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【TGS 2012】ゲーム産業の実態を表す新指標を「売上データは実態を反映してない」~CESA鵜之澤会長 基調講演(1)

日本のゲーム産業の規模は、いったいどの程度なのでしょうか? この素朴な疑問に、今期から新たに一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の会長となった、鵜之澤伸会長(バンダイナムコゲームス副社長)が切り込みました。

ゲームビジネス その他
今期からCESA新会長となった鵜之澤伸氏
  • 今期からCESA新会長となった鵜之澤伸氏
  • 会場はCESA会員各社をはじめ多くの聴衆で満席となった
  • ゲーム産業は外部要因に伴い不断の変化を続けている
  • EAではデジタル配信などの売上高が急増
  • 家庭用ゲーム機の国内市場は右肩下がり
  • ただし大手の業績は堅調に推移している
  • ゲームビジネスの変化に統計が追いついていない
  • 『ファイアーエムブレム覚醒』ではDLCが大ヒット
日本のゲーム産業の規模は、いったいどの程度なのでしょうか? この素朴な疑問に、今期から新たに一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の会長となった、鵜之澤伸会長(バンダイナムコゲームス副社長)が切り込みました。

東京ゲームショウ2012の基調講演「日本ゲーム産業に今、必要なコト~ゲームビジネス新時代の展望」壇上のことです。

通常メディアではゲーム産業規模=家庭用ゲームソフト市場と捉え、CESA白書の「国内ハードウェア+ソフトウェア」の合計金額を引用します。これによると過去3年間の統計だけでも、ゆるやかな右肩下がりとなっています。

しかし、この数字はパッケージゲームの市場のみで、今や国内3000億円市場とも言われるソーシャルゲームや、徐々に増加の兆しを見せている家庭用ゲームのDLC市場など、デジタル流通による売上は入っていません。特にDLCについては、各社が正確な数字を公表したがらないためです。

一方で大手6社の業績は堅調で、実態と乖離しています。業績を下支えしているのが、デジタル流通などの数字に表れない部分です。そのため「右肩下がり」というイメージだけが先行しており、このままでは業界に悪影響を及ぼしかねない・・・。鵜之澤氏はこのように分析し、「業界として新しい産業規模を表す指標を作成し、日本のゲーム産業は元気だというアピールを行うことが必要だ」と訴えました。

「北米ではネットワーク化によって、ゲーム配信事業が成長しています。決算資料に売上比率を明記する企業も増えています」と鵜之澤氏は言います。米エレクトロニックアーツでは2009年に4億2400万ドルだったデジタル配信が、2012年では12億2700万ドルに成長し、総売上の29.3%を占めるまでになっています。

一方、日本でも徐々に成功事例が見られるようになってきました。任天堂の『ファイアーエムブレム 覚醒』では有料DLCのダウンロード数が120万回、売上が約3億8千万円にのぼり、ニンテンドー3DSの国内でのネット接続経験率は75%以上とのことです。他にも販売店のPOSAを利用してダウンロード版ソフトを販売する取り組みや、 楽天などのeショップに自社のDLC売り場を設けるなどの取り組みがなされています。

また、バンダイナムコゲームスがPS3向けにサービスを開始した『ガンダムバトルオペレーション』は、コンシューマ向けに基本プレイ無料のアイテム課金モデルを導入。基本プログラムのダウンロード数は57万件、有料DLCの販売数が125万件、8月末時点での累計売上額は約7億円を記録しました。

他にセガがPC・Vita・スマートフォン向けにサービスを開始した『ファンタシースターオンライン2』も、7月20日時点で累計ユーザーIDが70万件、同時接続数が約9万人にのぼっているそうです。販売アイテムもコスチュームなどコミュニティを活性化させる要素に限定し、ゲームバランスを崩さない配慮がなされています。

「メディアではコンソール市場の売り上げがスマートフォンに侵食されているという書き方をされることが多いが、これは違います。コンソール(パッケージ)を中心とした産業から、ネットワークがカバーする産業へと、業態変化が、ここ1-2年で急速に進んでいるのです」(鵜之澤氏)

ただし、ネットワークビジネスを含めた、総合的な産業規模の算出は、一社では実現できず、業界全体で取り組むべき課題です。鵜之澤氏は「日本のゲーム産業に今、必要なコトとして」、「元気な日本のゲーム業界」への理解を深めてもらうことだと指摘。そのためには業界全体で産業規模を表す新しい指標を作り、それに基づいた情報発信力を強化することが必要だとして、協力を呼びかけていました。
《小野憲史》

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