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【CEDEC 2012】『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』という大規模プロジェクトはいかにマネジメントされたのか

スクウェア・エニックスの荒木竜馬氏は「大規模開発のプロジェクト管理~ドラゴンクエストXにおけるプロジェクト管理」と題して、発売されたばかりの『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族』という大規模なプロジェクトをいかに進行したかについて語りました。

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大規模開発のプロジェクト管理~ドラゴンクエストXにおけるプロジェクト管理
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  • 規模が拡大するパフォーマンスは発揮しづらくなる
  • メソッドの導入やチーム運営の工夫が必要
  • 今回のチーム構成
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スクウェア・エニックス開発部の荒木竜馬氏は「大規模開発のプロジェクト管理~ドラゴンクエストXにおけるプロジェクト管理」と題して、発売されたばかりの『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』という大規模なプロジェクトをいかに進行したかについて語りました。

8月2日にリリースされた最新作『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』はそのタイトルが示すようにオンライン対応となったのがこれまでとの大きな違いです。近年のゲーム開発はテクノロジーの進化と専門分野の広がりによって規模が大規模になっていますが本作も例外ではありません。荒木氏は1人が全てを見渡すことのできる規模は50人が限界で、100人を超える規模となれば制作のコンセンサスを取ることもままならなくなっていくと指摘します。これはスケジュールの不徹底、遅延、メンバーの不満などを引き起こしプロジェクトを崩壊させかねません。様々な工夫が必要になってきます。

本作の開発チームはプログラマー、アーティスト、ゲームデザイナーに大別されその下に分業化された組織が作られています。

今回ベースとなった開発手法はいわゆる「アジャイル」と呼ばれるもので、これを荒木氏は「不確実なものに対する開発手法」と呼びました。実装と評価の流れを短いスパンで繰り返すのが特徴で、作りながら仕様を決めたり、途中で変更することが容易です。

マネジメントの面では「スクラム」の手法を取り入れ、毎日15分のミーティングを実施。これは小まめに状況を確認することで、臨機応変に動くことを可能にします。ミーティングは全員立ちで実施。こうすることでメリハリを付けた会になります。このミーティングを通じて実装すべきタスクに優先順位を付けます。タスクは社内開発の管理システムでデータベース管理されます。

スケジュール管理の面では「バッファコントロール」という考え方が採用されています。各タスクの実装に必要な期間を最小と最大の両方を設定し、その間をバッファとします。全体のバッファ量を常に監視し、それが減っていると危険信号です。このバッファは余裕がありすぎると油断を与えるため正確な見積りが求められます。見積りは基本的には作業者からの申告を元に、各チームリーダーの立ち会いのもと決定されたそうです。

スケジュール管理について荒木氏は「おおざっぱなスケジュール感を与えて、この期間に、これだけやってね、という方法はまず失敗します」と警鐘を鳴らします。タスクが前倒しに完了していくことも基本的には考えられないと言います。ただし、非常に職人気質で自己管理に優れた開発者や小さなチームであれば、そういう方法がより効果を発揮する可能性もあるのではないかとしました。

また、工数やバッファの見積りは常に困難が伴います。方法の一つはタスクをなるべく小さな単位に分解することです。しかし例えばデザイナーの場合でも、キャラクターデザインやモデルは小さく分解することが容易でも、カットシーンや3Dバックグラウンドはそれが困難であり、見積りを正確にするためには現場で経験を積んで、プロジェクトマネジメントの職につくという流れが必要になってくると述べていました。

また、全体の「ロードマップ」を作成し、各チームメンバーが月単位でどのタスクを実行すべきかを設定。状況に応じて書き換えられますが、メンバーにとっては業務の全体観を知ることができる効果があります。(ただし、メンバーの異動など機微な情報も含まれていたため、今回はチームによっては開示していなかったとか。しかし開示したチームの方が良好に運営できたということで次回からは基本的に開示する方向で考えているそうです)

『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』の開発では2ヶ月に一度、「プレイ会」と呼ばれる半日~1日かけた会が行われ、ここで開発中のゲームを全員で評価するということを行ったそうです。これにより現在の問題点が浮き彫りになるだけでなく、各メンバーがゲームの目指す方向について共有できます。

このゴールの共有はプロジェクトマネジメントで最も重要かつ困難なことでもあります。荒木氏は「特に初期はゴールが見えづらいものです。本作でも最初から十分に完成形を共有できたとは言えず、正直に言って完成しないんじゃないかと思った時期もあるくらいです」とコメント。初期に同じゴールを共有するという点ではディレクターの手腕が問われそうです。

加えて、全員が当事者意識を持って参加するというのもプロジェクトの成否を分ける重要な鍵となります。荒木氏によれば本作では全メンバーが何かしらの担当となり、責任をもって開発、他のセクションとの調整に当たったそうです。受動的に言われた仕事だけをこなしているのでは真に開発チームの一員として動いているとはいえず、役割と責任を持って貰うことが重要とのこと。

このように今回のプロジェクトマネジメントでは様々な手法が取り入れられています。しかし「スクラム」や「アジャイル」といった考え方も、それが全て全面的に導入されたわけではありません。どちらかというと良い所取りを図っています。「重要なのはいかに結果に結び付けるかで形に嵌めて疲弊する必要はありません。運用でカバーする点があっても構わないと思います」と荒木氏は強調しました。

本作のプロジェクトマネジメントを貫いた考え方は「開発は不確実である」ということです。必ず問題は発生し、スケジュールはズレます。リスケは良い事ではありませんが、それを最初から想定し、対応可能にしておかなくてはなりません。そして荒木氏が強調したのはプロジェクトを合理的に進める重要性です。マネジメントとは効率化を図ることで、無駄を省きクオリティに集中することを可能とし、時間を確保することでスタッフの疲弊を防ぎます。「大規模になれば合理的な開発の難度は上がります。特に本作は今後運用やサービスのフェーズに入っていきます。今後も工夫を重ねたマネジメントを行なっていきたいと思います」
《土本学》

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