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成熟する日本のゲーム開発者コミュニティ・・・CEDECとDiGRA JAPANとIGDA日本、3者の方向性と役割の違いをキーマン三人が語る

ゲームビジネス 人材

左から小野氏、斎藤氏、遠藤氏
  • 左から小野氏、斎藤氏、遠藤氏
  • スクウェア・エニックス テクノロジー推進部に所属する三宅陽一郎氏
  • バンダイナムコスタジオに所属し、CEDECの実行委員会委員長の斎藤直宏氏
  • モバイル&ゲームスタジオ会長で日本デジタルゲーム学会で研究委員会の委員長を務める遠藤雅伸氏。『ゼビウス』の生みの親としても知られる
  • IGDA日本代表の小野憲史氏。フリージャーナリスト。
―――斎藤さんは今年度からCEDECの委員長になられましたし、小野さんもIGDA日本の代表になられて1年弱ですよね。今後こういう風にしていきたい、という思いはありますか?

斎藤: CEDECは前委員長の吉岡直人さんの時期に、大きく公募制に舵を切りまして、それでセッションの質が大きく向上した経緯があります。僕としてはバトンタッチを受けた身として、これから数年かけて、CEDECがちゃんと長続きしていくための組織固めを、しっかりやっていきたいですね。

遠藤: CEDECは運営委員の仕事が大変すぎるってのもあるよな。僕もペラコンを主催していたけど、その期間は全然仕事ができない。それに運営委員会になると、講演中もいろいろあって、講演がなかなか聴けなくなるし。100人以上ボランティアスタッフがいても、やっぱり大変なんだよ。

―――そこはDiGRA JAPANと違うところですね。

遠藤: そうだね。DiGRA JAPANは運営スタッフでも十分に楽しめる。もっとも、規模がそこまで大きくないというのもあるけど。それにCEDECと違ってイベントがないので、講演発表だけに集中できるし。IGDA日本は和気あいあいとして、一番楽しそうなんだけど、そのへんはどうなの?

小野: IGDA日本でもセミナーを行うときに、会場によってはビルの前などで誘導に経ってもらうことがあるんですが、あれは頭が下がりますね。またこれまでは新をはじめ、一部の運営スタッフのがんばりに負うところが大きかったんですが、NPO化を契機に組織化を進めて、より長続きする団体に脱皮しようと進めています。

遠藤: 長続きするってのは大事だよね。そういう意味ではDiGRA JAPANも昨年度の年次大会で規約を修正して、理事も新たに選挙制になったりと、組織が大きく変わったんだよね。もちろん、まだ足りていない部分もあるけど、そこは粛々と進めるということで。

―――それでは最後に、各団体への参加方法がまだまだ外部からはわかりにくいところがあるので、どのサイトを見て、どこに情報が集まっていて、講演するにはどうしたら・・・という話を、簡単にお願いします。

斎藤: まず「CEDEC」で検索してもらえれば、すぐに直近の「CEDEC2012」サイトがヒットすると思います。そこを見てもらえれば、どういうセッションがあるかわかります。また過去のセッションについては「CEDiL」があるので、それを見てもらえれば良いかなと。講演については、おそらく年内に来年度のスケジュールが発表されると思います。年明けから3月くらいでセッションの公募が始まります。そこではまずA41枚の申込用紙で、どんな話をするのか、出していただきます。その後、運営委員会で審査が始まって、夏前くらいには結果が戻ってきます。

―――審査をパスするうえで、企業名や過去の実績というのは・・・?

斎藤: まったく関係ないです。企業名や講演者名などは伏せて審査されるので、過去の実績や経歴に関係なく、うかる人は受かりますし、逆もまたしかりです。

遠藤: 審査するのもきついんだよ。量も多いし、いい加減に審査できないし。

―――DiGRA JAPANについてはどうでしょうか?

遠藤: 公式サイトもさることながら、学会なので、学会誌を見てもらうのが一番よくって。大きな図書館にも最近は収納されるようになってきたし、公式サイトでバックナンバーの通販も行っています。内容についても、いろんなところで紹介されたり、引用されているので、それらを見てもらえれば。

―――学会員になる必要はありますか?

遠藤: 参加するだけなら学会員になる必要はないです。逆に学会員になると、学会誌が送られてきますし、セミナーなどの参加費が安くなったり、免除されたりします。ただし学会誌で研究発表を行う場合は査読が必要で、これは学会員でなければ投稿できません。この「査読つき」というのが学会では重要なんだよね。これで論文の品質を担保しているわけで、ここで通れば研究者として実績になります。

また過去の資料についても、公式サイトを見てもらえれば、講演資料集などが載っています。特に夏期研究大会については、予稿集もすべて無料で閲覧できるようになっていたり、Ustreamで講演が残っていたりするので。

小野: やっぱり論文は引用されてナンボなので、DiGRA JAPANはいちばん内容がつまびらかになっていますよね。一見すると「学会」というイメージで敷居が高そうな気がしますが、一番オープンですよね。

遠藤: 夏期研究大会では「ゲーム開発者と出版」というパネルディスカッションを、僕とソフトバンク クリエイティブの品田洋介さんと、CEDEC AWARDSで著述賞をとられた中嶋謙互さんとで行ったんですよ。「ゲーム開発者よ、もっと本を書こう」という内容で、品田さんに部数や印税の状況など、なかなか普段聞けない話をいっぱいしてもらって、おもしろかった。

斎藤: 余談ですけど、この夏から秋にかけて、ゲーム開発者が書籍を出すのが流行ってませんか? 

遠藤: 良い傾向だよね。実際、DiGRA JAPANには今日司会をしてもらっている三宅さんをはじめ、これから書籍を出したり、過去に書籍を出したことのある著者が、いろいろかかわってくれている。そういう意識の高い人を追いかけてくれれば、いいんじゃないかな。学会という場をとおして今まで縁が遠かった編集者と開発者がつながれば、もっとそういった本も増えていくと思うし。

―――最後にIGDA日本に参加するには、どうでしょうか?

小野: 最近では毎月なんらかのセミナーやイベントなどを行っていますし、毎年1月にはGlobalGameJamも開催しています。自分の参加できそうなところから、足を運んでもらえれば。最新情報は公式ニュースサイトにアップされますし、主なものはGamebusiness.JPでも掲載されますので、ぜひチェックしてみてください。他にFacebookのIGDA JAPANグループページに登録してもらえれば、そこから世界のIGDAメンバーとつながることができます。

―――今日は長い時間ありがとうございました。おかげさまで三団体の内容や方向性が、だいぶ明らかになったのではないかと思います。ぜひ自分の興味の持てそうな団体をチェックして、活動にコミットメントしてもらえれば幸いです。よろしくお願いします。

一堂: ありがとうございました。
《土本学》

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