩かれる存在になっているが、それは何よりもソーシャルゲームの社会的意義をしっかりと説明できていないことが原因だと國光氏は言います。つまり、ソーシャルゲームが社会にとって役に立ち、世の中にとって価値があることを説得的に説明できたならば、現在のような過度なバッシングを受けることはないというわけです。

そして國光氏は、新しいメディアが登場するたびに、既存メディアが新興メディアを批判するという現象は歴史上何度も繰り返されてきたことを指摘します。例えば、テレビが登場したときに、映画業界はテレビを批判し、コンテンツの提供を拒みました。しかしながら、テレビ業界はこれまでの映画とは異なる新たなコンテンツであるバラエティ、スポーツ、ニュースなどを制作することで生き残ってきたといいます。

エンターテインメント産業は、生活にとって必要不可欠ではないため、自らの使命を常に説明する必要があります。そこで、國光氏は動物と異なり、楽しいことや悲しいことといった感情が大切な人間にとって、人生の意味を彩るためにエンターテインメントは不可欠であると主張します。

さらにエンターテインメント産業としてのソーシャルゲームの特徴は、映画や舞台、美術館といった既存のエンターテインメントが「余暇」において行われるのと異なり、日常の中に溶けこむ形で楽しむものであると、國光氏は指摘しました。平凡な日常であってもソーシャルゲームと共に過ごすことで、人々は活力が沸き、人生に彩りを与えるといいます。これまでのゲームと異なり、朝起きた瞬間からゲームに参加でき、通勤中、昼休み中でも仲間たちとプレイし、お互いに褒め合うことが可能だといいます。

また現在のウェブサービス産業の多くが、自ら独自のコンテンツを生み出していないという点が指摘されました。GoogleやYahoo、YouTube、iTunes、Amazonといった既存ウェブサービスは、ユーザーに利便性を提供するのに留まり、コンテンツは他のメディアから持ってきたものばかりであると、國光氏は批判します。それに対して、ソーシャルゲームはインターネットという技術革新の結果、初めて生まれたオリジナルのコンテンツであると、國光氏は力説しました。

ソーシャルゲームの特徴は双方向かつリアルタイムのコンテンツであり、ユーザーの声が24時間常に届けられ、ユーザーと共にコンテンツを作り上げるという点で、従来のコンテンツと異なるといいます。この特徴的なコンテンツ制作を、國光氏は「リアルタイムプロデュース」と名付け、インターネットならではの新しいエンタテイメント産業として強調しました。

最後に日本のソーシャルゲームがグローバル市場において成功を収めるかについて、話が移りました。ソーシャルゲームの成功を日本の特殊性から説明する議論がありますが、そうではないと國光氏はいいます。Facebookと共に成功を収めたZingaなどに比べて、日本のソーシャルゲームはARPPU(ユーザー一人あたりの売上高)が高いといいます。このARPPUの高さはジンガがFacebookで寡占状態であったのに対し、日本のソーシャルゲーム業界が恐ろしいほど競争が激しく、そこで生き残ってきた結果、生まれたものであると國光氏は主張しました。

そして、課金率やARPPUを向上するノウハウは既に国内のソーシャルゲーム業界は蓄積しているため、今後はDAU(一日当たりのアクティブユーザー数)を向上させることがポイントになるだろうと予測しました。

実際にグローバル市場はすでに日本が中心になってきています。そして、経済が低迷する中で、現在、日本の産業が復活するにはソーシャルゲーム業界しかなく、世界ナンバーワンを目指すには、今こそが絶好のタイミングであると力説して、國光氏は発表を終えました。
《今井晋》
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