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九州大学で日本デジタルゲーム学会の年次大会が実施、シリアスゲーム関連の発表が増加

ゲームビジネス その他

DiGRA JAPAN会長の細井浩一氏(立命館大)
  • DiGRA JAPAN会長の細井浩一氏(立命館大)
  • 口頭発表(企画セッション)の模様
  • 旧ナムコ出身の研究者(左から岩谷氏・遠藤氏・岸本氏・中村氏)と矢田真理氏(奥)
  • 基調講演(産業側)では遠藤氏のモデレートで福岡ゲーム産業について語られた
  • 福岡市ゲームコンテストの受賞作と代表者
  • GGJ2013のポスター発表
  • シリアスゲームプロジェクトで開発された「起立の森 リハビリウム」
  • 盛況だったポスター発表
日本デジタルゲーム学会(DiGRA JAPAN)は2013年3月4日・5日、九州大学大橋キャンパスで2012年次大会を開催しました。年次大会では22本の口頭発表、6本の企画セッション、19本のポスター発表が行われました。

また国際シンポジウム「これからどうなる?どうする?シリアスゲーム!」、第6回福岡市ゲームコンテスト授賞式も併催され、産学官でゲーム産業振興に取り組む福岡市の特色を活かした、幅の広い年次大会となりました。

DiGRA JAPANは2007年に国際学会のDiGRA(デジタルゲーム学会)が東京大学で開催されたのを契機に、DiGRAの日本支部としての性格も併せ持ちつつ、国内で立ち上がったデジタルゲームに関する学会です。2010年に芝浦工業大学、2012年には立命館大学で年次大会を開催し、徐々に活動を拡大していきました。一方で2012年からは東京で夏期研究大会も始まり、今後も年二回程度の大会が予定されています。

DiGRA JAPANが掲げるテーマの一つに、産官学連携の受け皿になることがあります。残念ながら今年度の年次大会は平日開催となり、産業界からの参加が困難だったことから、発表数は半減しましたが、発表者に質問をなげかける産業界の出席者の姿が、そこかしこで見られました。また参加者の層も昨年度に比べて厚みを増し、研究者を中心としたコミュニティの成長・拡大が感じられました。

今年度の特徴の一つは、シリアスゲームやゲーミフィケーション関係の発表が多かったことでしょう。口頭発表では「ゲームズ・フォー・ヘルス」「ゲームと学習」というセッションがもうけられたほか、観光アプリケーション、行政広報ゲーム、有事における指揮官訓練用のシリアスゲームといった、幅広い口頭発表が見られました。またポスター発表では19本のうち8本がシリアスゲーム・ゲーミフィケーション関連の発表となりました。

民間企業では一服感もある同分野ですが、海外(特に米国)では財団やNPOが受け皿となり、開発者の雇用促進が進むなど、産業化が着実に進行しています。同分野では市場の評価もさることながら、地道なデータ蓄積や学術的な考察が求められるだけに、ようやく論文発表が可能な段階まで成熟してきたということでしょうか。今後はこうした論文資料がベースとなって、新たな市場拡大へのつながりが期待されます。

また、旧ナムコ出身の研究者が多く見られた点にも驚かされました。本学会の理事も務める岩谷徹氏(東京工芸大学)、遠藤雅伸氏(モバイル&ゲームスタジオ・宮城大学)をはじめ、2012年度から新たに着任した岸本好弘氏(東京工科大学)、中村隆之氏(神奈川工科大学)も新たに学会参加。岸本氏は「ファミスタ」、中村氏は「もじぴったん」シリーズの生みの親として有名です。

遠藤・岸本・中村氏は口頭発表・ポスター発表を実施し、岩谷氏は「ゲーム開発者教育ラウンドテーブル」に参加するなど、精力的な研究活動がみられ、会場でも存在感を示していました。ゲームクリエイターの第一世代が学術界に転身する例は他にも見られますが、これだけ著名な開発者が同じ学会に集まっている例は珍しいでしょう。また研究者を多く輩出した企業という点でも、旧ナムコの再評価が可能かもしれません。

最後に横の広がりと縦の広がりが見られた点も特徴でした。横の広がりではシリアスゲームの国際シンポジウムが併催。オンラインゲーム研究で日本でも著名なウィ・ジョンヒョン氏が来日し、ゲームと教育について議論がなされました。GlobalGameJam2013福岡会場で作られた作品展示も行われました。縦の広がりでは福岡市ゲームコンテストの授与式が併催され、大学生や専門学校生など、ゲームクリエイターの卵が登壇しました。

このほか、懇親会では九州大学によるデジタルインスタレーションのデモや研究発表なども実施。今までになく華やいだ雰囲気の中で、さまざまな立場・年代の参加者が交流しました。会長を務める立命館大学の細井浩一氏は懇親会の冒頭「日本は世界でも主要なゲーム大国で、産業界の大型カンファレンスも存在する。そのため設立当初はDiGRA JAPANの存在意義を疑問視する声もあったが、ゲームについてより深く議論できる環境を作ることの必要性が、今大会であらためて確認できた」と挨拶し、乾杯となりました。
《小野憲史》

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