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【プレイレビュー】第二次世界大戦を題材にしたミリタリーシューター『スナイパーエリートV2』

ミリタリーサードパーソンシューター『スナイパーエリートV2』。国内ではユービーアイソフトからいよいよ8月9日に発売予定で、一足先に日本版をプレイできたのでそのレポートをお届けします。

ゲームビジネス 開発
『スナイパーエリートV2』
  • 『スナイパーエリートV2』
  • 時には破壊工作を行うことも、スナイプ稼業も楽ではない!?
  • スコープを覗き、息を殺してベストな時を待つ
  • えげつなさ全開の“バイタルヒット”、これ無しに本作の魅力は語れない!
  • 戦闘の爪痕を残す街並、屋根の上にスナイパーが潜んでいることも
  • 共闘感が楽しいCo-opプレイ、獲物は早い者勝ち
海外では昨年5月に発売され、UKの売り上げチャート上で数週間首位を独占するなど人気を示したミリタリーサードパーソンシューター『スナイパーエリートV2』。国内ではユービーアイソフトからいよいよ8月9日に発売予定で、一足先に日本版をプレイできたのでそのレポートをお届けします。

Sniper Elite V2




『V2』の名前が示す通り、今作は2005年にPC/PS2/Xboxで、2010年に追加コンテンツを含むWii版が展開された『スナイパーエリート』の続編に当たるタイトル。厳密には続編ではなく、第1作目をオーバーホールしたリメイク作という形で登場。開発は前作に続きRebellionが担当しており、近年では余り見かけなくなった第2次世界大戦(WWII)を題材としている点もポイントです。

物語の舞台は第2次世界大戦が終焉を迎える年となる1945年の4月。ドイツ軍が戦局を覆す恐れのあるロケット兵器“V2”を開発しているという情報を連合国が極秘に入手し、プレイヤー扮するエリート兵士カール・フェアバーンはその計画を阻止するべく、単身敵陣へと潜入する、といった内容となっています。

Sniper Elite V2
時には破壊工作を行うことも、スナイプ稼業も楽ではない!?



ゲームは主人公がスナイパーという特性上、敵に照準を合わせるエイム力が問われる場面が多く見受けられます。基本的にプレイヤーが降り立つシチュエーションは潜入であり、敵に存在を気付かれると援軍が呼ばれてしまい、不利な状況へと陥ります。それを未然に防ぐにはヘッドショットで敵を仕留める必要があり、仮に頭部を外してしまった際も、よろめいた敵へ間髪入れず銃弾を浴びせる必要があります。

Sniper Elite V2
スコープを覗き、息を殺してベストな時を待つ

本作にはそのようなエイミングをサポートしてくれる非常に便利なアシスト機能が実装されています。これは時間と共に溜まるゲージを消費して発動出来るフォーカスズームというもの。発動直後はスコープを覗いている数秒間ゲームがスローになり、弾の着弾点もマーカーで表示されるなど、エイムが余り得意で無いというゲーマーでも照準が合わせ易くなります。また本作におけるスナイパーライフルはあくまでもメイン武器という扱いで、サブマシンガンやハンドガンのみで攻略するといった事も可能。とはいえ、近距離武器のみでは難易度が高くなる場面が多いため、やはりフォーカスズーム等の恩恵があるスナイパーでのプレイをお勧めします。



『スナイパーエリートV2』の大きな特徴として挙げられるのがキルカムです。これは遠距離からヘッドショット等を決めた際に発生する前作共通の演出ですが、今作ではその演出に異常なまでに心血が注がれている点に注目です。

キルカムは2種類存在し、1つ目はカメラがスローモーションで銃弾を追い敵にヒットする通常のタイプ。2つ目は頭部や心臓部にヒットする際に確率で発生する“バイタルヒット”で、命中した弾が内蔵や骨を貫通する生々しい瞬間を映し出します。こうした過激表現は、一方では飽きやすかったり、テンポが悪くなる懸念もありますが、実際にプレイすると適度な早さのスローモーションは大変気持ちよく、バイタルヒット発生頻度の少なさもあって、ゲームプレイ中にうまく組み込まれていました。

Sniper Elite V2
えげつなさ全開の“バイタルヒット”、これ無しに本作の魅力は語れない!

尚、今回のプレイで見られた限り日本版に表現規制は無く、ヘッドショットやバイタルヒットの表現も海外版と同じく健在。このキルカムを体験した後には普通に敵を倒した時に物足りなさを覚えるほどであり、『スナイパーエリートV2』の象徴と言えるこの部分が無規制で味わえるのは評価できます。



難易度によるゲームシステムの変化も本作の特徴。多くのシュータータイトルでは、難易度を変更することで、敵の体力上昇、プレイヤーの弱体化、敵の出現位置変化といった調整が行われるのが一般的。しかし本作では敵の強さが変化するのは勿論のこと、スナイパーに特化した独特の要素として、エイムシステムが大きく変化します。

難易度は「スナイパーエリート」、「マークスマン」、「カデット」の3段階が用意。スナイパーエリートでは、エイム時に距離による弾道の低下、風の抵抗の概念が追加され、非常に繊細な弾道読みが要求されます。マークスマンでは弾道低下の概念のみが追加、カデットでは上記の概念は一切無く、照準に合わせてストレートに弾が飛びます。また難易度のカスタマイズ要素もあり、敵の強さ、狙撃の再現度、戦闘アシスト(フォーカスショットの仕様など)の3つのカテゴリで個別に難易度設定が可能、例えば、敵の強さをスナイパーエリート、狙撃の再現度をカデットにして遊ぶといった事ができます。

Sniper Elite V2
戦闘の爪痕を残す街並、屋根の上にスナイパーが潜んでいることも

本作はリニアなゲーム展開ながらもマップのスケールは大きく、開放感を感じられるデザイン。逆にそれが少ない敵を際立たせており、その時代設定からもゲームは残党を掃討するといった印象が強いため、大規模で派手な第2次世界大戦の戦闘を期待すべきではありません。

また個人的に惜しいと感じた点は、カメラサイドを切り替えられないこと。この手のTPSの立ち回り方に、物陰に隠れながら左右の敵を視認するというテクニックがありますが、ステルスシーンもある本作だけにもどかしさを覚える場面も。

本作には最大2人のオンライン協力マルチプレイも搭載しており、キャンペーンのCo-opプレイ、マップに散らばったアイテムを回収するボミングラン、狙撃手と観測手に役割分担し目標を達成するオーバーウォッチ、一定数の敵を掃討し次の段階へと進むキルタリーといったモードを用意。これらはシングルプレイと同じ感覚で手軽に遊ぶことができますが、どれも非常にシンプルな作りで長くやり込む仕様ではないため、シングルプレイのプラスアルファ的な位置付けと言えます。

Sniper Elite V2
共闘感が楽しいCo-opプレイ、獲物は早い者勝ち



また日本版独自の初回特典として、追加ミッションと武器セットがダウンロード出来るコードが粉入されます。この追加コンテンツでは、アドルフ・ヒトラーの暗殺ミッションと高性能のスナイパーライフルKar98kとSVT-40が利用可能に。海外では800MSP(10ドル)の価格で配信されているコンテンツのため、お得なパッケージとなっています。

グラフィックビジュアルは最先端ではなく、ゲームプレイも特に後半は難易度が高くトライアンドエラーが多くなるなど、オールドスクールな印象もある本作。しかし狙撃の爽快感を追求したことで妙な中毒性があり、最近のメインストリームから外れた硬派なWWII作品ということで、ミリタリーシューターファンは是非手に取っておくべき一本です。

『スナイパーエリートV2』はPlayStation 3/Xbox360を対象に2012年8月9日発売予定。価格は6,980円(税込)。レーティングはCERO D(17歳以上対象)となっています。
《Game*Spark》
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