―――オープニング曲、素晴らしいですね。まるで映画のようです
中鶴: ありがとうございます。今回、せっかくの次世代機ということもありますので、ダイナミックレンジを活かした音作りをしようとチームで決めて取り組みました。今まではどうしても音圧を上げた方が派手な音が出るので、そうしてしまう傾向があったのですが、映像の幅も広がっていますし、スピーカーも6個あるので、レンジを広く取って曲作りをしました。
曲だけでなく効果音も、斬り応えや防具の破壊音などというのは記号的な音になりますので、他の大したことのない攻撃の音とは差をつけて、レンジを広く、映画に近い作り方をしたというのはあります。
―――スターウォーズのジョン・ウィリアムズへのオマージュというか、そんなモチーフも聴こえて思わずニヤリとしてしまいました
中鶴: 気づいていただけましたか?スターウォーズのモチーフをさりげなく入れています。でも、それがあまり強すぎると曲全体の印象が変わってしまいますので、そのバランスは気を付けました。ソウルキャリバーのサウンドとうまく融合しているのではないかと思います。
―――公式サイトのブログで剣を持って効果音を作る姿が載っていましたね
中鶴: あれはあくまでもイメージですけどね(笑) 実際に人間が体を動かす音や、剣をぶつける音を収録するということもやりました。先ほど、ボイスの話で、人間味を出せる部分だという話がありましたが、効果音も生きているんです。例えば人間の足音を使いたい時に、サンプリングライブラリから2つの足音を拾ってきて、交互に鳴らしても、どうしても自然な音にはならないんです。でも、実際に歩いた音を拾って鳴らしてみると不思議と違和感なく聞こえてきます。たぶん、歩く音の間の、音のしない時間やその響きも含めて、音なんですね。
そのほか、色々な音を収録しましたが、ゲームの中の衣装や武器を実際に着用してそのまま音に録ったら自然に聞こえるかというと実はそうでもないんです。素材を工夫したり、マイクの録り方を工夫したり、色々な素材を組み合わせて、そうやって作った音を最高のタイミングで鳴らす。効果音は楽器に似てるなと思いますね。効果音も音楽も生きた素材で、人間らしい要素が多いんです。
―――それにしても素晴らしい環境ですね
中鶴: 社屋をこの場所に移す際に設けてもらいました。最初、スタジオに何千万もかけると言うと、「なんで?外のスタジオでいいじゃん?」と言われもしました。でも、自分のブースで音を仕込んで、それがすぐに確認できるという距離感は何事にも代えがたいものがあると思います。それに普段から自分たちの耳を肥やすというのも大事だと思います。社長や副社長にもここでサウンドを聞いてもらいました。この環境で聴いてもらうと、音に対する意識が変わると思いますよ。
まだまだグラフィックに比べサウンドは軽視されがちですが、映像は画面の範囲内でしか表現できないのに対して、音は制限無く360°表現できます。映像と音が組み合わさればもっともっと凄い表現が出来るようになるはずなんです。それにこれだけグラフィックのクオリティが上がってる中でサウンドが昔のステレオのままじゃ失礼です。ゲームを5.1chの最高の環境で遊べる人はまだそう多くないのは事実ですが、良いサウンドはゲームの可能性を広げるものだと思ってます。すばらしいサウンドを楽しめる環境を欲しいと思ってくれる人が一人でも増えてくれるように頑張っていきたいと思います。
―――貴重なお話をありがとうございました!
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