TOP >> ゲームビジネス >> その他 2009年1月31日(土) 23時06分
【DEVELOPER'S TALK】アーケードゲームが手のひらに!PSPに移植されたシリーズ最新作『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』開発の裏側を聞く

【DEVELOPER'S TALK】アーケードゲームが手のひらに!PSPに移植されたシリーズ最新作『機動戦士ガンダム ガンダムVS.ガンダム』開発の裏側を聞く

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―――移植は大変だったということで、こだわるところ、妥協しなければいけないところがあったと思いますが、いかがでしょうか?

土屋: 当然そうですね。移植開発の際、常に大事にしているのはプレイ感覚で、ゲームを遊ぶ時に、たとえグラフィックが綺麗に再現されていても、手ざわりが異なると意味がありません。まずは操作性やレスポンス、遊びやすさを追求すること、次に音声やグラフィックをどこまで違和感のないものに高めていけるかが勝負だと思います。

広野: 僕は『モンスターハンターポータブル2ndG』をプレイしていた人間ですので、メディアインストールは是非導入してください、とお願いしていたんです(笑)。前作の『機動戦士ガンダムSEED 連合vs.Z.A.F.T. PORTABLE』も特別ロードが遅いわけではなかったので、別に必要ないですよ、という意見もあったのですが・・・。

土屋: プログラマからも一度メディアインストールのテストをやってみたいと強く要望があって、やってみると実際に体感できるほどの効果がありまして、それで実装することにしました。

中井氏


中井:
メディアインストールでは84MBの容量を使っています。最初は全てのデータをメモリースティックに取り込みたいと思ったのですが、それをやってしまうとかなりの容量を使うことになるので、ゲーム中で「ロード時間が気になる」と感じる部分をピックアップしてインストールする仕様にしました。

―――今回は非常に多くのボイスが使われていますね

佐野氏
佐野: データとしては1万ほど用意しました。開発側がというより、企画側が欲しいものを好き放題入れたので、実際に使ったものはもっと少ないですが、開発中はかなりの量のデータを管理していました。他のデータも膨大な量になるので、AFS(※)でムービー、サウンド、データを管理しました。

※ AFS・・・CRI ADXに標準搭載されているファイルシステム。ADX File Systemの略。

―――アーケードとPSPともにADXを利用していだたいたのですが、何か違った部分はありますか?

中井: ADXには慣れていましたので、導入で特に苦労というのはありませんでした。ただ、他のデータを先読みしている場面などでシークが間に合わず、音の再生が鳴らしたいタイミングに合わないことがありました。これを回避するために、音声データを事前にメモリに読み込んでおいて鳴らしている箇所が何箇所かあります。プレイヤーキャラを選択する際のボイスもそうですね。

土屋: 完全に対処するのは難しいので、演出やゲームの進行上、音が鳴らないとゲームプレイに支障が出る箇所は重点的に対処して、そうでないものは優先順位を下げて、個別に対応していきました。先ほどのプレイヤーキャラを選択する際のボイスというのは"これからいくぞ!"という箇所ですから、出鼻をくじかないように何とか対処をしました。

―――ADXのマルチストリーミングは音声だけでなく画像やデータなども読み込めるのですが、そのあたりは利用されましたか?

佐野: はい、ゲームが始まる前の演出画面でBGMとボイスを流しつつ、その間にゲームのデータを読みこんでいます。最大でステレオデータ1本、モノラルデータ2本、データ読み込みと入り乱れている感じですね(笑)。これだけ好き勝手に読み込みを行っても問題が出ないので、とても助かっています。

―――今回Sofdecもご利用いただいていますが、具体的にはどのような部分でお使いでしょうか?

佐野: オープニングのムービーとキャラクターを選択した時に流れるムービーで使用しています。キャラクター選択時のムービーは10秒固定で、スムーズにゲームに移れるように配慮しています。Sofdecはアーケードでも使っていますので、移植の際にプログラムの作りが簡単になるという点でも重宝しています。

―――PSPで通信対戦を実現するうえで苦労した点などはありますか?

佐野: 通信対戦プレイ時でも1人プレイ時と変わらないテンポ感を出すために、いろいろと工夫しましたね。

土屋: 実は通信中のパフォーマンスを向上させるために、背景は簡素化されたものを使ったりしています。モビルスーツに関しても、見た感じでは気づかれないような部分でリダクションしている部分があります。通信の際のタイムラグというのはある程度逃れられない部分はあるのですが、できるだけそれを感じさせないように努力しました。

―――今回の作品で、「もうちょっとここを頑張りたかった」という部分はありましたか?

広野: もう少しやるべきだったという点に関して、いろいろな意見を聞く中であるのは、ストーリーモードや、やり込み要素がもっとあれば良かったということでしょうか。ただ、今回PSPで発売した意味は「対戦」というキーワードでしたので、その点では一番大事な部分は実現できたと思います。ただ、そこにプラスアルファの頑張りはやっぱり必要だったんじゃないか、という意見をいただいていたのも事実です。もし機会があれば、次は必ず、と思います。

―――ちなみに皆さんはガンダムがお好きなんですか? 以前のドラゴンボールのインタビューでは、まずは「サイヤ人の血を輸血する作業がある」と・・・(笑)

土屋氏と広野氏
広野: なるほど(笑)。洗脳部屋があるわけではないですが、フロアのそこらじゅうにプラモデルやフィギュアが展示されているので、興味がないスタッフも日々自然と教育されているのではないかと(笑)。カプコンさんともう長年一緒に「VS.」シリーズをやってきたというのもありますし、何と言ってもガンダムは国民的キャラクターですから、好きな人が多くて、開発スタッフにも本当に好きな人が集まっています。出来上がってくるものを見ても「あぁ、ガンダムの事を愛してくれている人が作ってくれたんだな」と思わされるこだわりを随所に感じることができて、本当に嬉しいですね。

土屋: ちょっとした箇所やキャラクターのポーズでも原作からの引用があったりしますね。私自身もファーストガンダム世代でした。ファーストガンダムの劇場版でショックを受けて、「Zガンダム」や「ZZ」を見た世代ですので、最初にカプコンで『機動戦士ガンダム 連邦VS.ジオン 』を作れることになった時、感激した思い出がありますね。

広野: 僕も当時は一人のユーザーとして驚いた記憶があります。子供の頃からガンダムを見ていて、モビルスーツの名前を覚えたのは『SDガンダム ガチャポン戦記』(バンダイナムコゲームス)でした。その後はガンプラにはまったりして。そういう人間なので、ゲームのガンダムに関われているのは本当に幸せですし、カプコンの開発スタッフの方々も「こりゃ愛が無いとできないだろう」という気持ちをとても感じるので幸せですね。

―――最後に、恒例の質問になっているのですが、ゲームをプレイされる方と、もう一つは皆さんと同じようなゲーム開発者の方に一言コメントをいただけないでしょうか? まずゲーム開発者の方に向けてお願いします。

中井: 大きな会社になってくると、新しい事にチャレンジするのは難しくなってくると思うんです。ただ、逆に大きいからこそ新しい事にチャレンジする体力もある、と言う事でもあるので、認められるのは難しいと思いますが、自分のセンスを信じて自分の納得できるゲーム作りをしていって欲しいと思います。

佐野: そうですね、僕の楽しめるゲームを作ってくださいということで(笑)。僕もゲームが大好きですから。

土屋: 今、新しいものにチャレンジしづらい状況があると思います。自分自身もできてないと痛感しているのですが、やはり今までのフォーマットに乗っかっている部分があって、過去の成功に甘えている部分もあると思います。その中で色々とあがきつつ自分の中で答に巡り会えてない状況なのですが、海外メーカーに比べて日本のゲームが劣勢と言われる今の状態は現場の人間にとってとても悔しいことでもあります。もちろん日本のメーカーから良い物が出てきてない訳では決してないので、お互いの長所を活かして切磋琢磨しながら、世界に誇れる素晴らしいものが日本のメーカーから出てきて欲しいと願っています。ぜひ一緒に頑張っていきましょう。

広野: 製造業や金融業といったゲーム以外の業界が、今ある現実の世界をどうするかという仕事をしているのに対して、ゲームクリエイターというのはゲームという仮想空間の中に自分達で世界を作り上げていく仕事だと思うんです。ある意味、神のような存在になれる非常にレアな職業であると思います。ですので、これからもどんどん新しい世界を作り出していって、俺はこんな世界作ったよ、あるいは俺はこんな新しい事にチャレンジしたよ、という話をクリエイターの間だけでなくさまざまな業界の方、そして世界中のユーザーと共有でしていきたいのです。この記事をご覧の皆さん、これからももっともっと新しい物を生み出していきましょうね!

―――最後にゲームユーザの方に一言お願いします

佐野: アーケード版もPSP版もそれぞれ充実の内容になっていますので、両方ともプレイしてみてください。よろしくお願いします!

中井: 同じく、とにかく遊んでみてくださいと言う事ですね。そこで気になった所など、意見を書くなり叩くなりしてもらえれば、それは開発の方にも何らかの形で伝わってきますし、今後の作品に影響を与える事にも繋がって行くと思いますので。

土屋: 私たちはいつも手触り感のいいゲームを作ろうと思っていて、どんなジャンルのゲームでも、手に取って10分程度で本質的な楽しさが伝わるものにしようと思っています。今作もそれにかなうものにしたつもりですが、もしそれが上手く伝わらないものであれば「違うよ」と厳しい言葉をいただければと思います。私たちも全力で作っているので素直に良い物は良い、悪い物は悪いと評価を聞かせてもらえればと思います。

広野: 1つの作品には沢山の人の想いが詰まっています。ここに集まっただけでも4人、実際にはもっと膨大な数のスタッフが集まり、彼らのガンダムへの愛やアクションゲームへの愛が詰まって1つのゲームとして皆さんの元にお届けできています。ですので、PSPでもアーケードでもぜひ一度触ってみて私たちの想いを感じ取ってみていただければと思います。そして、もし1本手に取ってお買い求めいただけたのなら、絶対に楽しんでいただける作品であると思います。いろんな意味でスタッフ一同も大変喜びしますし、次へのモチベーションにもなりますので、是非ともお買い求めくださいませ!(笑)。

―――本日はどうもありがとうございました!


株式会社CRI・ミドルウェア
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(Article written by 土本学 / Mr.Cube)



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