■アニメは権利処理に成功した日本でもまれな成功事例
最初に登壇したのは、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント テレビ部門 日本代表 兼 アニマックスブロードキャスト・ジャパン代表取締役社長の滝山雅夫氏。講演内容は、「映像コンテンツは文化だ!」と題して、世界におけるアニメーション事業の展開方法を紹介。最初に行われた会社説明のあと、世界中で配給されているハリウッド映画を題材にし、権利に関する話題で講義は始まった。
滝山雅夫氏
ハリウッド映画は、世界レベルでのヒット作を数多く排出しているが、このような状況を可能にしたのは、権利処理の違いのよる部分も大きいという。ハリウッド映画では、俳優、スタッフだけでなく、ケータリングサービス担当、ドライバーなど、映画に関わったすべての人の名前が、エンドクレジットに表記されており、これは関連するすべての人の権利処理が済んでいることの現れでもあると滝山氏。そのため、放送などに関する権限はプロデューサーにすべて一任され、新しいメディアが出た場合でも、プロデューサーの権限により配給を決定することができるというのだ。
しかし、日本ではそのような権利処理を、円滑に行う環境が作られていないという。日本では、テレビ放送開始後、映画を中心でなくテレビ放送を中心に映像業界が発展。テレビとは、広告がらみのものであり、権利処理の問題が非常に複雑であったという。また、役者もアメリカでは、テレビ映画の役者、映画の役者と区分されているのに対して、日本ではその部分が曖昧で、この環境の違いも権利処理を複雑にしているというのだ。そのため、DVD発売や海外展開などに非常に困難なケースが多いという。
そんな中で、特殊な存在と言えるのが、日本のアニメ産業だと滝山氏。アニメの放送時間の多くは、広告収入の少ない時間帯であり、テレビ放送のみでは売上げが立たないことが多い。そのため、制作の段階から、DVDの発売、ケーブルテレビの放送や海外進出などを前提にして制作されており、制作の時点で権利処理が明確に行われているという。また、日本と同様に海外でも、子供番組の制作費は低予算の傾向があり、日本のアニメーションが入りやすい環境ができているという。そんなことから、日本のアニメは、海外進出に成功したというのだ。
■コンテンツビジネスは継続的に行うことが大事