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韓国シリアスゲームフェスティバル2012が開催、教育ゲームからK-POPまで市役所に集結

韓国・城南(ソンナム)市役所で8月31日から9月2日まで、韓国シリアスゲームフェスティバル2012(主催:京畿デジタルコンテンツ振興院、韓国クリエイティブコンテンツエージェンシー、城南産業振興財団)が開催されました。

ゲームビジネス その他
会場となった城南市市役所
  • 会場となった城南市市役所
  • 派手なディスプレイが設置され、祝祭的雰囲気を演出している
  • 基調講演をつとめたコンスタンティン・スタインクラー女史
  • IGDA日本代表の小野憲史氏(筆者)
  • 日本大学教授の古市昌一氏
  • 全37社が参加したビジネスマッチングエリア
  • マイクロソフトはキネクトのプレイデモを実施
  • DSのタイトルも展示されたシリアスゲームの歴史パネル
韓国・城南(ソンナム)市役所で8月31日から9月2日まで、韓国シリアスゲームフェスティバル2012(主催:京畿デジタルコンテンツ振興院、韓国クリエイティブコンテンツエージェンシー、城南産業振興財団)が開催されました。

イベントではシリアスゲームの国際会議、ビジネスマッチングコーナー、ゲーム大会などのステージイベント、ゲーム会社のエキスポエリアなどが設置されました。おりからの台風の影響が懸念されましたが、週末はからりと晴れ上がり、ゲーム業界関係者から家族連れまで、多くの来場者で賑わいました。

本イベントは京畿道(キョンギド)と城南市の旗振りで2009年から開催され、今年で4回目となります。京畿道は韓国北西部に位置する行政区で、ソウル特別市を取り囲むように位置する、韓国経済の中心地とも言える地域(ただし京畿道にはソウル特別市と仁川広域市などは含まない)。イベントの目的も京畿道をシリアスゲームのメッカにすることです。産業政策も視野に入れた、官主体の総合ゲームイベントだと言えるでしょう。

このうち国際会議はゲーミフィケーションをテーマに10セッションを開催。基調講演では米ウィスコンシン・マディソン大学助教授で、ホワイトハウスで科学技術政策分野の政策アドバイザーもつとめるコンスタンティン・スタインクラー女史が、米政府のシリアスゲームに関する取り組みについて紹介しました。日本からも国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)代表の小野憲史氏と、日本大学教授の古市昌一氏が登壇しました。

ビジネスマッチングエリアでは、中国、タイ、ポーランドなど14カ国37社が参加しました(中でも日本企業はセガ、ゲームポットなど7社が参加し、最大勢力を誇っていたのが印象的でした)。会場を訪れるバイヤーは中国系企業が多く、教育向けシリアスゲームの需要が多く感じられました。もっとも、中には一般のPCオンラインゲームに関する商談もみられ、必ずしもシリアスゲームに特化した内容ではなかったようです。

エキスポエリアでは教育向けシリアスゲームを中心に、幅広い出展がみられました。中でも多かったのがスマートフォンやタブレット向けの教育コンテンツです。カジュアルゲームに計算問題や英語学習などを組み込んだものや、タブレット向けの電子絵本などが目立ちました。またブロックを組み合わせてロボットを作り、プログラミングカードを読み込ませて動かすブロック玩具なども人気を集めていました。

また韓国ボードゲーム産業協会を筆頭に、ボードゲームの出展ブースが多かったことも印象的でした。このほかマイクロソフトがキネクトスポーツとDANCE CENTRAL2のプレイデモを実施。ゲームロフトも自社のゲームタイトルを出展するなど、少数ながら一般ゲームの展示もみられました。「シリアスゲームの歴史」というパネルコーナーでは、ニンテンドーDSの「やわらか頭塾」と、韓国スコネックエンターテインメントが開発し、韓国任天堂が販売した漢字教育ソフト「魔法千字文DS」などが展示されていました。

最後にステージイベントでは、ネコ耳ボーカロイドで韓国生まれのキャラクター・SeeUと、K-POPアイドルグループのグラムによるミニコンサートや、カジュアルゲームを用いたゲーム大会などが開催されました。ゲーム大会では「フリースタイルフットボール」「フリースタイル2」など、日本でもおなじみのゲームが登場。別会場ではプラスチックのカップを積み上げる速度を競う「スタックミート」の競技会も開催されました。

ちなみに、これらを差し引いて、もっとも集客を集めたのが、市役所の広場で開催されたフリーマーケット。特設ステージでは子供たちのダンスコンテストなども行われ、似顔絵コーナーも人気がありました。来場者は思い思いのスタイルでフェスティバルを楽しんだようです。

ゲーム中毒が社会問題化する韓国では、日本とはまた異なる意味合いでのゲームバッシングがみられます。いささかコンセプトが拡散傾向という印象もありましたが、シリアスゲームの社会的アピールには効果的だったのではないでしょうか。
《小野憲史》
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