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スタンフォード大のヘンリー・ローウッド教授が語る“文化遺産としてのゲーム”

ヘンリー・ローウッド教授

ゲームビジネス その他
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中村:今年のGDCで、複数の大学やゲームデザイナーとともに、いくつかのゲームタイトル保管方法について研究をはじめたと聞いたのですが…。.

ヘンリー・ローウッド(以下、ヘンリー):そうですね。2008年1月よりプロジェクトが始まる予定です。米国議会図書館からの助成金で、「セカンドライフ」のようなバーチャルワールドの保存に関しても取り組んでいきます。2年間継続される予定ですが、いくつかのゲームタイトル、バーチャルワールド内のいくつかの区間、そして電子書籍を保管しようと考えているんです

中村:それを行う上での課題などはどのようなものがあるんでしょう?

ヘンリー:データをどう移管し保存し、そしてインデックス化するかといったことですね。それに加え、さまざまな文書や遊びにおける活動そのものなども…。これらは、すべて、National Digital Information Infrastructure and Preservation Program (NDIIPP=国家情報インフラストラクチャーおよび保存計画)の一貫なんです。どのゲームを保管するかはこれから考えていきますがね。

中村:現在スタンフォード大にもかなりのコレクションがあるんですよね。

ヘンリー:現在スタンフォード大にあるコレクションは2種類あります。1つめは、「Stephan M. Cabrinetyコレクション」といいますが、スタンフォードの卒業生であるStephan氏が、10代から20代後半まで集めた2万5千タイトルものゲームです。これらは、Stephan氏が亡くなった後に家族により寄付されたもので、ゲームの他に、ゲームハードや雑誌、その他ゲーム関係のアイテムも含まれていますが、まだ分類化が終わっていなんです。このコレクションは、歴史的意義もありますから、図書館の中でも特別な区間で、アーカイブする価値のある稀少コレクションとして保管されています。ただし、すべて私たちが1つ1つ確認していますので、Stephan氏の収集物を1つ1つリストしながら順番に保管している、というところですね。






コレクションの一部※クリックで拡大画面を表示


中村:いつごろの作品が収集されているんですか?

ヘンリー:1993年ごろまでの作品が収集されていると思います。これは私たちにとっても好都合です。ある意味古典的作品が残されているわけですから。『DOOM』などがリリースされる前の。『DOOM』がリリースされてからゲーム産業は急激に複雑化していきますからね。

中村:分類化していくうえでどのような点に苦労されているんでしょうか?

ヘンリー:歴史的なアーカイブを作り出すプロセスはとても複雑なんです。Stephan氏の収集物の中には雑誌もありますから、これらを各号ごとに整理し、時系列に整理しなくちゃならない。これらの雑誌は公立図書館すら所蔵していないケースがあるので、歴史的空白というものを埋める意味では、これ以上すばらしいものは他にはありません。ゲームやそこから生まれる文化的側面を例にあげると、『PC Gamer』やそれに類する雑誌から確認することができます。ですので、研究としてもとても意味のある所蔵物が作り上げられているということになります。

中村:もう1つのコレクションというのは?

ヘンリー:最近のゲームタイトルは、図書館で購入しています。こちらは分類化もしやすいですし、作品に関する詳細も確認することができます。これらは学生ではあれば数日間貸し出しが可能なセクションに配置されています。

■ゲーム収集には困難が付き物。最大の問題は、再生環境と資金の確保


《中村彰憲》
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