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成熟する日本のゲーム開発者コミュニティ・・・CEDECとDiGRA JAPANとIGDA日本、3者の方向性と役割の違いをキーマン三人が語る

ゲームビジネス 人材

左から小野氏、斎藤氏、遠藤氏
  • 左から小野氏、斎藤氏、遠藤氏
  • スクウェア・エニックス テクノロジー推進部に所属する三宅陽一郎氏
  • バンダイナムコスタジオに所属し、CEDECの実行委員会委員長の斎藤直宏氏
  • モバイル&ゲームスタジオ会長で日本デジタルゲーム学会で研究委員会の委員長を務める遠藤雅伸氏。『ゼビウス』の生みの親としても知られる
  • IGDA日本代表の小野憲史氏。フリージャーナリスト。
―――いまアニメ業界の話が出ましたが、三団体ではゲーム業界以外とのかかわりについて、どのように考えられていますか?

遠藤: CEDECでいえば、「コンピュータエンタテイメント」として、もっとマジメに映像業界にコミットメントしていくべきだよね。たとえばアニメも今はCGが多いし、コンピュータエンタテインメントといって良いと思う。

実写CGなどもそうだよね。ハリウッドの破壊系の技術などはゲーム業界に先行しているので。特に若いCGアーティストなどは、ゲームのリアルタイム処理についても興味があったりするから、あまり違和感なく参加できるんじゃないかなあ。

斎藤: ゲームと映像で産業は違っているけど、元になっている技術は同じですよね。一般参加者だけじゃなくて、講演者としても、もっともっと来て欲しい。

遠藤: 同じように、7号営業系(パチンコ・パチスロなど)のセッションも、どんどん実現させていきたいよね。開発会社の中には、これらのコンテンツを作っているところも多いわけだから。実はずっとアプローチはしているんだけど、なかなかね。

斎藤: たしかに、パチンコ・パチスロのゲームデザインって、面白そうですよね。最近はCGムービーなども、ふんだんに使われているわけだから。

―――IGDA日本ではどうですか?

小野: 今年のCEDECでもUXやUXDのセッションが増えましたよね。もともと彼らはゲーム開発のノウハウにすごく興味があって、でも接点がなかなかなかったんです。それが昨年、たまたま個人的にUX系の勉強会とつながりができました。自宅で小さな勉強会を開催しています。まだまだ小さいつながりですが、うまく育てて、他とのコラボレーションを活性化していきたいですね。

―――そんなふうに「広がり」を持って行きたいと。

小野: そうですね。もう一つはウェブ&ソーシャルゲームです。IGDA日本はもともとコンシューマゲームの開発者が中心で立ち上がったことと、ウェブ&ソーシャルゲームには昔からセミナーが多いので、あえてIGDA日本で主催する必然性がありませんでした。しかし昨今ではソーシャルゲームもリッチな表現ができるようになって、より企画力が必要になっているし、コンシューマゲームもソーシャルの要素をどんどん、取り込んでいくようになっています。そこでIGDA日本でもウェブ&ソーシャルゲームとの接点を、どんどん増やしていきたいと考えています。

遠藤: そこは今年のCEDECでモメンタムが変わったと思う。というのも『パズル&ドラゴンズ〜嫁と開発と私〜』というセッションの参加者アンケートが非常に高かったんだよ。しかもCEDEC AWARDSのゲームデザイン部門で、コンシューマゲームをおさえて最優秀賞を取った。ほんとに、来場者の投票も高かったんだから。

しかも発表されたときに「ニコ生」で「ゲームじゃないのに賞を取っちゃうのかよ」的な書き込みがばーっと流れた中で「でも『パズドラ』やってるし・・・」という書き込みもあったんだよね。セッションの採択時に「『パズドラ』がゲームデザインありきで開発されたことをが、うまく伝わるような内容にして欲しい」と注文をつけたんだけど、だからこそ、そこが来場者にも伝わったんじゃないかなと思う。

―――これは毎年思うんですが、CEDECには、その年のゲーム業界のムーブメントが、わずか3日間だけとはいえ、凝縮されている感じがします。

斎藤: 公募自体は半年前から始めているんですが、確かにCEDECに行けば、その年の流れが大まかにわかるようなセッション構成になっているかもしれないですね。CEDEC AWARDSはその象徴かもしれないけど、セッションの傾向や、セッションごとの集客を分析すれば、もっとそれが見えてくるかもしれない。

―――DiGRA JAPANは「広がり」について、どのように捉えていますか?

遠藤: DiGRA JAPANの場合はゲーム業界云々じゃなくて、もともと違う学部学科の中でゲームに関係する研究をしている人たちに、どうやって興味を持ってもらうかに苦心しているという感じかな。おかげさまで「ゲーム 学会」で検索してもらえれば、上の方にヒットされるようになっているよね。

また、できるだけ広い層に向けて発表の機会を提供することも重視している。たとえば学部生にも研究発表を認めているんだよ。前述したように学部生は研究者ではないので、たとえ学会で発表したとしても、学術的な評価にはつながらない。でもこれを契機に将来、研究者になることを期待して、そうした場を設けているんだよね。

■講演とキャリアアップの関係とは?

小野: DiGRA JAPANで昨年3月に開催された「若手発表会」で、当時慶応大学の学部生だった齋藤成紀君が「ゲームパブリッシングとイスラーム法」という発表をしたことがあるんですよ。この内容が非常に良かったので、IGDA日本のグローカリゼーション部会でも講演をしてもらったんですね。そうしたら、その年のCEDECでも齋藤君は同じテーマで、より掘り下げた発表を行ったんですよ。そして今年の春からゲーム会社にゲームデザイナーとして就職したんです。

遠藤: 「嚢中之錐」じゃないけど、場さえ与えてあげれば、目につく奴はちゃんと出てくるんだよね。同じようなことはCEDECで開催したペラコンでもいえて。信じられないことに、去年のペラコンで上位に入った学生が、すごい割合でゲーム業界に就職しているんだよ。去年準優勝だった学生も就活にのきなみ失敗して、あきらめていたけど、ペラコンで準優勝になったことを実績に再挑戦したら、就職できたって。

今年も大学を卒業してプータローしていたんだけど、エキスポパスだけ取ってペラコンに応募したら、事前投票ですごく伸びていたので、あわてて横浜まで駆けつけた子がいて。その時に去年準優勝だった子が「人生、絶対変わるよ」と力説していた。

―――そんな風に自分のキャリアアップのために各団体を使ってもらってもOKですか?

斎藤: それは、もちろんでしょう。

遠藤: CEDECの運営委員としての立場でいうと、インタラクティブセッションは学生にお勧めだと思うよ。良い発表をすれば絶対に光ると思う。ショートセッションで学生が講演するのは、かなりハードルが高いと思うけど、インタラクティブセッションは来場者と直接話せるから、あっちの方が良いという声も耳にします。

斎藤: 学生だけじゃなくて、プロのキャリアアップにもなるし。

―――IGDA日本はどうですか? 講演することがキャリアアップにつながりますか?

小野: 特にアメリカではそうですね。アメリカではレイオフが日常的なので、コミュニティ活動などに参加して、実績やネットワークを作っておくことが、次の仕事を見つける時に役立つ側面があるんです。「履歴書に空欄を作ってはいけない。ボランティアでもコミュニティ活動でも、何でも良いから埋めるようにしなさい。IGDAなどはオススメです」などと、海外のセミナーでも言われます。特にSNSがなかった時代はそうでしたね。

IGDA日本では、そこまで露骨ではありませんが、セミナーに参加したり、講演したことが転職のきっかけになった人もいますよ。もっとも、いわゆる「引き抜き」の温床になる恐れもあるので、セミナーで営業行為や人材勧誘は禁止しています。もし興味があるなら名刺交換だけして、後日直接コンタクトしてねと言っています。

遠藤: DiGRA JAPANは学会だから、そういうのはないね。研究者同士のつながりかな。大変面白かったから講演資料を送って欲しいとか、共同研究をしませんかとか、そういうのはあります。

■産学のギャップはどこから生まれてくる?
《土本学》

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